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航空業界初!パイロットが自身のフライトデータを取得して運航効率を高めるアプリ登場

フライトデータをパイロットと共有してエネルギーを有効活用

米国の航空機エンジンメーカーであるGEアビエーション(以下、GE)が、オーストラリアおよび南半球最大の航空会社・カンタス航空と共同開発したアプリを発表。フライトで得たデータを分析しパイロットと共有することで、航空機の運航効率向上に役立てるというアプリの詳細に迫る。

フライトデータをパイロットと共有するすべがなかった?

世界中の上空を飛行する何万機もの航空機は、日々のフライトにおいて燃料の使用状況などさまざまなフライトデータを記録している。

しかし、これまで航空会社のアナリストは安全性と効率の向上に活用しようと入手したデータの分析を行っていたが、パイロットと共有することは困難だったという。

数年前までカンタス航空で燃料担当をしていたデイブ・サマーグリーン副操縦士は当時の様子について次のように語っている。

「フライトデータとして保存されているデータ量は非常に膨大であり、必要なデータを抽出する方法がありませんでした。そのためパイロット自身がフライトの運航効率を高める方法を考えるためのデータを得ることができませんでした」

さらにカンタス航空の燃料プリンシパルアナリストのマット・シモンズ氏もデータを共有する難しさをこう述べている。

「われわれの手元には常に自由に使えるデータが大量にありました。ただ、そのデータを必要としている人に必要な形でデータを届けることに苦労していました」

データはあっても、伝えるすべがない──。

このジレンマを解消するべく、GEがカンタス航空と共同で開発したアプリが「FlightPulse(フライトパルス)」だ。

アプリ画面の一例。各パイロットのデータは本人のみがアクセス可能

画像提供:カンタス航空

このアプリは、実際にコックピットでアプリユーザーとなるパイロットからのフィードバックを得ながら開発が進められ、EFB(Electric Flight Bag)と呼ばれるiPadを用いてパイロット自身が各自のフライトデータにアクセスできることが特徴。

自らのフライトを見直し、パイロットが改善点を検討

かつてパイロットは、乗務する便が飛行する経路の航空図や、フライトの内容・飛行時間などを記録するログブックや身体検査証をはじめとする各種証明書、マニュアルなどをフライトバッグに入れて持ち歩いていた。

しかし現在、パイロットはそれらのデータを記録したEFBで何でもこなしている。そのため、「アプリをEFBに組み込むことが重要で、そうすることでパイロットたちが行う通常の作業フローに取り入れることができる」とGEでカスタマー・エンゲージメント・リーダーを務めるルーク・ボーマン氏は語る。

今年1月には20名のパイロットがベータ版をテスト

画像提供:GE Reports Japan

「FlightPulse」は、航空機が記録しているデータを分析することでその運航効率向上を手助けするアプリ。仮に燃料を1kg節約することができれば、航空会社の二酸化炭素排出量は3kg以上の削減になるという。

削減のポイントとなるのは、例えば着陸時に行っているフラップ(高揚力装置のことで航空機の主翼後縁部)操作や、エンジンを逆噴射させて行う減速や制御時。

エアバスA380は、着陸時にフラップの角度をより浅くすることで平均142kg、着陸時にエンジンの回転数を上げずに逆噴射することで45kg、その後旅客ターミナルへ向かうまでの地上滑走時に一部のエンジンを停止することで1分間に10kgの燃料を削減することができる。

カンタス航空でエアバスA380を操縦するピーター・プロバート機長が「コックピットを離れても燃料効率について話すことができるようになったんだ」と語るように、パイロットが自身のオペレーションを見直し、どこを変えればいいのかを検討できる点こそ、まさにこのアプリの最も大きな利点である。

自己のフライトデータを確認することで、より効率的なフライトの実現に向けてパイロットも成長できる

画像提供:GE Reports Japan

このアプリは現在1500名を超えるカンタス航空の旅客便と貨物便のパイロットに提供されており、今後数カ月のうちに、カンタス航空グループの他の航空会社への展開も予定されている。

運航効率を高め、より効率よくエネルギーを使えるようにする技術は何も航空業界に限ったことではなく、車や鉄道などさまざまな業界においても流用できる技術ではないだろうか?

ITを取り入れることでこれまでのエネルギー利用方法を分析し、無駄を減らしていく。今こそエネルギーを有効活用する時代の転換期なのかもしれない。

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