エネルキーワード

国民全員で普及させる再エネ「再エネ賦課金」とは

エネルキーワード 第12回「再エネ賦課金」

「エネルギーにまつわるキーワード」を、ジャーナリスト・安倍宏行さんの解説でお届けする連載の第12回は「再エネ賦課金」。電気料金の明細に含まれている「再エネ賦課金」が再生可能エネルギーの普及のためになぜ必要なのか、考えてみました。

TOP写真:メガソーラー 
出典:U.S AIR FORCE

再生可能エネルギー(再エネ)は今どの位普及しているのでしょうか?政府は2015年に発表した「長期エネルギー需給見通し」で、2030年におけるエネルギーミックスの目標を示しています。その中で、再生可能エネルギーの割合は22~24%程度としています。(図1)

(図1)長期エネルギー見通し(2030年)

出典:経済産業省「長期エネルギー需給見通し」

一方、2015年の再エネの割合はどのくらいかというと、4.7%(水力以外:図2)で、目標への道のりは平坦ではありません。

(図2)日本の電源別発電電力量構成比推移(10電力計:含受電)

出典:電気事業連合会データーベース「電力設備」

では、その再生可能エネルギーの導入を拡大する為に我が国ではどのような政策がとられているのでしょうか?その答えが「固定価格買取制度(FIT=Feed in Tariff:フィット)」です。東日本大震災後の2012年7月にスタートしたこの制度は、再エネで発電された電気を電力会社が一定期間固定価格で買い取ることを義務付けたものです。
 
問題は、買い取る費用はだれが負担しているのか、です。答えは、電気を使っている私たち、すなわち「電気の利用者」です。「再エネ賦課金」という名目で電気料金と一緒に集められています。ご存じなかった方も多いのではないでしょうか?
 
何故、すべての電気利用者が負担するのか、政府は以下のように説明しています。
 
・再エネ普及はエネルギー自給率向上に有効。
・エネルギー自給率が向上すると、化石燃料への依存度が下がり、燃料価格の乱高下による電気料金の変動が抑えられる。
 
つまり再エネ普及は、エネルギー安全保障の観点から重要だ、ということですね。また、買い取られた再エネの電気は、電気利用者に電気の一部として供給されているので、電気料金の一部として「再エネ賦課金」を集めることを理解してもらいたい、というのが政府のスタンスのようです。(注1)
 
ここで、電気事業会社から毎月来る、「電気ご使用量のお知らせ」を見てみましょう。「再エネ発電賦課金」という項目があると思います。下図の⑨がそれにあたりますね。(図3)私たち一人一人が再エネの普及を後押ししているわけです。

(図3)「電気ご使用量のお知らせ」

出典:東京電力エナジーパートナーズ「電気ご使用量の読み方」

さて、その「再エネ賦課金」の推移を見てみましょう。(図4)全量買取制度が始まったとき、賦課金の単価は0.22円/kWhでした。その後上がり続け、2016年度には2.25円/kWh、最新の2017年5月は2.64円/kWhとなりました。(対前年度+17%)標準的な家庭だと(電力使用量月間300kW)、賦課金は月額で792円になります。再エネを普及させるために賦課金を増やしてきた経緯がよくわかります。皆さんもご自分の毎月の賦課金がどのぐらいか、これを機会に調べてみましょう。

(図4)再エネ賦課金単価推移

出典:国際環境経済研究所 HP「再エネ賦課金の抑制は可能か?」

ところで、この再エネ賦課金の単価はどう決まるのでしょうか?まず、固定買取制度で年間に買い取る電力量の想定をもとに、「買取費用」から「回避可能費用」を差し引きます。「回避可能費用」というのは、電力会社が同じ電力量を火力発電等で発電する場合に必要なコストで、差額分を国民が電気料金で負担するという仕組みになっています。ちなみに、2017年度の再エネ賦課金は以下の式で計算されています。
(図5)

(図5)2017年度賦課金単価算定根拠

出典:経済産業省資源エネルギー庁HP

固定価格買取制度が始まってまだわずか5年ですが、以下に示したように、再エネの設備導入量は着実に伸びています。

(図6)再エネ設備容量 (注2)推移(大規模水力除く)

出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック2017」

最初に述べた、2030年のエネルギーミックスで、全電源構成の内、再エネの比率は22~24%が目標となっていることを述べました。その目標を達成する為には買取費用が3.7~4兆円になると試算しています。(図7)

以上みてきたように、再エネの普及にはそれなりの国民負担が必要です。ただ、やみくもに買取費用を増やせば経済成長にブレーキがかかるでしょう。これ以上国民負担を増やさないようにしながら、同時に再エネの導入を着実に増やしていく。簡単ではありませんが、我が国にはそれをやり遂げなくてはいけない責任があるといえましょう。

 

(図7)買取費用と賦課金(カッコ内)の推移

出典:資源エネルギー庁「FIT法改正を踏まえた 調達価格の算定について」

※注1 参考:経済産業省資源エネルギー庁 なっとく!「再生可能エネルギー」

※注2 設備容量(Installed Capacity) 発電設備における単位時間当たりの最大仕事量。単位はワット(W)あるいはキロワット(kW)が用いられる

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