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ホンダの“思わずハグしたくなる”ロボに込めた思い

人の感情を認識するコミュニケーションロボットのほか、人の移動をサポートするアシストロボットやビジネス&ガテン系ロボットなど4つを発表

2000年に世界初の本格的2足歩行ロボット「ASIMO」を生み出した本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)が、“姿形”も“役割”もユニークな新型ロボットを多数発表した。単なる技術自慢ではなく、「人とロボット」の関係性を重視したコンセプトが話題を集めている。ホンダが見据えるロボティクスの未来とは?

最新ロボットは“抱き心地”がサイコー!

ホンダは世界最大級の家電見本市「International CES2018」(全米民生技術協会<CTA>主催/2018年1月9日~12日、米ネバダ州ラスベガス)において複数の最新ロボットを発表した。

展示のテーマとして掲げたのは「3E(Empower・Experience・Empathy)」。

まずEmpowerは、「人の可能性を拡大する」という意味だ。人とロボットがそれぞれの得意領域を生かして共に働くことで、人に時間的・精神的・肉体的な余裕が生まれる。その結果、人間はロボットに代替できない作業に集中できるようになり、自らの可能性を拡大していくことができるという考えだ。

次にExperienceは、「人と共に成長する」という意味。人がロボットを通して全く新しい経験をすることで成長し、ロボットも人から学ぶことでより人のためになるように自らを成長させていくことができる。

最後にEmpathyは、「人と共感する」ということ。ロボットが人を思いやり、共感し、人が行動するためのサポートをすることを示す。

これらのコンセプトの実現にはAI(人工知能)が必要不可欠であり、ホンダは人と協調するAIの研究を進めているという。そして、展示では3Eの方向性を実現するAIを搭載したロボットとして、4つの型のロボットを公開した。早速、それぞれの特徴にフォーカスしてみよう。

落花生のようなフォルムデザインの「3E-A18」

まず、最も注目を集めたのは、コミュニケーションロボットのコンセプトモデル「3E-A18」だ。なんとも機械的なネーミングながら、ルックスはキュート。「人との共感」をテーマにしたロボットで、感情認識や表情、音、動きによるコミュニケーションを行う。

最大の特徴は、従来のロボットとは一線を画す「柔らかい外装」と「丸みを帯びた形」が採用されていること。これは、衝突した際の安全性や抱き締めたときの心地よさを考慮しているという。また、バランス制御技術とあらゆる方向に移動できる機能を搭載することで、どのような方向からぶつかっても衝撃を受け流すことができ、人と一緒にスムーズな移動を可能にした。

総じて、人との接触を想定していなかった「ASIMO」よりも身近な存在のように思えるロボットだ。

仕様等は変更する場合があるが、全長は子どもの背丈ほど。足元に隠れている一輪のタイヤで移動する

顔にあたる部分には表情やメッセージが映し出される

続いて、「人の可能性の拡大」をテーマにしたロボットが「3E-B18」だ。

日常の行動を支え、目的地までの移動をサポートする。車椅子のような乗り物として活用できるほか、上部のアタッチメントを替えればベビーカーや荷物カートとしての活用も可能。坂道でも姿勢を保てる制御機能が備えられているなど、とことん人に優しい仕様になっている。

“超高齢化社会”を迎える日本の救世主になれるだけでなく、昨今問題視されている“ワンオペ育児”に苦心する人にとっては心強い存在になりそうだ。

「3E-B18」はコンパクトなチェア型のパーソナルモビリティ

AI機能を搭載しており、人の意図することに違和感なく追従して動く

上部のアタッチメントを替えることで、さまざまな活用が可能に

“ビジネス向き”や“ガテン系”のロボットも!

私生活をサポートしてくれるロボットだけでなく、ビジネスマンの創造力を刺激するようなロボット「3E-C18」も発表された。

「人と共に成長する」をテーマとしたロボットで、「3E-B18」と同じく上部のアタッチメントを交換することで、物販、移動広告などいろいろな役割を果たすことができる。また、人との関わりを通じてより人のためになるよう自らを成長させるという。

丸みを帯びたカートのような「3E-C18」

物販用として使用する場合は、人の注文を聞いて販売補助を行うことも想定している

上部のアタッチメントを交換することで、移動式の広告やDJブースなどの役割も果たすことができる

最後に紹介する「3E-D18」は、「3E-B18」と同じく「人の可能性の拡大」をテーマにしたロボットだ。上部のアタッチメントを交換することで、消火活動や農作業、スポーツのトレーニングサポートなどさまざまな役割を持つロボットとしてトランスフォームすることが可能に。

「3E-D18」は走破性に優れていることから、農場や山間部といった路面状況の悪い場所でも自律的に活動できることを想定している

自動運転で重い資材を運ぶことが可能となる

スポーツ器具と組み合わせれば、例えばラグビー部のスクラム練習の相手になることもできる

「International CES2018」の展示では、ロボットのほかにも可搬式バッテリーの「Honda Mobile Power Pack」も紹介された。再生可能エネルギーを利用して発電した電気を蓄え、小型電動モビリティの動力や、家庭での電源として活用する着脱可能なバッテリーのプラットフォームだ。

ロボットが活躍する時代に電力は不可欠。ホンダは、必要なときに、必要な場所で電力を使えるようにすることで、低炭素で効率的なエネルギーの利活用を目指している。

昨今、ニュースで取り上げられているように、ロボットやAIはすさまじいスピードで進化している。では、将来的にロボットが人間に与える影響は…? それは専門家でも予測できない難問だ。それでもホンダの取り組みは、人間とロボットが理想的な形で共存している社会の実現を期待させてくれる。

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