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プロも今秋から試験導入!ミズノが野球ボールの回転解析システムを開発

球質の数値化でワンランク上の投球を目指すスマートデバイスが登場

ピッチャーの投げる球質を数値化──。これまでおいそれと測定することが難しく、感覚や経験に頼る部分が大きかったボールにかかる回転エネルギー(球質)を数値化するスマートデバイスが完成しようとしている。これまでのトレーニングを一変させるこの最新アイテムの詳細をご紹介。

投球を徹底分析!デジタル技術でパフォーマンス向上

スポーツ用品メーカー大手のミズノが、野球ボール回転数を解析するシステム「MAQ(マキュー)」を開発し、そのプロトタイプを完成。商品化に向けて、今秋からプロ野球の球団キャンプなどで試験を行い、来春をめどに発売すると発表した。

この新システムは、MAQに内蔵された専用センサーが投げたボールのデータを取得。専用アプリと連動して、ボールの回転数や回転軸、速度などの分析を行うというものだ。

投球の詳細データ把握の実現は、競技者のレベルアップへの近道につながる

阿野陽 / PIXTA(ピクスタ)

ピッチャーの投げるボールは、ストレート、変化球いずれもボールが手から離れる瞬間に回転がかかっており(ナックルは“ほぼ”無回転)、かかる回転によって速い球やよく曲がるボールという違いが生み出される。

そのため、より速いもしくはキレのあるボールを投げるためには、正しいピッチングフォームと共に、ボールにどんな回転がどのくらいかかっているのかを理解することが重要となる。

しかし、これまでボールの回転数を計測するには大掛かりな計測機器が必要となり場所も限られるため、その理解は指導者や個人の感覚によるところが大きかったのが実情だ。

だが、MAQはセンサーを内蔵することでボールのIT化を図り、“伸びのあるストレート”や“キレのある変化球”といった球質の可視化が容易に可能となった。

つまりMAQを使用すれば、大掛かりな計測機器がなくとも、日常のトレーニングでいつでも数値を把握できる。この効果は非常に大きいのではないだろうか。

これまでのように感覚に頼るのとは違い、投手が自分のベストだと思えるボールの数値(過去に投げた投球データ)と比較し、自身の状態の良しあしを数値によって管理が可能となる。

また、指導者もボールにかかっている回転を確認した上で、数値の裏付けがある精度の高い指導を行えるなど、指導効率の向上が期待される。

高回転ボールも感知する高感度磁気センサー

ここで気になるのが、大掛かりな計測機器を必要としないMAQの仕組み。

まず、ボールの回転数や回転軸、速度などのデータを収集するのだが、その核といえるのが、ボールの中心部に内蔵された高感度磁気センサー「MI(エムアイ)センサ」。この高感度磁気センサーは、腕時計や携帯電話など向けに生産実績のある愛知製鋼株式会社製のものだ。

公式球とMAQの比較。通常ゴム材が格納される中心部にセンサーモジュールを収納

MIセンサは、ボール回転に伴う微弱な地磁気変動を高速測定し、回転数に関する詳細なデータを取得。その性能は、毎秒50回転に迫るプロ野球選手が投げる高回転のボールでも検知が可能という。

さらに超小型・低消費電力という特徴を生かし、構成するセンサーモジュール(MIセンサやコイン型リチウム二次電池など)全体を小型化したことで、公式球と同じ質量・バランスや材質などの仕様を実現。そのため、MAQを投球する際にも公式球との違和感がないそうだ。

センサーモジュールは、熱可塑性プラスチックの一種・ポリカーボネート製カプセル及びシリコーンゲルで固定され耐衝撃性にも優れる他、コイン形リチウム二次電池の充電もワイヤレス充電器に置くだけで可能となる。

ただし、耐衝撃性に優れるとはいえ、そこは精密機械を内蔵するボール。投球専用なので、間違っても試合やバッティングでは使用しないよう注意しなければならない。

MAQ専用アプリ画面の一例

そして、MAQが取得したデータを管理する専用アプリも、投手やコーチ目線に立って使いやすさと分かりやすさに徹底的にこだわって開発。一つのMAQで複数人のデータ管理を行うこともできる。

MAQは2018年春の販売を目指して、今後プロ野球や大学野球などで実証テストが行われる予定。

しかし、これだけの機能を有する画期的なアイテムでありながら、本体1万9800円、充電器1万5000円(いずれも税別)と手の届きやすい価格帯が想定されている。

IT技術の活用はスポーツの世界でもすでに始まっており、今後はMAQのようなさらなるITのスポーツ利用がトレンドになるのではないだろうか。

甲子園やプロ野球で活躍する選手は皆MAQの愛用者。そんな時代はすぐそこまで来ているのかもしれない。

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