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JAXAが開発!宇宙空間を自在に動く船内ドローン誕生

自律移動型船内カメラ、国際宇宙ステーション「きぼう」での初期検証がスタート

宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)は、開発中の移動型カメラが撮影した国際宇宙ステーション(以下ISS)「きぼう」の船内映像を初公開した。同時に公開された移動型カメラの姿は、まるでTVアニメ『機動戦士ガンダム』シリーズに登場するハロを彷彿させる。その詳細と描くビジョンとは一体何なのか?

まずはこちらの動画を見ていただきたい。


JAXAによって初公開された映像

飛行性能を含めた初期の実証テスト段階中

残念ながらというべきか、これはハロのような機能を有したロボットではない。

この球体の正体は、JEM自律移動型船内カメラ「Int-Ball(イントボール)」と呼ばれる船内ドローン。これはJAXA初となる移動型カメラで、7月14日に同機構より公開された船内映像は、このInt-Ballが撮影したものなのだ。

Int-Ballは、今年の6月4日に打ち上げられた「スペースX ファルコン 9」ロケットに搭載されたドラゴン補給船によって、ISS「きぼう」の日本実験棟に運ばれた。そして現在、初期検証が行われている段階だという。

Int-Ballの初期検証時の様子。中心に設置されたカメラで画像や映像を撮影している

画像提供:JAXA/NASA

直径150mm以下、重量1kg以下というサイズのInt-Ball。

その特徴は、ほとんどのパーツに民生品を使い、金型を使わず3Dプリントで製造していること。これは本プロジェクトにおいて、開発にかかるコストと期間を抑えることを目的に採用されている。

2016年6月の開発着手からわずか1年余りで初期検証がスタートしていることからも、その狙いは見事に的中したといえるのではないだろうか。

目指すべきは宇宙空間での作業の効率化

ところで、宇宙飛行士による作業時間の約10%を何が占めているかご存じだろうか?

これが実は撮影作業なのである。

現在、撮影には定点カメラが用いられているが、これには死角も多く、画質もよくない。そのため、宇宙飛行士が手持ちカメラを用いて詳細な状況を地上に送るため、作業キャパシティーの約10%が割かれているのだという。

そこでInt-Ballは、この宇宙飛行士による撮影作業の軽減を目的に開発が進められており、最終的にはゼロにすることを目指している。

JAXAの発表によればInt-Ballは、筑波宇宙センター(TKSC)からの遠隔操作で自律移動し、自由な角度で高画質の静止画と動画撮影を行う。そして撮影された画像や動画は、ワイヤレス伝送(無線LAN)によってリアルタイムで地上管制局に送信され、宇宙飛行士の活動にフィードバックされる。

また、角度の調整が可能なため、地上の管制官や研究者が宇宙飛行士と同じ視点で作業を確認できるというメリットも生まれる。

Int-Ballの開発が進めば、宇宙飛行士はより優先度の高い実験などの任務に集中することができるようになり、加えて地上と宇宙という離れた場所での共同作業の効率が向上することになる。

つまり、限られた時間を有効活用することが可能になり、ISSを利用した実験成果を最大限にまで高めることが期待できるのだ。

Int-Ballの位置の制御に使用される立体マーカー。船内に配された立体マーカーとInt-Ballに内蔵されたカメラによって位置をナビゲートする

画像提供:JAXA/NASA

自立飛行を可能にするギミックとは?

動画を見て、一つの疑問が浮かぶ。

それは、Int-Ballはどのようにして自律飛行を実現しているのかということだ。

無重力空間である船内を自由に動くためには、何かで推進力を得ていることは想像に難くない。

その秘密は、Int-Ballに搭載されている31mm立方体サイズの超小型三軸姿勢制御モジュールにある。これは、そもそも人工衛星の小型化や低コスト化、省スペース化を目指してJAXAが研究開発したもので、姿勢制御に必要な装置(センサーやジャイロ等)を一つにパッケージ化しているものだ。

誘導制御計算機・6軸慣性センサー・3軸リアクションホイールを一辺31mmの立方体サイズに集約した超小型三軸姿勢制御モジュール

Int-Ballに応用される超小型三軸姿勢制御モジュールは、姿勢制御装置に加えて12台のマイクロファンによる並進制御機能を拡張具備

組み込まれる超小型三軸姿勢制御モジュールには小型軸流ファン(送風機)を追加。

ここから生み出される風力を利用した並進移動方式を採用することで船内を自由に動くことが可能になっているわけだが、これは既存のドローン技術の応用でもあるそうだ。

JAXAは今後「更なる性能向上・機能拡張を図り、船内外での実験の自動化・自律化を進め、将来探査ミッション等に利用可能なロボティクス技術の獲得を目指す」としている。

ガンダム世代を再び熱くさせること間違いなしのInt-Ball。既存のドローン技術を採用しているということは、もしかすると同形状の家庭用ロボットの開発も可能なのかもしれない。いずれはAI(人工知能)も搭載して、家の中を飛び回るコミュニケーションロボットが登場するのだろうか。

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