空想未来研究所

最高到達点は8000億光年先!一番遠い宇宙へ行ったのは誰だ?

SFアニメ&特撮の舞台がどこまで遠いのか考察してみた

空想世界を研究する好評連載、今回のテーマは「物語の舞台となった宇宙」。宇宙を舞台にしたSFアニメや特撮番組が、地球からどれくらい離れた空間を舞台にしていたのかを考えてみた!

宇宙と言っても全然違う場所

マンガやアニメや特撮番組には、宇宙を舞台にしたものがたくさんある。何に遭遇し、何が起きるか分からない広大な空間は、人間の想像力を羽ばたかせる格好のキャンバスだ。

しかし、一口に「宇宙」と言っても、作品の舞台となっている宇宙は、それぞれ大きく違う。

例えば『機動戦士ガンダム』(1979~1980年)は、地球と月の周囲に多数のコロニーが建設されている世界。地球から月までは38万4000kmだから、その規模の空間を舞台にしていたことになる。これに対して『宇宙戦艦ヤマト』(1974~1975年)では、14万8000光年彼方のイスカンダルを目指した。

前者の単位が「km」なのに対して、後者は「光年」。地球からの距離は全く違うのだ。

今回は、それら「舞台となった宇宙」を比べてみよう。宇宙のオトコたちや女性たちは、どんな場所で活躍してきたのだろうか。

地球周辺の宇宙に25億人!

地球に近いところから見ていこう。

筆者が知る限り、地球に一番近い宇宙を舞台にしていたのはマンガ『プラネテス』(1999~2004年、モーニング)ではないかと思う。主人公・ハチマキは会社員で、スペース・デブリの処理を仕事にしている。

スペース・デブリは、ロケットや人工衛星の残骸のことで、宇宙ゴミとも呼ばれる。現実の世界でも、10cm以上の物体が2万個ほどあると言われていて、人工衛星への衝突事故が何度も起こっている。

『プラネテス』においてハチマキは、この宇宙ゴミを回収したり、大気圏に落として燃やし尽くしたりする仕事に従事している。

画面に描かれた地球の大きさから、舞台は高度500kmほどの「低軌道」と思われる。高度300kmを周回したスペースシャトルや、高度400kmを回る国際宇宙ステーションなどと同じぐらいのスケール感だ。

次に近いのは、恐らくアニメ『機動戦士ガンダム00』(2007~2009年)。以前このコーナーでも紹介したが、劇中では、高度5万kmの宇宙エレベータが建設されていた。人々は地上3万6000kmの静止軌道との間をエレベータで往復し、付近の空間も戦場になっていた。

これは、高度としては『プラネテス』の70倍ほど。ここからは、地球は月の33倍の大きさに見える。現実世界の人間が、この高度を周回したことはない。

続いて、冒頭で紹介したファーストガンダム(『機動戦士ガンダム』)。

人類が居住していたコロニーの中で地球から最も遠かったのは、月の裏側の「サイド3」で、地球からの距離は44万9000kmだった。『機動戦士ガンダム00』の舞台のおよそ10倍遠い。現実の世界でこの距離まで行ったのは、アポロ計画の24人の宇宙飛行士だけだ。

ところが、ファーストガンダムの世界では、1つのコロニーに1000万人が住んでいる。そして30~40のコロニーで構成される「サイド」が7つある。宇宙人口は概算25億人!さすが、宇宙世紀ですなあ。

舞台は人類未踏の太陽系全域に拡大

ここからは、現実世界では人類未踏の世界。これまで紹介してきた世界と比較するために、それぞれの距離を、ファーストガンダムの舞台である「44万9000km」を「1ガンダム」という単位として表していこう。

マンガ『テラフォーマーズ』(2011年~、週刊ヤングジャンプほか)は、火星が舞台だ。

500年前、火星をテラフォーミング(地球環境に近づける)するために、人類はゴキブリを送り込んだ。その黒い体で太陽光を吸収させるためだ。ところが人間が火星に行ってみると、ゴキブリたちは驚異の進化を遂げていた。そして、人間を襲う!というショッキングなオープニングだった。

地球も火星も太陽の周りを公転しているから、両者の距離は刻々と変わる。いちばん近づくときが5500万km=120ガンダム、最も遠いときが3億8000万km=840ガンダムである。

