空想未来研究所

スーツはどこから出てきた?変身ヒーロー&ヒロインのすごさ

アニメ&特撮で描かれた変身について考察してみた

マンガやアニメの世界を研究する空想未来研究所が、今回取り上げるテーマは「変身」。スーパー戦隊や美少女戦士たちは、驚くべき能力を発揮するためのコスチュームチェンジをどのように行っていたのか考えてみました。

どのヒーローになりたい?変身3パターン

アインシュタイン(1879~1955年)は、「もう一度人生を歩めるなら、私は配管工になりたい」と言った。理由は、子供のころに憧れた職業だったこと、そして学者は生活に制約が多すぎることだったらしい。余人の追随を許さないほどの尊敬と憧れを集めた天才科学者にさえ、このような「変身願望」があったとは驚きである。

アニメやマンガには、変身してヒーローやヒロインになる人たちが数多くいる。少年少女や大人たちの「強くなりたい」「かわいくなりたい」といった変身願望を体現する存在なのだろう。

変身するヒーローには、いくつかのパターンがある。

1)仮面ライダーのように、肉体そのものが変化する。
2)ウルトラマンのように、肉体が変化したうえに巨大化する。
3)スーパー戦隊のように、強化スーツを身にまとう。

これらのうち、筆者のココロが最も動くのは、3の装着型の変身だ。

仮面ライダーには憧れるが、ショッカーの改造手術は受けたくないし、ウルトラマンはカッコいいけれど、一度死んだ上で宇宙人と命を共有しなければならない。どちらも大変そうだし、そもそもかなり現実離れした話である。

その点、スーパー戦隊の人たちは、専用のスーツを着用することで姿を変え、すごい能力を手に入れている。スーツが開発されれば、おそらく訓練は必要だろうが、あなたも私もヒーローやヒロインになれるかもしれない。

実際に、消防士は耐火服を着て火災現場に出場し、宇宙飛行士は専用の宇宙服を着て船外活動をする。スーツを着ることで「炎にも耐える」「宇宙に出られる」という新たな能力を獲得するわけで、そう思えば「装着型の変身」は、実現の可能性も高そうだ。

そこでここでは、装着型変身の可能性を、アニメや特撮番組の世界に見てみよう。

強化スーツはどこに隠していた?

装着型の変身には、大きな問題が立ちはだかる。

ヒーローたちは多くの場合、戦いのさなかに変身するが、それまで強化スーツをどこに隠し持っているのだろう?

これに明確な答えを示したのが『仮面ライダー555(ファイズ)』(2003~2004年)だ。

この作品では、ベルトを装着してファイズフォン(携帯電話型デバイス)に「555」と入力すると、ファイズに変身できるのだが、そのベルトやデバイスは巨大複合企業「スマートブレイン社」が開発したもの。

驚くべきことにこのベルト、普段はアタッシェケースに入れて持ち運ばれていた!

昭和のライダーに憧れて育った筆者にとって、「ベルトを鞄で運ぶ」という発想はオドロキだったが、よく考えてみれば、実際に変身用のスーツが開発されたら、このような扱いとなるのだろう。高額で売買されたり、使用に際しては免許が必要になったりするかもしれない。

では、他の装着変身ヒーローたちは、スーツをどうやって運んでいたのか。その歴史をスーパー戦隊に見てみよう。

初代『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975~77年)のスーツは「特殊強化服」という名前だが、それをどうやって携行し、装着するかについては、説明が一切なかった。「ゴー!」と叫んでジャンプしたり、その場でクルリと回ったりするだけで変身は完了する。

ただし装着の際、体に10万Vの電流が流れるため、訓練を受けた者が精神集中しないと着用できないという。なるほど、それなら敵の手に渡っても大丈夫…とも思うが、戦う前に10万Vもの電流を受けたりして、そのダメージで戦闘力が落ちないのだろうか。

第2代『ジャッカー電撃隊』(1977年)のスーツは「サイボーグ・プロテクター」で「強化カプセル」の中に入って装着する。その強化カプセルは、垂直離着陸飛行戦艦スカイエースに搭載されたスカイコンテナに固定されている。

つまり変身のたびに、味方のマシンに戻らなければならないわけで、極めて不便。初めから全員いつもスカイコンテナに乗っていた方がいいかもしれない。

第3代『バトルフィーバーJ』(1979~1980年)の「バトルスーツ」は、通信機のバトルシーバーに内蔵されていて、変身の際に射出される。バトルシーバーは腕時計ぐらいの機械だから、これにスーツが入るとしたら、かなりコンパクト化しているとみられる。

第4代『電子戦隊デンジマン』(1980~1981年)の「デンジスーツ」は、デンジリングという指輪形の通信機に収納されている。これはもう、オドロキのコンパクト化!

