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東海エリア初!地熱を利用するバイナリー発電所が運用スタート

源泉の余剰熱エネルギーを電力化!

未来のエコなエネルギーとして研究が進められている再生可能エネルギー。その一つにあたる地熱を利用した発電方式がバイナリー(方式)発電だ。安定発電できる純国産のエネルギーとして注目される地熱発電について、東海3県初のバイナリー発電所完成のニュースと共に紹介する。

日本の地の利を生かした地熱発電

火山帯に位置し、全国各地に温泉地が存在するなど、豊富な地熱資源を持つ日本。地熱の電力利用については早くから注目され、本格的な地熱発電所は1966(昭和41)年に松川地熱発電所(岩手県八幡平市)が運転を開始し、東北や九州を中心に展開されてきた。

総発電量はまだまだ少ないものの、地熱の電力利用は古くから取り組まれている。その中で近年、新たな地熱発電方式“バイナリー発電”が注目されている。
※地熱やバイナリー発電、および再生可能エネルギーに関しては特集「再エネ経済学」第1回参照

地元関係者や工事協力会社など、総勢約60人が出席した竣工式で行われた通電式。ボタンを押すのと同時にバイナリー発電機ユニットのタービンが回り、発電を開始した

11月6日には同方式を採用して、兵庫県神戸市に本社を置く株式会社洸陽電機と岐阜県高山市の奥飛騨宝温泉協同組合が建設を進めてきた奥飛騨第1バイナリー発電所が完成。

同所は、奥飛騨宝温泉源泉の余剰熱エネルギーを利用したもので、岐阜・愛知・三重の東海3県では初となるバイナリー発電所だ。

奥飛騨第1バイナリー発電所では、年間約37万kWhの発電が見込まれている。これは一般家庭約110世帯分の年間電力消費量に相当する発電量だ。

今後は、同地の4つの源泉所有者と洸陽電機が設立した奥飛騨自然エネルギー合同会社と協力し、地域でつくった電力を地域で消費する“エネルギーの地産地消”に向けて取り組んでいく予定だ。

ポテンシャルを秘めたバイナリー方式発電

地熱発電方法の一つであるバイナリー方式。地熱発電の中でも、新エネルギーと定義されるのは同方式を利用した発電のみとなる。

バイナリー方式は、地下から取り出した蒸気で直接タービンを回して発電する従来方式とは異なり、蒸気や熱水で水よりも沸点の低い低沸点媒体(ペンタン・イソブタンなどの有機物、代替フロン、アンモニア・水混合液ほか)を加熱・蒸発させ、そこから発生した蒸気でタービンを回す仕組みだ。

つまり、低沸点媒体を利用することで、従来の地熱発電方法ではできなかった中低温水の熱水や蒸気を加熱源として利用可能にしたことに利点がある。

さらに、すでに湧出している温泉を利用することが可能なため、新たに温泉井戸を掘削する必要がなく、また、温泉の湯量にも影響を与えないなど環境に与える負荷が極めて小さいこともメリットだ。

奥飛騨第1バイナリー発電所の発電イメージ

奥飛騨第1バイナリー発電所では、
(1)抗口で約110度の源泉の熱を温水へと熱交換
(2)そこで得られた温水で低沸点媒体を蒸発させる
(3)その蒸気の力でタービンを回して発電する
という工程となる。

さらに、発電に用いられた自噴する源泉は温泉造成槽にも移され、宿泊施設などの各所に温泉として給湯される。

つまり奥飛騨第1バイナリー発電所は、源泉の発電利用と並行して奥飛騨宝温泉への安定した給湯を担うことになるわけだ。

今後の展望について、洸陽電機の池野氏は「源泉の余剰熱エネルギーを用いた発電は十分な可能性があると考えています。ただし、温泉は浴用以外にも暖房などに活用されている場合も多く、熱エネルギーは必ずしも余剰ではありません。

地域の方々のご協力により捻出される熱エネルギーを利用することで、温泉資源の保護と地域の発展の共生につながるバイナリー発電を今後も導入していきたいですね」と語っている。

地熱を利用して電気をつくり出すバイナリー発電は、まさに日本の資源を最大限活用できる可能性を秘めた発電方法ではないだろうか。

今や各地方の都市部をはじめ都内でも温泉が掘削される時代。バイナリー発電には一定以上の温度の温水が必要なため、どこの温泉地でも可能とは限らないが、いずれわれわれの暮らしを支える身近なエネルギーとなる時が来るかもしれない。

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