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工場排水の「熱」が電気を生む!? “モッタイナイ”発電ユニットとは?

工業排水を利用して電力を生む熱電発電ユニット

省エネ策の一つとして注目されている「廃熱発電」。廃棄される熱を再利用するという試みだが、エネルギーに関する技術や製品などが一堂に会した「ENEX(エネックス)2017」(2月15日~17日、東京ビッグサイト)でも、「熱ソリューション」の集中展示コーナーがにぎわいを見せていた。中でも際立っていたのが、ベンチャー企業から販売予定の熱電発電ユニット。これまでの「熱電発電」の課題を解決した画期的なユニットとは?

余分な温度を電力に変換!

今回注目したのは、株式会社モッタイナイ・エナジーの熱電発電ユニット。これは、温水の熱を利用して電気を生み出すという代物だ。

使い方はいたってシンプル。このユニットの左右に取り付けられた管に温水と冷水をそれぞれ流し、中央に取り付けられた熱電発電モジュールの間を交互に流れることで熱交換が行われ、発電する。

設置する場所は、主に工場の製造ラインが想定されており、他にも温泉地など温水と冷水が存在する場所での未利用廃熱による発電が考えられている。発電量は温水、冷水の温度差が開くほど、そしていくつも積み重ねて使うほど多くなる。温水と冷水の温度差が85℃で、1立方メートルにこのユニットを敷き詰めて積み上げた場合、12kWの発電が可能だという。

この「積み上げられる」というのが革新的な部分だ。これまでも熱電発電ユニットは存在したのだが、モジュールの熱電発電性能が低かったことと、ボディ部にステンレスなどの高価で重たい金属を使用する必要があったため、このユニットのようにいくつも積み上げて使用することが現実的ではなかった。

モジュールの電力変換性能が上がったこと、そして技術革新によりボディ部に低コストで軽いプラスチックが使えるようになったことにより、スタック(積み上げ)型の熱電発電ユニットが生まれた。

左右上部に見えるのが温水、冷水を流す管。中央に縦に重なるように取り付けられているのが熱電発電モジュール。2017年春に一般販売を予定している

24時間発電が可能!

廃熱利用が効果を発揮するのは、発電できることだけではない。

工場を例にすると、製造ラインから廃棄される工業排水は高温になっている場合、各自治体の条例により、ある程度の低温になるまで冷やさなければ下水に流せないように規制されている。その熱を冷やすためには当然さらにエネルギーを使う必要もある。

しかし、このユニットを用いれば、新たなエネルギーを消費することなく熱を帯びた工業排水を廃棄できる状態にしながら、電力まで生み出すことができるのだという。

「これまでの熱電発電は、高コスト、低性能、低知名度の『三重苦』だった」と同社代表取締役の西当弘隆さんは話す。西当さんは、メーカーで熱電発電モジュールの技術者として勤務後、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)に移籍。高コストと低性能の課題をクリアした産総研の研究結果を製品化するため、2016年6月、ベンチャー企業として同社を設立している。

熱電発電ユニットは、敷地内に設置するだけで発電できるという意味では、太陽光発電に似ている。しかし、日中しか発電できない太陽光発電と比べ、この発電ユニットは温度差さえあれば24時間発電が可能という点では、それを上回るポテンシャルも感じられる。

そこに前述した低コスト化と軽量化の実現が加わったことで、工場や温泉地などのほぼ一日中温水と冷水が存在する場所に向けて、実用的な熱電発電ユニットとして提案できる条件が整ったのだ。

ブースに展示されていた「熱電発電」を体験できるデモ装置。白い部分が熱電発電ユニットにも使われているモジュールになっている

モジュールは温水だけでなく、体温でも発電可能。手を当てると発電し、風車が回り始める

熱電発電がムダを使えるものに

しかしなぜ今、「熱電発電」が注目されるのか。それは日本が抱えるエネルギーの課題を解消することにつながるからだ。

石油、天然ガスなどの一次エネルギーの自給率の低さといった日本のエネルギーの課題は広く知られている。しかし、それらを燃やして電力に転換する際、発生させたエネルギーのうち有効利用されているのは4割程度だということはあまり知られていない。また、工場や家庭などで電力を消費する際にも、それと似たように無駄な熱となって廃棄されている部分もあるという。

それらの廃熱を回収し、再利用するための有効な手段の一つが「熱電発電」なのだ。

当然まだ発展途中の技術であるため、課題も残されている。

同社の熱電発電ユニットはそれだけで発電はできるものの、このユニットを効果的に使うために、導入するには配管や配線作業などが必要になる。そのため、誰でも気軽に手を出せる発電ユニットとは言えない。

「今後はユニットに温水と冷水のパイプをつなぐだけで発電できるようなパッケージングができれば、一般にも広まるかもしれません」と、展望を語る西当さん。

量産態勢が整い、さらに低コスト化が進めば、効率よく電力を生み出す術の一つになる可能性がある。これまで捨てられていた熱を有効活用できる日が待ち遠しい。

同社代表取締役と、産総研の契約職員との二足の草鞋で熱電発電の普及に努める西当さん

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