理系女子の履歴書

ワクワクが原動力!化学好き女子が挫折を乗り越えて見つけた新しい自分

東京農工大学 工学部 有機材料化学科 2年 藤井菜津子【後編】

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る「理系女子の履歴書」。第10回は、東京農工大学 工学部 有機材料化学科 2年の藤井菜津子さん。後編では、受験で味わった大きな挫折と1年次の暗い大学生活に触れる。積極的な学外活動の裏には、彼女の人生を大きく左右した決意があった。

受験失敗という大挫折で泣き続けた1年間

東京農工大学 工学部 有機材料化学科2年の藤井菜津子さん。前編では学生団体「おりがみ」の活動に注力するアクティブな彼女の姿を紹介したが、そもそもなぜ、学外での活動に参加するようになったのか。その疑問をひもといてみると、そこには人生最大の挫折があった。
※【前編】の記事はこちら

「私、浪人して別の大学を目指していたんです。だから今通っている農工大は、実は全然第1志望じゃなくて……」

驚きの一言だが、冷静に考えてみれば珍しいことではない。しかし彼女の場合は、そのダメージが想像以上に大きかったようだ。

「当時は本当に頑張って勉強していて、化学って面白いなぁってワクワクしていた毎日でした。1年間の浪人時代も特につらくはなくて、予備校では同じような進路を目指していた仲間たちとお互いを高め合う日々。毎日が新鮮でした。『なんてきれいな数式なんだろう』とか『世界はこういう物理の法則で成り立っているのか!』とか、受験勉強ではなく、学問として深いところまで勉強できていたのが楽しかったんです」

興味のないことには見向きもしないタイプで、もっと勉強したいと思ったのが化学だったそう

周りの仲間たちも、ただ勉強を一緒に頑張るだけでなく、時には実験の手法について語り合うこともあった。「絶対に志望校に入って、こういう人たちと勉強がしたい――」。しかし、その夢は惜しくもかなわなかった。浪人は1年だけ、そして国立に入ると決めていたこともあって、後期試験で農工大を受験した。

「もう1年浪人するよりも、大学に入ってやれることを頑張る方がいいじゃないかと、頭を切り替えようとしたんですけど、どうしても気持ちが付いてこなくて……。入学したばかりのころは大学に行くのがつらくてつらくて、毎日泣いていました。今振り返っても、昨年の1年間は本当につらかったですね……(苦笑)」

何でもやってみる!の精神で人生が変わった

しかし、そんな生活を長く続けていても、ただただ時間が過ぎていくだけ。1年生の春休みを前にして「現状を変えたい」という思いが彼女の心に芽生え始める。

「大きな挫折があったから、ここまで変わることができたんだと思います」

「受験がダメだったからそこで終わり、というのは違うと思ったんです。受験には失敗してしまったけど、1年間頑張ってきた自分もいる。自分を責めずに、そこは認めてあげようと。それに、そのまま2年生になって、同じような暗い1年間を過ごすのかと思ったら、ちょっと怖くて(笑)」

高校まではどちらかと言えば内向的だった藤井さんだが、これをきっかけに、自発的にいろいろな場へ行ってみるように。留学生との交流イベントや学生のための起業セミナーなど、何でもいいから何かやりたいことが見つからないかと、少しでも興味があれば参加した。その中で出合ったのが東京五輪を学生の力で盛り上げる「おりがみ」と、理系女子の情報を発信する「リケチェン」という2つの学生団体だ。

「おりがみ」については前編でお伝えしたとおり、今の彼女にやりがいのある目標を与えてくれた。そして「リケチェン」は、勉強に対するモチベーションになっていると藤井さんは言う。

何も予定がない日は、自宅で年の離れた弟たちに勉強を教えることも

「リケチェンは、現役理系女子大学生の立場から、中学生、高校生に向けて理系の魅力や楽しさ、実態を発信する学生団体です。これまで数回イベントに参加していますが、人に魅力を伝えるにあたって、何で自分は理系を選んだのか、どんなところが好きなのかを再認識するきっかけになりました。それに、同年代の他のメンバーがどう考えているかを知ることができるので、モチベーションになっています」

単純に他大学の理系女子と話してみたかったという理由で参加した「リケチェン」だったが、今では初心に帰るための、欠かせない体験となっている。

ちなみに、藤井さんが思う理系の面白さは「自分次第でいろいろなことができるのがいい。学んだことが実際に目で見えて、いろんな分野を組み合わせれば自分の道が切り開ける」ところだという。

大学内の好きな場所は、所属するピアノ部の部室。「アップライトのピアノ2台が置いてあるだけの小さな部室なんですが、そこへ行くとだいたい誰かがいて、リラックスできます」

全ては自分への投資!ワクワクが自分の可能性を広げてくれる

「おりがみ」「リケチェン」での貴重な経験を経て、今では大学での勉強にも心底打ち込めるようになったという。特に最近になって、物質の分子構造を原子レベルで解析するNMR装置(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)での実験やDNA分析など、面白い実験も増えてきた。

「先日実験で使ったNMRは1台数億円もするそうで、企業の人が借りに来ることもあると聞きました。そういった実験機器の使い方を学ぶのも大切な要素ですが、もうすぐ有機実験が始まるので、今はそれが楽しみです」

その分覚えなければいけないこともたくさんあって大変かと思いきや、本人いわく、「つらいというほどでもない」そうだ。「習ったことをその日のうちに復習するサイクルが予備校時代に体に染み付いているので、今は好きなことを勉強できている楽しさをかみしめています」

自分が理系だと思うのは「何でも理論的に考えてしまうところ。明確な答えが出ないと嫌になる」

大学、学生団体のほか、ピアノ部での部活動や留学生支援、アルバイトまでこなしている彼女にとって、時間の有効活用は必須事項。目が回るくらい忙しいはずなのに、なぜ続けられるのだろうか。

「行動し続けることで、自分自身の可能性がもっともっと広がっていくと思うからです。あれもできる、これもできる、というワクワク感が、今の私の原動力になっています。大学の勉強は忙しいですが、両立できる限りは学外の活動も続けていきたいですね」

「数カ月前までは思ったこともなかったんですが、やりたいことがたくさんあるのに、時間には限りがあるのが最近の悩みです」

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