理系女子の履歴書

0から1を生み出す空間デザインで人を笑顔にしたい

東京理科大学理工学部建築学科1年 原木泉佳

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る「理系女子の履歴書」。第2回は、東京理科大学理工学部建築学科に通う原木泉佳(みか)さんのもとへ。「建築の空間デザインを通じて人を笑顔にしたい」と語る彼女が考える、人を笑顔にするエネルギーとは?

物心ついたときから憧れていた意匠の世界

大学1年生といえば、専門分野を見つける前段階として広く学ぶ時期。しかし、東京理科大学理工学部建築学科に通う原木泉佳さんは、すでに明確な将来の夢を持っている。その夢とは、建築物の意匠を手掛ける住宅デザイナー。幼いころから憧れていた職業だったそう。

「小学生のときに、新聞の折込チラシで入っていた住宅広告の間取りを見るのがとても好きで、休みの日の楽しみにしていました。当時、テレビで見ていた『大改造!!劇的ビフォーアフター』(テレビ朝日系)の影響もあったと思いますが、間取りを見ながら、ここにソファを置いて、こっちにはテレビを置いてと、あれこれ想像を膨らませているのが楽しくて。だから私が好きなのは、ビルなどの巨大な建築ではなくて、一般住宅なんです」

原木さんが授業を受けている東京理科大学野田キャンパスの講義棟で。「顧客の注文に対して、プラスアルファを提案できるようなデザイナーになりたいです」と原木さん

実は東京理科大学には、工学部と理工学部に2つの建築学科がある。原木さんは両者に明確な差異はないと言うものの、「前者は製図など机上での勉強が多く、後者は意匠系の課題など感覚的な部分が多いイメージ」なのだそう。

理工学部建築学科は、どちらかというと自由な発想を養う授業が多く、原木さんが目指す住宅デザイナーとマッチしていることは言うまでもない。およそ1年の授業を経て、特に記憶に残る授業はあるか聞いてみた。

「空間デザインの課題で完成させた、自宅の部屋を丸ごと使った大掛かりなインスタレーション(空間全体を作品化する表現手法の一種)です。現実なんだけど現実じゃない、不思議な感覚になる異空間を作ってみたくて。ファッション誌のページを壁から天井、家具まで部屋中に貼り付けたんです。壁は赤系、家具は青系と補色を組み合わせることで、家具が浮き出てくるような立体感も出しています。部屋の中に立ってみると、どこが前で後ろかというのが分からなくなる感覚が面白かったです。全て貼るのに丸3日もかかりましたけど(笑)」

実際に自分が住んでいる部屋を、雑誌の誌面で覆ったインスタレーション。1年生の後半に出された空間デザインの自由課題で、教授からの評価も高かったそうだ

尊敬する建築家はたくさんいるが、一番に挙げるとしたら安藤忠雄氏。手に持つのはインスタレーションを施した自宅の模型

勉強も遊びも「好き」を貫く

住建築は人が住むもの。「わりと伸び伸びと学ばせてもらっている方なのかなと思います」と笑いながらも、インスピレーションだけでどうにかなるものではないことは彼女も当然理解している。学ばなければならないことは多岐に及び、理系ながらも消防法や建築基準法などの法律関係も頭にたたき込まなければならない。

「建築構造学や建築材料、防災概論など、実技以外の授業もさくさんありますが、好きなことだからこそ頑張れます」と原木さん。自分自身、意外に感じたのは、昔は苦手だと思っていた暗記が、大学に入ってみると苦ではなくなったこと。

「大学に入る前までは暗記がとても苦手だったんです。なので大学入試はとっても苦労しました。でも、実際に大学で1年勉強してみると、変わったんですよね。法律とか、独特の言い回しには惑わされますけど、好きな建築のことなら、不思議と覚えられるんです(笑)」

理想の上司像は、しっかりと怒ってくれる人。「怒るって、すごくエネルギーを消耗すること。自分ではなかなかできないから、すごいなって思います」

好きなことなら頑張れるという彼女。キャンパスは千葉県野田市にあるのだが、自宅は東京都心部。早朝に起き、毎日通っている。

「東京生まれ、東京育ちだからか、都会が好きなんですよね。だから今も割と都心に住んでいるのですが、そのぶん、1限に間に合うためには毎日6時半には起きないといけなくて。でも好きだから我慢できます。休日に建築物巡りをするにも便利ですし。将来は東京ならではの狭小住宅のデザインも手掛けていけたらいいなと思っています」

キャンパス内でのお気に入りの場所は体育館前の大きな広場。「キャッチボールも余裕でできます!そもそもキャンパス自体が広すぎるので、学内の移動用に自転車を置いている生徒もいるくらいです(笑)」

人の生活を良くする技術革新に期待

都会が好きだから、都会に暮らす。勉強もプライベートもありのままの気持ちでやりたいことをやる。もちろん、将来の夢も同じだ。

「私が通う学部は、建築の意匠がやりたくて入学する人が多いんです。でも、アイデアを出し続けなければいけないという産みの苦しみみたいなものがあって、意匠を諦めて構造や資材、防災を専門にしていく人も少なくないんです。でも私は絶対にやりたい。そこだけは譲れないですね」

ヒップホップダンスのサークルに入っているという原木さん。他にも、女子大学生たちが本家顔負けのパフォーマンスで競うアイドルコピーダンスのコンテスト『UNIDOL(ユニドル)』にも参加している

「とても大きい夢かもしれないですが、子供のころに憧れたあのテレビ番組に出られるようになるまでは頑張り続けたいです。それまで番組が終わらないといいのですが(笑)」

そんな原木さんが目指す住宅デザイナーとは。ズバリ聞いてみると、とても明瞭な答えが返ってきた。

「家って、住む人によって重きを置くところが違いますよね。駅から近いとか、遠くても広い方がいいとか、間取りはこうだとか。その違いが面白いところでもあると思うし、それに応えられるような住宅デザイナーになりたいです。そのためにも勉強はもちろん、国内外の建築物を目で見て、新しい知識もどんどん吸収していきたいと思います」

コンクリート打ちっぱなしの建築物が好きだが、一方で「東急プラザ表参道原宿」の屋上「おもはらの森」のような、都会の中の憩いの場にも魅力を感じているそう

近年では、世界的にクリーンエネルギーを普及させる動きが加速しており、日本でもゼロエネルギー住宅が推奨されている。今後は住建築にまつわる革新技術や、新しい常識も生まれてくるだろう。その時代を担っていくのは、彼女のような世代だ。

「建築は0から1を生み出すことで笑顔を作れる仕事。人の喜びとか、楽しさとか、そういったポジティブなエネルギーを与えられる職業なのかなと思っています。まだまだ詳しくないですが、数年後には太陽光発電などもきっとさらに進化して、住宅のエネルギーに関わる機器も、もっと便利になっているはず。そうしたら住宅をデザインする自由度も上がって、面白くなりそうですよね。エネルギーが人の生活を良くする、その未来に期待しています」

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