空想未来研究所

地球を救うスーパーロボットたちはどんなエネルギーで動いている?

いろいろなロボットのエネルギー源を考察してみた

空想世界で描かれたワクワクする未来を、エネルギー文脈から分析する好評のEMIRA連載。第3回のテーマは、漫画やアニメで描かれた地球を救うスーパーロボットたちが何で動いたのかについて考察する。

スーパーロボットは電気では動かない

現実世界のロボットは、ほぼ例外なく電力で動く。

電気はON・OFFや強弱の調節が容易で、応答速度も速く、それを制御するコンピュータとなると、電力でしか動きようがないからだ。

ところが、マンガやアニメに登場するロボットたちは「電力で動く」という設定のものは少数派だ。鉄腕アトムやエイトマンは原子力、マジンガーZは光子力、機甲騎兵ボトムズは人工筋肉、機動戦士ガンダムはミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉…。

いったいなぜだろうか?

その答えを、1996年に発表されたホンダのヒューマノイド「P2」に見ることができる。

身長182cm、重量210kg、稼働時間15分。発表当時、人間サイズで滑らかに歩く姿は「中に人が入っているんじゃないの!?」と思えるほど自然で、「世界初の本格的な2足歩行ロボット」と称えられたものである。

中でも世界を驚かせたのは、ケーブルが付いていなかったこと。

それまでの2足歩行ロボットはケーブルで外部から電力を供給していた。そのため行動範囲が限られ、命綱のケーブルがバランスを乱すこともあった。

P2はニッケル亜鉛電池を搭載し、完全な自律歩行を可能にした。軽量かつ大容量の電池が開発されたことが、ロボットを大きく進歩させたと言えるだろう。

ロボットアニメが盛んにつくられていた時代、電池は「重くて、すぐ切れる」ものだった。当時、電池で飛ぶ模型飛行機はなかったし、電気自動車も「バッテリーが重く、走行距離が短いから、将来性はない」とまで言われていたものだ。そうした時代に、ロボットを電力で動かすという発想は生まれづらかったのかもしれない。

そんなとき、アニメの世界に電力で動く画期的なロボットが現れたのだ!

日本の発電力でついにロボットが動いた日

その大いなる金字塔はエヴァンゲリオン(アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』1995年)。

電力の供給経路は、腰に接続したアンビリカルケーブル。放送はP2発表の1年前だが、接続を解除しても内部電源で5分は戦えるという設定だった。P2の活動時間15分に比べれば短いが、やはり想像は現実の先を行くのである。

エヴァの場合は、巨体だけに電力消費がただごとではなかったと思われる。

第3使徒サキエル(同作に登場する謎の生命体)との戦いでは、しゃがんだ状態からジャンプして、身長の10倍ほどの距離を飛び、サキエルに飛び膝蹴りを見舞っている。一連の動きに要した時間は、わずか2.3秒!

これに必要な電力は、もちろんエヴァのサイズによって決まる。その体格は作中では言及されたことがないのだが、『スーパーロボット画報』(竹書房)によると、全高40m、重量700t。これにしたがえば、エヴァは2.3秒で400mも飛んだことになる。

すると、そのスピードは時速630km。しゃがんだ状態から700tの巨体をここまで加速するのに必要な電力とは、4600万kWである。現在、現実世界の日本で発電している電力は1億kWのオーダーだから、その半分に迫る!

ちなみに、エヴァを運用するネルフは、第5使徒ラミエルとの戦いで、ポジトロンスナイパーライフルを使用するために全国から1億8000万kWの電力を徴収した。思い切った非常措置だったのだが、普段の戦いでもその4分の1ぐらいは使っていたということになる。

太陽光を頭に受けて動く

少し時代をさかのぼるが、キカイダー01(特撮『キカイダー01』1973年)も、実は電力で動いていた。

このヒトは「人造人間キカイダーのお兄さんロボット」という設定なのだが、その電力の調達手段がまことに画期的だった。なんと頭部に搭載されている太陽電池!

電力で動く点は現実のロボットと同じだが、その源は太陽のエネルギー。このため、太陽が出ている間は弟のキカイダーより強いのだが、太陽の光が届かない環境では出力が10分の1にまで弱くなっていた。文字通りのお天気屋さんである。

ロボットがソーラーパネルの電力で動けるのだろうか。

問題は01のサイズが人間大で、そのソーラーパネルが頭部にあること。パネルの面積がまことに狭い。その頭を直径20cmの球に置き換えると、断面積は314平方センチメートルだ。

晴れた日、地上には1平方メートルあたり850Wの太陽光が降り注いでいる。314平方センチメートルとは0.0314平方メートルだから、受けられる太陽光は27W。

発電効率が100%だったとしても、事務机のスタンドライトを点けるのが精いっぱいですなぁ。

標準的な体格の男性は、じっとしているだけでも55Wを消費するから、27Wではとても戦うことなんてできない。そのうえ日が暮れたら10分の1の2.7Wになってしまうのだから、もうどうしたらいいんでしょう。

キカイダー01が頭部で受けられる太陽光は27W。じっとしているだけで55Wを消費する標準的な体格の男性より出力弱めのヒーローということでしょうか…

ガソリンで動かすと操縦難度はSSS級

電力ではないのだが、ヒジョ~に現実的なエネルギーで動いていたのは、ザブングル(アニメ『戦闘メカ ザブングル』1982年)である。

エネルギー源は、なんとびっくりガソリンなのだ!ガソリンエンジンで、ロボットが動くのだろうか?

現実のロボットは、各関節に動きのパターンと同じだけのアクチュエータ(モーター)が付いている。P2の後継機である最新型ASIMOの場合は57個。すると、ザブングルにも57個のエンジンが…!? 

もちろん、ギアを接続、解除して動力を伝えるシステムなら、エンジンの数は少なくて済むが、その場合はギアを動かすための動力が必要になる。それもガソリンで動かすとしたら、構造が複雑になってしまうが…。

おまけに、ガソリンでコンピュータは動かないから、57個のエンジンまたはギアシステムを完全に手動で動かさねばならない。実際に、主人公のジロン・アモスは、ステアリング、レバー、アクセル、ブレーキ、クラッチなど、自動車とまったく同じ方法で操縦していた。それらが57個となると、忙しくてたまりません!

ザブングルに学ぶと、現実のロボットがなぜ電気で動いているか、深々とナットクできるなぁ。

三者三様のロボットたちだが、いずれも画期的な存在であった。キカイダー01は70年代、ザブングルは80年代、エヴァンゲリオンは90年代に考えられたもの。それぞれの時代の技術を踏み切り台に、想像力を最大限に飛躍させて生まれた名機たちなのだ。

人間の想像力は、本当にスバラシイ!

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