特集

ビジネスマンならやるべき!上質な肉体を作り上げる簡単な方法

良質な睡眠で人体のメカニズムを整えれば肉体が変わる

これまで、健康寿命の延伸にはいかに「筋肉」が重要であるか、そして、その筋肉量を増やすために有効な方法について識者に話を聞いてきた。特集最終回は、筋肉量を効率良く増やすために必要な体内のシステム「ホメオスタシス」の調整方法について、パーソナルトレーナーの植田知成氏に聞いた。

太っているとネガティブになりやすい

「筋肉を増やし、健康的な体を維持するためには、ただ鍛えるだけではダメです。コンディショニング、つまり栄養を摂取し、さらには休養を取り入れて“体を整える”ことで、筋肉のパフォーマンスを最大限に高めることが重要です」

六本木で完全個室・予約制パーソナルトレーニングジムを経営し、自らもベストボディ・ジャパンなどの大会に精力的に挑戦しているのが、パーソナルトレーナーの植田知成氏だ。実は、過去にはリクルートで営業マンを経験し、35歳の時に心機一転、トレーナーとしての道を歩み始めたという。自らも本格的にトレーニングを始めたことで、体だけではなく仕事への意欲にも変化があったそう。

「マッチョはあまり良くないイメージもあるかもしれませんが、正しい知識がなければここまで鍛えられない。その知識を皆さんにお伝えするのがトレーナーの仕事です」と植田氏は話す

「まず、トレーニングをすることによって、筋肉を増強させる筋合成に必要なテストステロンというホルモンが出るんです。これは“男性のホルモン”とも呼ばれていて、気持ちが前向きになるなどの効果が期待できます。

実は営業の仕事をしていたころは、すごく太っていたんです。顔も体もパンパン。太っているとテストステロンが出にくくなるので、ネガティブにもなりやすい。実際、ジムに通ってくださっているビジネスマンの方々も、トレーニングを始めてからは自信を持ってプレゼンや受け答えができるようになったと言ってくださる方がけっこういらっしゃるんですよ。

ほかにも、爽快感を得るために必要なセロトニンの分泌もトレーニングをした方が上昇しやすいと言われています。セロトニンの分泌量が低下すると、なかなか寝付けなかったり、さらに分泌低下が続くと、時にはうつ病になってしまったりするので、非常に重要です」

キーワードは「ホメオスタシス」

セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンと並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の1つだ。心身の安定や心のやすらぎなどに関係することから、“幸せホルモン”とも呼ばれている。

「冒頭でお話しした『コンディショニング』には、こうしたホルモンの分泌が大きく関係しています。ホメオスタシス(恒常性)といって、人には体内の環境を一定の状態に保とうとするシステムがあるんです。

自律神経、免疫、内分泌(ホルモン)の3つでバランスをとっている人間の制御システムのようなものなのですが、これが長時間ストレスを与えると簡単にエラーを起こしてします。ホメオスタシスが不安定になっていると、いくらトレーニングをしても、テストステロンやセロトニン、さらには脂肪を分解してくれるグルカゴンやレプチンといったホルモンも分泌量が低下してしまい、効率よくボディメイクすることができなくなってしまいます」

ホメスタシスを構成する3つの要素。いずれかの調子が悪くなれば、一気にそのバランスが崩れてしまう

グルカゴンは、体内にあるホルモン感受性リパーゼという酵素やペリリピンというタンパク質の一種を活性化させ、お腹にまとわりつく中性脂肪の分解を促進するホルモンだ。

脂肪が体内でエネルギーとして使われるためには、中性脂肪を分解してグリセロールと脂肪酸という形にしなければならない。つまり、ホメオスタシスが不安定だと脂肪の燃焼を促進するホルモンが分泌されにくくなり、痩せにくくなってしまうのだ。

また、脂肪細胞から分泌されるレプチンは、視床下部に作用して食欲の抑制と交感神経活動亢進(こうしん;活動水準が正常より高くなること)を起して脂肪酸の分解と燃焼を促進するホルモンで、どちらも体型維持には欠かせない。

「いくら運動しても痩せないとか、なかなか筋肉がつかないという人は、まずはホメオスタシスを整えることをおすすめします。メンタルとフィジカルというのは“ストレス”で密接につながっているので、そこを怠ってはダメなんですよ」

筋肉をつけたいならとにかく寝るべし!

