理系女子の履歴書

脳科学を学んで人の心を動かす映像作品を生み出したい

東京理科大学 理学部第一部応用物理学科3年 高橋 麗

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る「理系女子の履歴書」。第3回は、東京理科大学応用物理学科に通う高橋 麗(れい)さんを訪ねた。4年次には脳科学を研究し、宣伝企画など、映像を扱う仕事に役立てたいという彼女。その考えに至るまでの葛藤と、夢を実現させるための原動力に迫った。

分岐点に立って見つけた脳科学と夢

4月から4年生になる、東京理科大学 理学部第一部応用物理学科の高橋麗さん。4年生といえば就職活動が本格化する時期でもあり、まさに今、彼女は人生の分岐点に立っている。高橋さんが目指す将来を尋ねてみると、物理とは直接結びつかなさそうな答えが返ってきた。

「ジャズダンスをやっていた影響もあって、いろんな表現を見るのが好きで。特に映画やCMなど、短い時間で人の心を魅了する作品が好きなんです。実際の制作に携わりたいというよりは、イベント企画など宣伝を担う裏方の仕事に興味がありますね」

葛飾にキャンパスがある東京理科大学 理学部第一部応用物理学科に通う高橋 麗さん

意外だが、実は彼女が通う応用物理学科の卒業後の進路は、何も研究職ばかりではない。いわゆる情報通信業に就く人も少なくないのだ。宣伝企画といった彼女が目指す職種も、広義ではこの情報通信業に含まれる。しかし、理系に進んだ高橋さんだが、将来のことまでは念頭に置いていなかったと後悔の念を口にする。

というのも、同じ職を目指すライバルには圧倒的に文系が多く、実際に就職活動をすると、面接官に「なぜ理系に進んだのか」と尋ねられることも多いのだという。

「そういうときには正直に、深く考えていませんでした、と答えるようにしています。取り繕っても仕方がないし、自分で決めた道ですから。文系に進んだ方が良かったのかな、と後悔することもありますが、最後までやり抜かないといけない。そんな気持ちで勉強と就活に取り組んでいます」

高橋さんが特別なのではなく、多くの大学生は、やりたいことが決まっている方が少ないかもしれない。そういう意味では、とてもリアルな大学生らしい一面。しかし、暗中模索する中で彼女が見つけた、一筋の光があった。それは、脳科学だ。

1年生のときにとった思い出のノート。几帳面な性格が伝わってくる

「脳科学では、例えば人に怖い顔を見せたときに、脳がどういった反応をするかを脳波から読み解く、というようなことを研究します。端的に言えば、ある事象が脳に与える影響を、物理学の切り口からひも解いていくということなのですが、それって心理学的な側面もあるので、社会に出てからも役立つのでは?と思ったんです。

対人関係はもちろんですが、テレビCMの演出が消費者にどう影響するかということなどにも応用ができそうじゃないですか。なので、4年次から始まるゼミでは脳科学を学ぼうと思っています」

高校時代はダンスドリル部に所属。部長としてチームをまとめ、2度もインターハイで入賞した経験があるそう

後悔を繰り返したからこそ、今に集中できる

今でこそ前向きに勉強にも力を入れている高橋さんだが、実は2年生までは学業を疎かにしてしまうこともあったという。目的のない中で勉強をしていくことがつらかったのだと当時を振り返る。

「1年生のころは、大学生活があと3年もある…なんて、ネガティブに考えていたこともありました。学校に行って授業を受けるのが作業的な感じになってしまっていて。将来の夢が明確になってからは、勉強にもポジティブに向き合えるようになりましたけどね(笑)」

理想の上司像を尋ねてみた。「仕事ができてドライな人。もっと理想は、プラス後輩への温かさを恥ずかしがらずに出せる余裕がある人。簡単に言えば、ツンデレですね(笑)」

その心境の変化には、同校のミスコンテストに参加したことが大きく関係しているそうだ。

「それまでは、浮ついていても、自分が楽しければいいや、と思っていた部分があったのですが、それって実は他人から見たら印象がすごく悪いんだっていうことに気が付いたんです。ミスコンで他己評価を気にするようになったことで、自分の意識はとても変わったと思います」

ミスコンテストの本番に向けてTwitterを日々更新したり、宣材写真を撮影したり。自らを発信していくために自分を客観的に見つめ直したとき、浮ついた自分に気付いて、いい意味で落ち着いていったのだという。

「だからこそ、今やらなければならないことは明確だし、そこに集中できるのだと思います。私は、もともと飽きやすい性格ですが、興味があることにはとことん突き進むタイプ。一つのことに集中する方が、性に合っているんだと思います」

好きな英語で物理の問題を解く、物理英語の授業も選択しているそうだ

「好きを仕事にする」葛藤を乗り越えた先の決心

自身も言う通り、興味のあることにはとことん突き進んでいく高橋さん。しかし、宣伝企画を志すようになるまでには葛藤もあった。

「自分の好きなことと、仕事は割り切って考えなければいけないと思っていたんです。映画やCMが好きで、特に気に入っている化粧品のCMはこれまでに何百回と見ているんですけど、それを仕事にするのは間違っているのかなって」

そう思うと、余計にやりたいことを見失っていく一方だった。

「でも、就職活動の一環で自己分析をしていくと、私は好きなことを仕事にしたいタイプだし、興味のないことはできない性格ということが露呈してきたんです。やっぱり映画やCMに携われる宣伝や企画の仕事がしたいと思っているので、今は制作会社なども視野に入れています」

「短所は飽きやすいところ。でも、興味があるものにはのめり込みます」と高橋さん

就職活動のおかげで自分と向き合うことができ、将来の夢を見つけることができたという。それからというもの、休日でもあまり家からは出ず、好きな映画やCMを見て過ごすことも多いそうだ。たくさんの後悔の上に立つ、今の彼女は強い。そのブレない姿勢こそが、彼女のエネルギーの源になっているのだろう。

授業がないときでも訪れるという、東京理科大学葛飾キャンパスの図書館にて。好きな映画は『バーレスク』。「ダンスをやっていたこともあって、高校時代には無限リピートしてました(笑)。劇中歌で踊ったこともあります」

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