理系女子の履歴書

東京五輪で環境問題を提起!新たな再エネを開発して世界を驚かせたい理系女子

東京農工大学 工学部 有機材料化学科 2年 藤井菜津子【前編】

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る「理系女子の履歴書」。第10回は、東京農工大学 工学部 有機材料化学科 2年の藤井菜津子さん。地球環境やエネルギー、バイオなどの分野の基礎を学ぶ傍ら、学生団体での活動にも力を入れているという。その中で見いだした目指すべき道とは。

2020年までに東京五輪×環境問題を本気で考える

藤井さんが通うのは、東京農工大学 工学部 有機材料化学科。繊維やプラスチック、液晶など、さまざまなものを生み出すための有機材料について学んでいるが、最近特に興味があるというのが環境問題だ。

「もともと興味があった分野ではあるのですが、間近に迫った東京五輪開催がきっかけで、より真剣に考えるようになりました。五輪=ポジティブなイメージだったのですが、実は開催にあたっては自然破壊やCO2排出などによる環境汚染を懸念する意見があるのを知って、自分にも何かできることはないかと思うようになったんです」

「膨大なエネルギーがかかるからやらない方がいい、と切り捨ててしまうのは悲しいですよね」

この気付きの発端となったのが、藤井さんが所属する学生団体「おりがみ」だ。「学生が軸となり、一人でも多く関われる五輪をつくる」ことを活動理念としており、関連するボランティア活動やワークショップの企画・運営などを通して、学生の活躍の場を広げるための活動をしている。

「おりがみでは、『スポーツ』『文化』『環境』『国際交流』『ユニバーサルデザイン』『教育』というテーマを組み合わせたイベントを開いていて、中でも力を入れているのが、東京五輪に関するネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)すること。そこで私は『環境部』のリーダーを務めさせてもらっています」

「これまで環境に関することは、あまり取り上げられてこなかったんです」と藤井さん

「平和の祭典と言われ、世界中から注目を集める素晴らしいものなのに、環境問題でマイナスイメージを植え付けてしまうのは残念」。そう考え、リーダーに立候補したのだという。

「環境部はこれまであまり活動が盛んではなかったようで、それなら自分がやりたいです、とお願いしたんです。まだ本当に始めたばかりなので、今は環境省や水道局の方が集まるオフ会に参加させてもらったり、企業の方を訪ねたりして、いろんなつながりをつくるというのが主な活動です」

示したいのは再エネを軸にしたアイデア

藤井さんがリーダーを務める「おりがみ」の環境部。そこでは今後、ワークショップをメーンに、環境系の他団体と協力して、東京五輪開催にかかるエネルギーの試算や省エネの方法、さらにはエネルギーコストの低い代替案の模索などを進めていく予定だという。最終的にはそれをどこかの場で提案する、というところまで考えているそうだ。

「まずは12月に大きなイベントがあるので、それに向けて、何をやるのかを話し合っているところです。候補に挙がっているのが、再生可能エネルギー(以下、再エネ)について。大会開催にかかる全てのエネルギーを再エネで賄うことはできないのか、その場合のコストはどのくらいかかるのか、現実的な落とし所はどこなのか。そういったことをテーマにワークショップをやってみようと考えています」

学生団体「おりがみ」は、首都圏の34大学の有志100人以上で構成されている(※2017年7月現在)

メンバーは関東各地にいるため、会議はもっぱらインターネットを介した電話会議だそうだが、遠く離れていても切磋琢磨(せっさたくま)できる仲間がいることが、今の藤井さんにとっては貴重なのだという。

「仲間とああでもない、こうでもないと話し合ったり、徹夜して体がボロボロになったり……みたいな“ザ・研究”っていうのは格好いいじゃないですか。もちろん体力、精神的にはつらいと思いますが、そこまでして何か大きなことを成し遂げたとき、一体どんな気持ちになるんだろう?と。いつか味わってみたいんです」

おりがみのメンバーは誰もがとても精力的に活動していて、そういう姿に藤井さんも刺激を受けているという。

「2020年に懸けている気持ちが伝わってくるんですよね。いろいろな分野の人たちが集まっている団体ですが、それぞれが目標に向かって突き進んでいる姿を見て、自分もこういうふうになりたい、こういう人たちと何かやりたいと思ったんです。おりがみ、そして環境問題との出合いは、間違いなく人生のターニングポイントになっていると思います」

理想の上司像は「絶対的なカリスマよりも、上から下まで目を配れて仕事ができるのに、身近に感じられる人」

将来は地球に優しいエネルギーを研究したい

農工大は2年次から実験の授業も多く、勉学だけでもかなり忙しいはず。そんな中でも学生団体に所属し、精力的に活動している藤井さん。学外活動の中ではあるが、せっかく環境に興味を持ったのだから、将来の自分の研究にも結び付けたいと考えている。

「今は有機材料を学んでいますが、4年次の研究では、物質を作る際に排出されるエネルギーをいかに少なくするかについて研究したいと思っています。また、大学院への進学も考えていて、エネルギー関連の分野で環境問題に貢献していきたいです。まだ具体的にはイメージできていませんが、やっぱり一番興味があるのは再エネ。地球に優しいエネルギーの研究ができたらいいなと思っています」

パワーをもらえるのは「家」。家族で過ごすのが何よりのリラックス

太陽光、風力、地熱、バイオマス、潮流など、再エネと言っても多岐にわたる。その中で何に絞っていくのか。興味のある研究があれば、大学院は他校に進むことも考えているという。

2020年には藤井さんは4年生。絶好のタイミングで、日本にとって、世界にとっても節目となる時期を迎える。大学最後の夏は、彼女にとって、きっと忘れられないものになるだろう。

「環境汚染は、科学が発展してきた中で起こってきたもの。だとすれば、それを解決するのも科学者の義務だと思うんです。そこに一石を投じるアイデアを、東京五輪を通して提案することができればうれしいですね」

2020年に向けた藤井さんのチャレンジはすでに始まっている


<2018年10月12日(金)配信の【後編】に続く>
アクティブな活動の背景にあった挫折……多忙を極める理系女子の原動力とは?

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