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“打ち水”効果の期待大!環境に優しい自販機が登場

茶殻の利用でクリーン&エコな自販機が街で活躍中

神奈川・横浜情報文化センターにクリーンでエコな自動販売機の初号機が設置された。茶殻に由来する抗菌・消臭効果に加えて、温度上昇を抑制する仕組み、さらにはヒートアイランド現象の緩和効果を有するというこの自動販売機。その詳細をお伝えする。

茶殻配合シートを自動販売機に装着

この自動販売機を手掛けたのは「お~いお茶」など日本茶飲料を多く生産・販売する伊藤園。同社では、飲料生産に用いた茶殻をリサイクルするシステムを既に確立しており、なんと茶殻を原材料の一部に使用した畳や建材、樹脂製品、ボールペンなど約100種類の製品を展開しているのだ。

そして今回、抗菌・消臭効果に加えて販売機自体の温度上昇抑制が期待されているという次世代型の「茶殻配合シート装着型 自動販売機」が登場した。

茶殻配合シートを装着しているため、通常の自動販売機(左)と比べて模様のないシンプルな見た目になっている

その核心部分を担う茶殻配合シートは、2012年に横浜市と締結した地域活性化や市民サービスの向上などに取り組む「地域活性化に関する包括連携協定」の下、珪藻土(けいそうど)シートなどの製造、販売を行う株式会社ワンウィル(本社:横浜市)と共におよそ4年の歳月をかけて開発。

自動販売機1台あたりの茶殻配合シートに使われる茶殻は、「お~いお茶」525mlペットボトル約160本分にも及ぶという。

大企業と横浜市内の中小企業を結ぶ「横浜ものづくりコーディネート事業」をきっかけに地元企業と共に茶殻配合シートを開発

茶殻配合シートができるまでの流れ。伊藤園では茶葉の生産から製品へ、そして再利用するまでをパッケージで考えている

それでは茶殻配合シートには、どれくらいの効果が期待できるのだろうか?

「JIS L 1902:2002 菌液吸収法」に従って行われた茶殻配合シートの抗菌効果の検証結果

上の表は抗菌効果を確かめるために、菌液(大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、白癬菌)に浸した茶殻配合シートを、37℃の環境下で18時間保存した後、その生菌数を調べた測定値を表している。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌については、18時間後も生菌が確認されているが、その他の菌は検出されていない。

試験には、検知管法(検知管内に充填された検知剤が対象ガスとの化学反応によって変色。検知管に印刷されている目盛りから濃度を読み取る)が用いられた

消臭効果については、20cm×20cmの茶殻配合シートを、アンモニア、酢酸のガスと共にバッグに封入し、2時間後にそれぞれのガス濃度を測定。その結果は、ごく微量のガスが検出されたのみだった。

この2つの試験により茶殻配合シートが抗菌・消臭効果を持つことを確認できたわけだが、これはいわば茶殻由来の成分であり、当然と言えば当然かもしれない。

果たして、本当にヒートアイランド現象の緩和にも効果があるのだろうか?

夏の風物詩“打ち水”効果にも期待大

その効果を調べるため、濃色塗装や茶色塗装の鉄板と茶殻配合シートを貼り付けた鉄板に、放射照度120W/m2(ワット毎平方メートル)の光を照射し表面温度を測定するという試験を実施。これは、屋外に設置された自動販売機の状況を想定してのものだ。

結果は、濃色塗装や茶色塗装の鉄板の表面温度が60℃を超えたのに対し、茶殻配合シートを貼り付けた鉄板はそれよりも10℃以上も低いことが確認された。

これには茶殻配合シートの持つ特性が関係している。

茶殻配合シートの表面には凹凸があり、かつ微細孔(微細な空孔)が形成されている。この凹凸と微細孔には水を取り込む効果があり、そこに取り込まれた水分は徐々に蒸発していくが、その過程で自動販売機の熱を奪っている(気化熱)。つまり茶殻配合シートは、 “打ち水”効果によって温度上昇を抑制しているのだ。

横浜情報文化センターに設置された茶殻配合シートを装着した自動販売機。見た目では分からないが、触れるとザラザラとした凹凸を感じることができる

伊藤園では今後、既に設置している従来の環境配慮型自動販売機120台を、随時この新しいタイプのものに切り替えていくという。衛生面での意識が高い病院や介護施設などの屋内、環境・景観を考慮した屋外など、その設置予定箇所はさまざま。

そのため、ヒートアイランド現象の緩和をはじめ、抗菌効果や打ち水効果など、設置による影響も場所により変わってくる。

しかしながら、こうした取り組みを地道に積み重ねることが、やがて世界が抱えている地球温暖化問題を解決することにつながるのではないだろうか。

環境に優しい自動販売機は、恐らくその一端を担っているはずである。

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