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10分で大型バスが充電完了!超急速充電が都市交通網を変える

大型の電気自動車(以下EV)バスシステム実証事業がマレーシアでスタート

バスのEV化による環境に優しい交通機関。さらには短時間充電と長距離走行を実現することで利便性まで向上させようという実証事業が海を越えたマレーシアで開始された。都市交通システムのスマート化を図るというプロジェクトの最新情報をお届けする。

新しい社会インフラの構築に向けた実証運行

まずはこちらの動画を見ていただきたい。


EVバスシステムの実証事業

充電に要する時間はわずか約10分──。

このわずかな時間で大型EVバスを急速充電し、30km以上走行させるというプロジェクトがマレーシアのプトラジャヤ市で開始された。

本プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、日本企業4社(東芝インフラシステムズ株式会社、株式会社ピューズ、株式会社ハセテック、株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル)が共同で実施。

運転開始式には、マレーシア連邦直轄領省次官やプトラジャヤ市市長をはじめとする政府関係者も多数出席

実証場所に選ばれたプトラジャヤ市は、首都クアラルンプールから南方約25kmに位置する。

マレーシアの行政新首都として、1990年代半ばから開発に着手された比較的新しい都市であり、新たな社会インフラを提案する場としてふさわしいといえる。

大型EVバスシステム実証の概念図

本プロジェクトの実証期間は2020年2月までを予定し、プトラジャヤ市内の主要バス路線を使用して、1周約30kmのルートを全長約12mの大型EVバスが運行する。

実証運行では、超急速充電に対応したEVバスの走行性能や熱帯地域における搭載電池の品質・充電状態の確認、運行状況のモニタリングシステムの構築を目指している。

また、この実証のために同市内のバスターミナルには超急速充電システムが設置されており、連続オペレーション時の性能なども検証されるという。

現在行われているのは通常の形のEVバスのみだが、2016年6月に改訂された基本協定書(MOU)に基づき、2018年には2階建てタイプの実証もスタートする予定だ。

日本の技術を惜しみなく投入

EVバスに搭載される電池には、東芝インフラシステムズ製の二次電池「SCiB」を採用。

すでに自動車・バス・鉄道などの乗り物や、エレベーターなどの産業機器、変電所などのインフラ設備に活用されているなど実績は十分だ。

パンタグラフ式充電装置を用いた充電の様子

「SCiB」は、負極(マイナス電極)にチタン酸リチウムを採用することで優れた急速充電性能や長寿命などを特徴としており、バスターミナルに設置されたパンタグラフ式充電装置と組み合わせることで、およそ10分間の超急速充電運行を可能にした。

なお、1周30km以内の運行ルートの場合、一度の充電で繰り返し周回できるという。これはつまり、数時間におよぶ充電の必要性がなくなり、運行稼働率があがるということであり、利便性の向上につながる。

今後は「SCiB」の長寿命特性を生かし、適切な温度管理などを行うことで電池交換を10年間不要とすることを目指していくそうだ。

さらに同社では、IoT(パソコンなどのIT機器以外のさまざまなものにインターネットを接続する)技術を活用したクラウド情報システムの構築も進められている。

これによりいつでも電池の残量、充電時の電圧や電流の状態がリモートモニタリングできるようになり、電池の残量不足や故障の未然防止が可能となった。

日本の技術を結集し、CO2の排出を抑制した環境に優しい新たな都市交通システムの構築。今後、経済発展と環境問題の両面を支える一手となりうるのだろうか。

国際機関による見通しでも、マレーシアをはじめとする東南アジア諸国連合(ASEAN)は今後の経済成長が最も見込まれている地域だ。しかし、経済成長に伴い環境問題が危惧されており、社会インフラの整備は急務といえる。

日本にとってもASEANの社会インフラに貢献することは、経済活動や地球全体での環境問題の面で得られるメリットは大きい。

マレーシアでスタートした本プロジェクトの先には、日本とASEANが共に発展するwin-winの未来が待っているのかもしれない。

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