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体温で発電する世界初のスマートウォッチがヒットの予感

本体とヒトの皮膚表面の間に生じる温度差を発電に利用した優れもの

身に着けるだけで、人が発する熱を動力源にその動作に必要な電力を生み出す──。1~2日程度で充電を必要とする他のスマートウォッチとは一線を画す、まさに永久発電ともいえる機能を備えた驚くべきスマートウォッチが登場。その詳細をご紹介する。

ヒトの熱を電気に変換する驚異のスマートウォッチ

4月12日から国内販売がスタートした腕時計型デバイス「PowerWatch」。温度差発電(サーモテクノロジー)技術を活用して人間の体温で発電する世界初のスマートウォッチだ。

販売が開始された「PowerWatch Silver」3万2800円(左)と「PowerWatch Black Ops Pack」3万7800円(右)

開発した米国のベンチャー企業「MATRIX INDUSTRIES」(以下、マトリックス)は、シリコンバレーの材質科学会社として2011年に設立。温度差発電技術を武器に世界でさまざまな事業を展開している。

温度差発電技術は現在、未使用熱エネルギーの再利用で注目される新たな省エネ技術の一つで、温度の高低差を利用して発電する技術だ。日本でも海面と海底の温度差を利用する海洋温度差発電の実証実験が行われるなど、研究が進められている。
※海洋温度差発電の詳細についてはこちら

ウェアラブル機能によって記録されたデータはスマートフォンのアプリで確認可能

「PowerWatch」の場合、「ゼーベック効果」と呼ばれる“物体の両端に温度差を与えると、温度差に応じて電位差(起電力)が生じる仕組み”を利用し、体温を電気に変換している。具体的には、本体とヒトの皮膚表面に生じる温度差を利用した発電。専用の昇圧コンバーター(ASIC)で昇圧し、内蔵されたリチウムイオン電池に電力を供給する仕組みだ。

一般的な気象条件はもちろんのこと、例えば外気温が高く、体温に近い場合でも温度差がなくならない(常に1度以上になる)ように、表面と背面部に設けられた穴が肌に触れる背面部分を冷却する放熱機能の役割を果たすなど、積極的に温度差が生じる熱設計技術・機構を採用。発電効率を最大限高めている。

主な特徴は、充電不要や消費カロリー計測、歩数計、睡眠量計、50m防水など

装備するウェアラブル機能は消費カロリー計測、歩数計、睡眠量計の3つ。

中でも消費カロリー計測は、消費するカロリーから変換された熱を基にしているため正確な数値の算出が可能。睡眠量計は計測中も体温で発電し続けるため翌朝の充電を心配することもない。これらも自家発電のメリットといえる。

わずらわしい充電から解放してくれる「Power Watch」は、スマートウォッチユーザーにとって待望のアイテムとなりそう

現在、ネット販売ではAmazonをはじめ、ソフトバンクのオンラインショップ「+Style」やビックカメラ、Monoco、ヨドバシカメラなどでの購入が可能。実店舗は主にビックカメラやヨドバシカメラなどの家電量販店で取り扱われている。

タイプはスタンダードな通常モデル「PowerWatch Silver」とちょっとタフなフラッグシップモデル「PowerWatch Black Ops Pack」の2種類(いずれも直径46mm、厚さ12.5mm、重量50~60g、防水性能50m、文字盤径30mm)。なお、5月にはスマートフォンからの通知を知らせる機能を搭載し、防水性能も200mにグレードアップした上位モデル「PowerWatch Ⅹ」(直径50mm、厚さ13.5mm、重量60~70g)が4万2800円で販売予定となっている。

今回この「PowerWatch」が日本国内で展開された理由は、クラウドファンディングサービス「Indiegogo」で米国に次いで日本が2番目の資金調達先になるなど、その注目度の高さもさることながら、省エネ先進国である日本であればマトリックスが得意とする“エネルギーの効率化”を最大限に生かせると考えられたため。

マトリックスはすでに日本の複数企業とパートナーシップを結んでおり、エネルギーマネージメント事業展開に向けた業務を推進。その一つとして、温泉の未使用熱を活用した地熱発電に着目しているとのこと。今後、温泉施設などと提携し、どの程度の発電が可能かを見定めていくらしい。

動作に必要な電力を、人体から発せられる熱を電気に変換することで永続的な活動を約束するこのシステム。技術がさらに進歩すれば、さまざまなデバイスに搭載できるはず。近い将来、自らを電源として電化製品を動かす時代が訪れるかもしれない。

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