空想未来研究所2.0

小宇宙に匹敵するエネルギー!超絶危険なヤマトの波動エンジン

アニメで描かれたエンジンについて考察してみた

マンガやアニメの世界を研究する空想未来研究所が、今回取り上げるテーマは「エンジン」。敵と戦うロボットや、遠い惑星まで航行する宇宙戦艦が搭載していたエンジンがどのようなものだったのかを考えてみました。

熱を運動に変えるメカニズム

イギリスの技術者トーマス・ニューコメンが蒸気機関を発明したのは1712年。広い意味でのエンジンの嚆矢(こうし)といえるだろう。お湯を沸かし、発生させた水蒸気の圧力でシリンダー内のピストンを動かす。燃料の石炭がシリンダーの外で燃焼するので「外燃機関」と呼ばれている。

これに対して、燃料をシリンダーの内部で燃やすのが「内燃機関」で、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンがこれに当たる。またピストンを往復させるのではなく、羽根車を回す「ガスタービン」も内燃機関の一つだ。

内燃機関はお湯を沸かす必要がないので、軽い上に起動が早い。

現実の世界において、エンジンとは、熱エネルギーを運動エネルギーに変える装置である。ポンポン蒸気の焼玉エンジンから、ロケットエンジンまで、その点は変わらない。熱エネルギーは燃料を燃やせば発生するから、手に入れやすいのだ。

では、空想の物語には、どんなエンジンが存在するのだろうか。そこで登場するエンジンたちは、現実のエンジンと一体どのような違いがあるのだろう?

波動エンジンは宇宙を吹き飛ばす!?

ロボットアニメの中にも、現実的なエンジンが登場するものがあった。例えば「戦闘メカ ザブングル」(1982~1983年)。

ザブングルのエンジンはガソリンエンジン。燃料は当然ガソリンで、ハンドルやペダルなど車と全く同じ装置で運転する。

このザブングル、姿勢によってはガソリンが胴体を巡るパイプの中をうまく流れていかず、動けなくなったりしていた。ガソリンという液体を燃料にしていれば、起こり得ることだ。まことにリアルである。

これとは対照的に、壮大な架空のエンジンを発想したアニメといえば「宇宙戦艦ヤマト」(1974~1975年)であろう。そのエンジンは、物語の根幹にも関わるものだった。

西暦2199年、地球はガミラス帝国の遊星爆弾攻撃で滅亡まであと1年に迫っていた。そこへ、イスカンダル星の女王・スターシャからメッセージが届く。「イスカンダルには爆弾による汚染を除去する『コスモクリーナーD』がある。それを取りに来るように」と。

ところが、地球からイスカンダルまでは14万8000光年。1年以内に帰還するには、空間を跳躍する「ワープ」が必要だが、地球にその技術はない。ところがスターシャは、ワープを可能にする「波動エンジン」の設計図もメッセージと共に送ってくれていた。何と行き届いた宇宙人であるか!

この波動エンジンには、もう一つの使い方があった。それが生み出すエネルギーを艦首から前方に発射する「波動砲」である。その威力はすさまじく、航行中に立ち寄った木星ではオーストラリア大陸ほどもある浮遊大陸を消滅させた。

つまり、波動エンジンのおかげで、ヤマトは遠大な旅に必要なエネルギーと、敵を攻撃するためのエネルギーを手に入れたわけである。

波動エンジンについては、アニメの中でも科学班の真田(志郎)さんが説明したりしていたが、簡潔にまとめてある書籍を参考に考えてみよう。

「宇宙戦艦ヤマト画報」(竹書房)には、こうある。「ひとつの小宇宙にも匹敵するエネルギーを封じ込めた波動エンジン内部は“閉ざされた宇宙”とも言える」。

「宇宙戦艦ヤマトメカニック大図鑑1」(バンダイ)は、こう記す。「一つの小宇宙にも匹敵するエネルギーが封じ込まれており、とくにワープ航法時の操作を誤ると、暴走して宇宙全体を吹き飛ばしかねない」。

何と、エンジンの中にエネルギーが封じ込められている!これは車のエンジンの中に、動くために必要なガソリンが全て入っているようなもの。究極の“内燃機関”である。

しかも、封じ込められているエネルギーが、一つの小宇宙に匹敵するというのだから恐ろしい。小宇宙とは、銀河系やアンドロメダ銀河といった星の集まりのことだから、それは大変なエネルギーになる。

宇宙の全ては138億年前のビッグバンのエネルギーから生まれたが、ここから「一つの小宇宙に匹敵するエネルギー」を計算すると、100,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000(1062)ジュール。莫大(ばくだい)過ぎて、どれほどなのか分かりません。

念のため、そのエネルギーで現実世界の全人類が何年暮らせるかを計算すると、200,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000(2×1041)年。やっぱり分かりません。

さらに念のために、地球を何個破壊できるかを計算してみると、400,000,000,000,000,000,000,000,000,000(4×1029)個。いよいよ分かりません!

ハッキリしているのは、あまりに大量のエネルギーが封じ込められた、宇宙一危険なエンジンだということだ。古代(進)くんとか森雪とか、ヤマトの乗務員は勇気があるなあ。

驚異的な螺旋エンジン!

ユニークなエンジンを使っていたのは、ロボットアニメ「天元突破グレンラガン」(2007年)だ。そのエンジンは、「螺旋(らせん)エンジン」で、動力源は「螺旋力」である。

螺旋力とは何か?それは「DNAの二重螺旋構造に秘められているエネルギー」だという。それを持つ生物は「螺旋生物」と呼ばれていて、人間はもちろん螺旋生物であり、螺旋力の一つの現れは螺旋生物が進化することだという。そして、ガンメンと呼ばれる巨大ロボットを動かすために、操縦者が持っている螺旋力をエネルギーに変えるのが螺旋エンジンなのだ。

非常にオモシロイ発想だ!もちろん「DNAの二重螺旋に秘められた螺旋力」という部分は現実の科学を超えているが、「ある形のエネルギーを運動エネルギーに変える」というエンジンの本質からは外れていない。

この螺旋エンジンは、驚くべき現象を起こした。主人公・シモンのガンメンは、味方のガンメンと合体しながら、ラガン→グレンラガン→アークグレンラガン→超銀河グレンラガン→天元突破グレンラガンと、巨大化していく。これも螺旋力のおかげである。そして、最終形態である超天元突破グレンラガンは、身長が銀河の直径の2倍に達する!

銀河系の2倍は20万光年だ。これは190京kmであり、アラビア数字に直して、地球の直径と比べると、こうなる。

超天元突破グレンラガン:1,900,000 ,000,000,000,000km
地球の直径:13,000km

こんな大きさのロボットがホントにいたら、重量は全宇宙の20億倍に達するはずである。ものすごい!どれほどのエネルギーを生み出せるんだ、螺旋力!?

アニメで描かれたエンジンはさまざまで、まことに壮大な夢にあふれている。何らかのエネルギーを動力エネルギーに変えて、それを使って遠大な旅をし、強大な敵と戦う。そこには空想と現実が融合した、魅惑の発想が詰まっている。人間の想像力は、まことに素晴らしい!

※原稿では数字を四捨五入して表示しています。このため、示している数値を示された通りの方法で計算しても、答えが一致しないことがあります。

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