地球から、火星が球形の天体ではなく「星」に見えるように、火星から地球も「星」に見える。そんな遠いところで、進化した巨大ゴキブリに襲われたら、もう絶望するしかないだろうなあ。

これより広い宇宙を舞台にした物語の一つに『宇宙海賊キャプテンハーロック』(1977~1979年、プレイコミック)がある。

謎の侵略者マゾーンに対して、堕落した地球政府は何もしようとしない。それに怒りつつ、宇宙海賊キャプテンハーロックと40人の仲間たちがマゾーンに立ち向かう。

マゾーンとの戦いで、ハーロックと仲間たちは、木星まで行った。地球からの距離は近いときで6億3000万km=1400ガンダム、遠いときで9億3000万km=2100ガンダムである。

この規模になると、現実世界と同じ原理の宇宙船は、まったく役に立たない。地球から木星へ行くのに最短で2年9カ月もかかってしまうからだ。

しかしハーロックの宇宙戦艦アルカディア号は、次元振動流体重力エンジン2基を備え、地球から木星軌道まで、その日のうちに行っていた。最短の6億3000万km=1400ガンダムを24時間で走破したとしても、秒速7300km=マッハ2万1000!

すごい。このくらいのフネを持っていないと、太陽系を股に掛けた宇宙海賊活動はできないということだ。

ガンダムが止まらない!

太陽系をはるかに超えた宇宙を描いたのが『帰ってきたウルトラマン』(1971~1972年)だ。

想像を絶する大きさの怪獣バキューモンが、北斗七星を次々に食べた。カニ座で2番目に明るい星も食べた!その難を避け、カニ座からカニにそっくりな怪獣ザニカが地球に逃げてきた!!

カニ座にカニそっくりな生物がいたという謎はいつか解明するとして、このスケールになると、距離の単位も「光年」になる。1光年は、秒速30万kmの光が1年かけて進む距離で、9兆4600億kmに等しい。

北斗七星は一番近い星でも地球から60光年=13億ガンダムで、かに座で2番目に明るい星までは136光年=29億ガンダム。怪獣ザニカの機動力は、機動戦士ガンダムをはるかに上回るわけですなあ。

さらに彼方へ行ったのがアニメ『トップをねらえ!』(1988~1989年)の主人公タカヤ・ノリコだ。超光速万能大型変形合体マシン兵器・ガンバスターで、銀河系の中心へ到達した。

銀河系は太陽のように自分で光を放つ恒星が2000億個集まったもので、直径10万光年の円盤型をしている。地球はその中心から2万8000光年離れたところにある。ノリコさんがガンバスターを駆った距離は5900億ガンダム!

宇宙戦艦ヤマトが目指した14万8000光年の彼方は、3兆1000億ガンダムである。『銀河鉄道999』(1977~1981年、少年キングほか)で「地球からアンドロメダまでの距離」とされていた228万3856光年は、48兆ガンダム!

そして筆者が知る限り、最も広く宇宙を飛び回ったのは、1967年放送の特撮テレビ番組『キャプテンウルトラ』である。主人公のキャプテンウルトラと、その仲間たちは、なんと宇宙の果てまで行った。劇中の説明によれば、その距離は8000億光年!

現実の宇宙にも「果て」と言えるものがある。宇宙空間は、遠くほど速く広がっていて、ある距離で光の速さに達する。それより向こうからは、光はやってこられないので、その向こうがどうなっているのか、知りようがない。

その距離にはさまざまな試算があるが、数百億光年ほどだろうといわれる。『キャプテンウルトラ』の世界では、その10倍ぐらいのところに本当の宇宙の果てがあったのだ!

その距離は1700京ガンダム。アラビア数字で書くと…

17,000,000,000,000,000,000ガンダム!

で、そこはどうなっていたかというと、え~、お花畑が広がっていました…。

地球近傍の宇宙空間も、はるか銀河を超えた大宇宙も、人間が己を信じ、人を愛する熱い物語の舞台になる。人間の想像力は、本当に素晴らしい!

※原稿では数字を四捨五入して表示しています。このため、示している数値を示された通りの方法で計算しても、答えが一致しないことがあります。

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