では、ホメオスタシスを整えるためには、具体的にどんなコンディショニングを行えばいいのだろうか。今回は特別に、“今日から始められる”有効なコンディショニング方法を1つ、教えてもらった。

「まず、ホメオスタシスを整える上で重要となるのが、睡眠です。経営者クラスの方々になれば、睡眠の重要性についてはご存知の方も多いと思いますが、1日6時間以下の睡眠では日中の仕事などの効率を下げるだけでなく、アルツハイマーになりやすくなるとも言われています。

筋力トレーニングの効果を高めるだけでなく、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させる意味でも、睡眠をしっかりとってストレスを軽減することが大切です。僕なんか、ちょっとイライラしたりストレスを感じたりしたらすぐに昼寝してますからね(笑)」

その睡眠の質を高めるためにできることは何か。

「一番手っ取り早いのは『交互浴』です。まずは40℃以上の湯船に浸かってしっかり汗を流し、一旦上がって30秒~1分程度水シャワーを浴びます。その後もう一度40℃の湯船に浸かる、という入浴法です。交互浴をすることで深部まで血液の流れが良くなり、体内の老廃物を流すだけでなく、栄養分も体に行き渡らせることができます。これをやるだけで眠りも深くなるので、ぜひ試してほしいですね」(※高血圧の場合は、医師に相談の上、試してください)

睡眠の必要性については、これまで多くの研究が発表されている。中でも、良質な睡眠によってもたらされると言われる効果は6つある。

①疲労回復
②脂肪燃焼
③免疫力アップ
④脳機能(集中力、学習能力)アップ
⑤ストレス緩和
⑥美肌効果

主には、ノンレム睡眠時(脳も体も熟睡できている状態)に分泌される成長ホルモンが重要な役割を果たすものばかりだ。

「一見何もしていないようですが、睡眠中のコンディショニングの効果は絶大です。特に、ウエイトトレーニングなどは効果が大きい分、負荷も大きい。鍛えることの最大のデメリットはやり過ぎによるケガなんですよ。だからこそ、常に体を整えた万全の状態でトレーニングを行う必要があります。

筋肉というのは、いわば一生替えがきかない車のエンジンみたいなものなんです。エンジンは経年劣化しますよね?使い過ぎても使わな過ぎても、やっぱりダメになってしまう。筋肉も一緒で、その劣化を少しでも抑えるのがコンディショニングなんです」

仕事中にもできる!自律神経の流れが良くなるストレッチ

最後にもう一つ、自律神経の流れを良くするストレッチを教えてもらった。

「座って頭に手を置き、背中を丸めるように伸ばしてください。胸の後ろの骨、胸椎を伸ばすイメージです。背骨回りには自律神経が通っているので、ここを伸ばすことで、自律神経の流れが良くなります。ただし、首の後ろにの頚椎まで伸ばさないように注意してくださいね。人によっては、頚椎を伸ばすことでヘルニアになってしまう人もいるので」

首を曲げるのではなく、背中を丸めるようにストレッチする

親指で指した背骨の部分が伸びることを意識

座りながら体を丸めるだけ。通勤中やオフィスのデスク前、昼休みに行く飲食店内でだって簡単にできそうだ。

「こんな簡単なことでも、人ってなかなかやらないでしょう?でも、本当に健康を考えるなら、ストレスを作らないこと、減らすことをもっと頑張ってほしいですね。お昼休みにちょっと昼寝するとか、クールビズでスーツをやめるだけでも全然違います。ひいては、エネルギッシュな老後にもつながっていくはずです」

なぜ今、多くの経営者が筋肉トレーニングに励んでいるか。その回答が今回の特集で見えたのではないだろうか。

筋肉が健康寿命を変える。

そのためには、有効なトレーニングとコンディショニングを正しく行ってほしい。決して難しいことはなく、今日から始められることからでいいのだ。

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