理系女子の履歴書

身近なものの解を導き出す明快さ――失敗を経て見つけた統計学

東京理科大学 理学部第二部数学科3年 鈴木りか

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る新連載。第1回は、東京理科大学の数学科に通う鈴木りかさん。統計学を学びながら将来を模索する日々の中で、今感じること、そして夢を実現するためのエネルギーとは。理系女子の本音に迫りました。

嫌いから一転、感覚で選んだ数学科

鈴木りかさんは、東京理科大学の数学科に通う大学3年生。2017年、同校のミスコンテストでグランプリに輝いた学内の有名人だ。栄冠に輝いたものの浮ついた様子はなく、本人は至ってマイペース。数学科を選んだ理由を尋ねると、柔和な表情で語ってくれた。

「実は、中学生まで数学がとても苦手でした。でも、高校で数学に触れるうちに“規則性を探す”ことにはまって、気付いたらそれが趣味になっていたんです。1に0.5をずっと掛けていくとどうなるのかと思って計算したら、小数点以下が循環小数になることを知って感動したんです。数学科を選んだのは、数式をたくさん解けるのだろう、なんていう軽い気持ちでした」

好きな数式は「オイラーの等式」。映画にもなった小川洋子著『博士の愛した数式』にも登場する

国語の授業であるような解が不特定なものは苦手で、「このときの筆者の気持ちを答えよ、とか言われても…」と笑う。「数学はやることが明快。答えがはっきり出るのが面白い」という。

「大学は、学校名に“理科(りか)”と自分の名前が入っていることにシンパシーを感じて選びました」

感覚とはいえ、好きでなければ簡単には選ばないであろう数学の道。そこへ歩みを進めた彼女が、現在力を入れている授業は統計学だそう。中でも、プログラミングで統計計算を行うSAS(Statistical Analysis System:統計分析システム)を用いたデータ解析に高い関心を持っている。

「自動車保険の料金などは、統計学の肝である確率論で算出されていて、社会に求められているスキルだと思っています。今はまだ基礎的なことを勉強していますが、計算して、答えが出て、それが合っているとうれしい。高校のときの趣味の延長ではないですが、私が好きな数学はこれだと気付きました。4年次にはSASのゼミに参加したいと思っています」

授業には真剣に耳を傾ける

留学生とのシェアハウス生活で成長

計算は地道なプロセスの積み重ね。日々の生活もまた、将来のために一日一日を重ねていく。学業、アルバイト、就職活動、遊びと、彼女のスケジュールはとにかく詰まっているのだが、さらに家に帰っても、スイッチを切るというわけではないようだ。

「今、シェアハウスに住んでいるんです。一軒家に私を含めて女子5人。それも、全員留学生です。フランス人、ブルネイ人、韓国人が2人。日本人と違って、みんな自由なんですよ。洗面所はいつも水浸しだし、お風呂には髪の毛落ちてるし…。実家だったら耐えられないけれど、国によって文化も違うから仕方ない、と寛容になれました」

洗濯機の使い方もままならなかった自分に危機感を覚え、1年前に実家を飛び出した。自活する力を身に付けると共に、コミュニケーションにおいて大きな変化があったという。

大学が好きすぎて、友人がいる他のキャンパスに遊びに行くこともあるという

「もともと話すことは好きなのですが、人見知りするタイプで。グループワークに参加しても、発言することなく隅で静かにしているような性格でした。でも、シェアハウスで生活していると、国ごと、人ごとに考え方は違うし、それが当たり前の環境。なので、日々の生活ではもちろん、大学内でもしっかりと自分の意見を発信するようになりました。就職活動に本腰を入れるためにも近く実家に戻りますが、大きな財産になったと思います」

「デートは図書館が定番」というのが理系女子のあるあるだそう。デートとは言うものの、図書館では真剣に勉強。都内には図書館が多いため、コンプリートを目指しているとか

学内の好きな場所は食堂。お気に入りのメニューは日替わり定食の一つである味噌マヨだそう。窓に面したお気に入りのカウンター席で、大好きなTwitterをチェック

学内のミスコンに出場し、グランプリに輝いたこともターニングポイントだろう。最近では学内で知らない人から声を掛けられることも増えたというが、主にTwitterでの情報拡散に重きを置いていたからだと自らを分析する。

「どうせなら多くの人に見てもらいたいので、できるだけ拡散されるような言葉選びには気を使いました。結果ミスコンの公式アカウントよりもフォロワー数が多くなったんです。でもその分批判も多くて…。情報リテラシーは学べましたね(笑)」

一番反響があったのは「140文字に魂を込めろ」という一言。外見と発言のギャップが注目を集めた

多くを知り、その上で選択することの大切さ

一見すると順風満帆に思えるりかさんの学生生活だが、その背景には挫折がある。

「数学科は教員志望が多い学部で、実は私も先生を目指していたんです。今はとても後悔しているんですが、実は高校時代に遅刻が多かったために母校から教育実習を断られてしまって…。当時の自分を恨みます」

母校以外の実習先を探す手もあったが、そうはしなかった。

「そのことがきっかけで、本当に先生になりたいのかと突き詰めて考えてみたんです。インターンシップで実際の仕事、職場に触れてみて、授業を受けるのと教えるのとでは全く違うということに気付きました。教える側になることが、本当にやりたいことなのか、そもそも自分のやりたいことって何なのか。全く決まっていないことに気付かされたんです」

就職活動の準備を急いでいるのも、この失敗が起因している。多くを見聞し、可能性を模索していくことが、今必要なことだと彼女は心に決めた。

理想の上司像は、オンオフがはっきりしている人。「仕事中以外もピリピリしている人は苦手ですね」

「数学は『その数式をいつ使うのか?』とよく言われますが、今、学んでいるSASでは、テストの点数や交通事故の数などの数字を扱うので、一般社会とのギャップがなく考えることができます。能力を身に付けた上で、どのように役立てていきたいのかを考えることは今後の課題ですが、システムエンジニアや商社、銀行など、学んだことを生かせる職に今は興味があります」

暗中模索ながらも、りかさんを前へ前へと突き動かすエネルギーとなるのは「予定」だという。何もしない日を作らず、先の予定を詰め込んでいく彼女の自己マネジメント。だから、彼女の毎日は忙しい。

「高校時代の失敗が、いろんな意味で大きいです。理科大の数学科を選んだことを後悔はしていませんが、安直に選んでしまったことで、他の道を断ってしまったことになったかもしれないとも少し思います。今後もさまざまなものを見て、知ることを大切にしていきたいです。自分の未来は、きっとその中で見つかると思います」

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterでフォローしよう

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • はてぶ!
  • LINE