空想未来研究所

ヤマトも赤外線レーザーに変えるべき!あの兵器の意外な弱点

『宇宙戦艦ヤマト』のレーザー兵器を考察してみた

空想世界をエネルギー文脈から分析する好評連載、今回のテーマは「レーザー光線」。名作SFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』で頻繁に撃ち合われていたレーザー兵器の効果を科学的に考察する!

レーザー光線はリアルでも大活躍

アニメや特撮では、宇宙人や怪獣は腕や目や口から光線を放ち、地球防衛軍や正義の味方らは光線銃を装備し、宇宙の戦闘では、光線砲が飛び交う。これらの「光線」は、その破壊力から考えて、レーザーかそれに近いものと考えていいだろう。

レーザーとは、同じ波長を持つ光の山と谷をそろえて発振したものだ。1958年に理論が完成し、1960年に初めての発振が行われた。光の波長の山と谷が互いに邪魔をしないため、(1)狭い面積にエネルギーを集中できる、(2)広がることなく直進する、などの特徴がある。

これらを生かし、リアルの世界で医療(組織凝固)、金属加工(切断、溶接)、記録媒体(DVD)、通信(光ファイバー)、測量(光波測距儀)などに広く応用されている。

SF映画などで、レーザーが武器として重宝されるのも、上記(1)の特徴があるからだろう。実際、高出力のレーザーは金属も切断するし、出力を上げれば、レーザーで破壊できないものはない。すごい武器になり得るのだ。

本稿では、あの名作SFアニメにおけるレーザーの使われ方を見てみたい。

レーザーとライトの波長の違い

ヤマトは撃沈されていた?

『宇宙戦艦ヤマト』(1974~1975年)では、敵も味方もレーザー砲と思われる武器を装備していたが、同時に通常のミサイルなども使っていた。

それらのアナログ感もカッコよかったのだが、実際に宇宙で戦闘が行われた場合、これらは役に立つのだろうか。

仮に1万km離れた敵を攻撃する場合、大陸間弾道ミサイルと同じマッハ20=秒速6.8kmで攻撃したら、届くまでに24分31秒。相手がじっとしていない限り、まず当たらないだろう。

これに対して、光の速度は秒速30万km。レーザーも光の一種だから、1万km離れた敵にも0.033秒で命中する。

ここから考えると、ガミラス艦隊のレーザー砲がなかなかヤマトに命中しなかったのが不思議である。射手はデスラー総統に頼んで、もっといい照準器に取り換えてもらった方がいいと思うが、いずれにしても宇宙での戦いでは、レーザーでなければお話にならないのだ。

見えない方がいいと思う

ヤマトを含め、SF映画やアニメに登場するレーザーは実にカラフルであった。赤や青や黄色い光がビューッと飛んでいく。その軌跡がはっきりと見えるのだが、これが気になる。

可視光線は、電場と磁場の変化が伝わっていく「電磁波」の一つ。波長が短ければ紫色に、長ければ赤く見える。また、紫色の光より波長が短いのが紫外線、X線、ガンマ線。赤い光より波長が長いのが赤外線、電波だ。

電磁波は、波長によって性質が違う。例えば可視光線は、物体に当たると、吸収もされるが、反射もされる。吸収された光のエネルギーは熱に変わる。

吸収と反射の割合は、物体の色によって決まる。白や銀色の物体は可視光線のほとんどを反射し、黒い物体はほとんどを吸収する。他の色は、自分と同じ色の光を跳ね返す。だから赤いものは、赤く見えるのだ。

これについて、筆者は実験したことがある。

出力5Wの緑色レーザーを「赤い風船」に当てたら、一瞬で破裂した。しかし「緑色の風船」に当てても、1分ほど破裂しなかった。赤い風船は緑色レーザーを吸収したが、緑の風船は反射したということだ。

つまり、可視光レーザーを武器にすると、自分と同じ色の敵艦には効き目が弱いことになる。白や銀色も可視光線のほとんどを跳ね返すので、相手の戦艦が白や銀色だったら効果はイマイチだろう。

一方、赤外線は色に関係なく、いろいろな物質によく吸収される。実際に金属の切断に使われるのも赤外線レーザーだし、現在、米軍が開発中というレーザー兵器も赤外線レーザーである。

従って、宇宙戦艦ヤマトには、ぜひとも赤外線レーザーを搭載していただきたい。もちろん赤外線は目に見えないから、アニメ的には全く盛り上がらないけれど。

アヤシイところも多いアニメや特撮のレーザー光線だが、冒頭に記したように、現実世界で理論が完成するや、意欲的に作品世界に取り入れられてきた。まことに柔軟であり、そこから発想を飛躍させてきたのもすごい。人間の想像力は本当に素晴らしい!

※原稿では数字を四捨五入して表示しています。このため、示している数値を示された通りの方法で計算しても、答えが一致しないことがあります。

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