こうして、第9代『電撃戦隊チェンジマン』(1985~1986年)まで、コンパクト化の時代が続くが、第10代『超新星フラッシュマン』(1986~1987年)では革新的な転換が図られた。

ブレスレットをかざしながら掛け声を発すると、主人公たちの故郷であるフラッシュ星からスーツが転送されてくるのだ!

以後、本部などからスーツが転送される戦隊が多くなる。このパターンだと、現実の世界では、今のところ実現不可能だ。

このように、装着型スーツは「どうやって持ち運ぶのか」が現実的なネックとなるかもしれない。

それまで着ていた服はどこへ

装着変身には、越えねばならぬ壁がもう一つある。それまで着ていた服はどうするのか?

消防士は、仮眠するときも消防服を着ていて、耐火服はその上から着る。そして耐火服は、迅速に着られる状態で消防署に置いてある。だが、アニメや特撮番組の人々で、この方法を採用している例は少なそうだ。

『美少女戦士セーラームーン』のアニメ版シリーズ(1992~1997年)では、変身のときに全身が白く輝く。そのシルエットを見ると、服は着ていないようだ。

『ふたりはプリキュア』(2004~2006年)では、全身が金属光沢を帯びた薄緑色になる。こちらも服を着ている様子はない。

これらを見る限り、彼女たちはそれまで着ていた服を脱いでから、戦闘用のコスチュームを身に着けるらしい。

すると、脱いだ服はどうするのか?

その辺に置いとくと、乱戦の中で踏みしだかれたりして、戦いが済んで元のカッコウに戻ると服がシワくちゃの泥だらけ…ということになりかねないが…。

この問題について、注目すべきアイデアを出しているのは、『科学忍者隊ガッチャマン』(1972~1974年)である。

科学忍者隊は、18歳から11歳の少年少女で構成され、普段はTシャツに縞のパンタロンという軽装。彼らは、通信機も兼ねるブレスレットに向かって「バード、ゴー!」と叫ぶ。

すると、各人の声紋に反応して、3600フルメガヘルツ(架空の単位)の高周波が放出され、それぞれの着ている服が、「バードスーツ」に変わるのだ。なんと、服が変身することによって、本人も変身を果たす!

これは画期的な技術である。

1)スーツはどこに持っているのか? → 初めから着ている
2)それまで着ていた服はどうするのか? → そのまま着ている

という形で、装着変身の2大隘路(あいろ)をアッサリ解決しているのだ。素晴らしいですなあ。

ただし、普段着と戦闘用の服が同じというのは、ビミョーな気もする。16歳のヒロイン・白鳥のジュンは、戦いで汗をかいた後は、シャワーを浴びて洗いたての服に着替えたがるような気もする…。

空中の物質からコスチュームを作るヒロイン

さらに革新的な方法で変身するのは『キューティーハニー』(1973~1974年)である。

主人公・如月ハニーは、如月博士が死んだ娘の代わりに作り上げた「女性型半生体アンドロイド」。骨格などは機械、皮膚は生体組織でできている。心臓に「空中元素固定装置」を内蔵していて「ハニーフラッシュ!」と叫ぶと、体が輝いて、着ていた服が飛び散り、さまざまな職業(レーサー、カメラマン、キャビンアテンダントなど)の服装に変わって、その職業の能力を発揮できる。これぞ「ハニー七変化」。新しい服は、空中元素固定装置で作っている。

これまた素晴らしい。飛び散った服が空気に戻るとしたら、着ていた服はどうするのか問題も発生しない。

だが、空中の元素から、服が作れるのだろうか。

たとえば木綿は、セルロースでできている。これは、炭素、水素、酸素が組み合わさった物質で、この3元素は全て空気中にある。

しかも、セルロースは、植物が光合成で作るブドウ糖が鎖のように連なった物質だ。つまり、空中元素固定装置が光合成と同じ反応を起こし、ブドウ糖からセルロースを作れば、木綿を作ることは可能といえるのだ。

また、絹の主成分はフィブロインというタンパク質で、タンパク質は、上記3元素+窒素でできている。ポリエステルやナイロンなどの化学繊維も、多くは炭素、水素、酸素、あるいは+窒素。つまり、ほとんどの繊維は空気中の元素から作ることが可能である。

ただし、作れるのは繊維だけだ。これを服にするには、より合わせて糸にして、染色して、織って布にして、デザインして、裁断して、縫製しなければならない。

『キューティーハニー』の空中元素固定装置は、それらも一瞬でやり遂げるのだろうが、それこそがすごい。

憧れの変身を実現するために、スーツをコンパクト化したり、転送したり、服そのものを変身させたり、空気中から作ったり。現在の技術では不可能だが、およそ40年を振り返っても、どれほどの「不可能」が「可能」になってきたことか。それを考えれば、現実社会での人間の変身もどんどん実現していくに違いない。それらを先取りしていた人間の想像力は、本当に素晴らしい!

※原稿では数字を四捨五入して表示しています。このため、示している数値を示された通りの方法で計算しても、答えが一致しないことがあります。

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