エネルキーワード

COP23を契機に考える、日本のエネルギーミックス

エネルキーワード 第22回「COP23」

「エネルギーにまつわるキーワード」を、ジャーナリスト・安倍宏行さんの解説でお届けする連載の第22回は「COP23」。国際的な枠組み「パリ協定」のルール作りを進めるための会議で、過去には京都でも開催されました。11月17日まで開催されたCOP23はどんな進展があったのでしょうか。

TOP写真:COP23

出典:photo by Climate Alliance © Birgit Farnsteiner

11月6日から17日までの約2週間、ドイツのボンでCOP23、国際気候変動枠組条約第23回締約国会議が開催されました。
 
そもそもCOPとは何でしょうか?

実は、“Conference of the Parties”の略で、地球温暖化対策のために新しい国際的な枠組み「パリ協定」のルール作りを進めるための会議のことなのです。かつて京都でも開かれたことがあるのを記憶している方も多いのではないでしょうか。
 
気候変動枠組条約ができてから今年で23回目を迎えるという意味では、すでに20年以上も国際的な議論を続けてきたということになります。
 
この会議の焦点は2020年以降の「パリ協定」の運用ルールを2018年までに作り上げるために、いかにルールの交渉を進展させるかが問われていました。
 
今回の会議ではルール作りの交渉加速を確認すること等を盛り込んだ合意文書を採択し、18日に閉幕しましたが、今後の交渉は難航が予測されています。
 
その「パリ協定」とは、2015年12月にCOP21で採択され、翌年11月に正式に発効となった地球温暖化対策のための新しい国際協定です。
 
ここでポイントになるのは、この協定は、あくまでも「自主的な枠組み」である、ということです。つまり、目標を掲げてその達成に向けて努力をしましょう、そして5年ごとに目標を見直し、強化していきましょうという仕組みだということなのです。強制力がそもそもないわけです。
 
さてここで各国の温室効果ガスの削減目標を見てみましょう(図1)。

(図1)各国の温室効果ガス削減目標

出典:国連気候変動枠組条約に提出された約束草案抜粋 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

日本は2013年度と比べて2030年までに26%削減するという、大胆な目標を立てています。一方、今回開催国でもあったドイツのメルケル首相の発言にも注目が集まりました(写真1)。1990年比40%削減するという2020年の目標達成は難しいと述べ、ほぼ断念した形となったのです。

(写真1)独メルケル首相

出典:Pixabay

また、パリ協定には「世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える(1.5℃に抑えれば、さらによい)」「今世紀後半には世界全体で温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする」「参加国は排出量削減目標を立て、5年ごとに見直す」等が盛り込まれています。

アメリカの動き

また今回のCOPで注目されたのは、昨年6月にパリ協定離脱を決めたアメリカの動きです。アメリカ政府団の人数は例年の3分の1の約50名と大幅に減ったものの、交渉姿勢に変化はなく一定の存在感はあったようです。
 
その中でも多くの関心を集めていたことについて、インターネット番組「Japan In-depthチャンネル」に出演した国際環境経済研究所理事・主席研究員の竹内純子氏はアメリカの評価について次のように語りました(写真2)。

(写真2)竹内純子氏と筆者

引用:Japan In-depthチャンネル

「COP23では2つのアメリカがあると評価されている。一つは政府の交渉団として来ている“United states of America”。一方でパリ協定を離脱すると宣言した連邦政府に対して反発をし、州知事や企業のリーダーが、『連邦政府だけがアメリカではない、州としてパリ協定の目標を達成していく』と表明する『我々はパリ協定の中にいる(We Are Still In』という団体がいること」(写真3)。

(写真3)“We Are Still In”wearestillin のパビリオン

出典:Twitter @wearestillin

今やこの団体には、20の州、110の都市、1400を超える企業など合計2500以上の主体が参加しているといいます。全部合わせるとアメリカの人口や経済規模の半分以上を占めることになり、日本やドイツを大きく上回る規模となっています。
 
いくらパリ協定からの脱退を表明したとしても、これだけの規模の集合体が、パリ協定を守っていく“We Are Still In”と表明していることは、他の国にとっても心強いことではないでしょうか。

来年のCOP24は、ポーランドのカトウィツェという工業都市で開催されます。ポーランドは消費電力の9割を石炭火力に頼る石炭大国で気候変動対策に消極的な国です。このような国があえて自国の炭鉱の町にCOP24を招致するのは、厳しい対策を求める決定を回避するよう働きかけるためとも言われています。

日本の課題

日本の果たすべき役割は何でしょうか。

原子力発電所のほとんどが停止している日本では、電力事業者が石炭火力発電所を新規増設する計画を立てています。このままではCO2削減計画に支障が出かねません。そうした中、COP23開催中に、地球温暖化対策の前進を妨げている国に贈呈される「化石賞」(※注1)1位と2位が日本に贈られました。
 
1位は全ての先進国に送られたもので、他の国とのダブル受賞ですが、2位は単独、というなんとも不名誉な結果となりました。日本がアメリカと11月6日に結んだ石炭火力発電所をアジアやアフリカに積極的に展開することなどをうたった覚書が2位の受賞理由でした(写真4)。

(写真4)化石賞を贈呈された日本

出典:Youtube Climate Action Network「Fossil of the Day」

確かに石炭火力発電は技術革新により過去のものに比べ高効率になっていますが、それでも天然ガスの2倍以上の二酸化炭素を排出します(図2)。地球温暖化防止の観点から、燃料を石炭から天然ガスに替えることが望ましいのは言うまでもありません。

(図2)各種電源別のライフサイクルCO2排出量

出典:原子力・エネルギー図面集 2015

ここで日本はあらためて、「長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)」の目標をどう達成していくのか、原子力発電の在り方を含め、より踏み込んだ議論を進める時期に来ているのではないでしょうか?

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