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究極の二次電池「リチウム空気電池」開発にソフトバンクが参入!2025年の実用化を目指す

リチウムイオン電池と比較してエネルギー密度が5倍以上の優れもの!

ソフトバンクと国立研究開発法人 物質・材料研究機構(以下、NIMS)は、次世代の革新的電池「リチウム空気電池」の開発を目指して「NIMS-SoftBank先端技術開発センター」設置に関する覚書を4月11日に締結。今後、究極の二次電池完成に期待が高まるが、その詳細とはいかに。

従来のリチウム電池を凌駕(りょうが)する驚くべき出力性能

現在、新たなエネルギー源として充電式の二次電池(蓄電池)の開発が進み、自動車をはじめとするさまざまな製品に活用されている。

中でも「リチウム空気電池」は、あらゆる二次電池の中で最高値のエネルギー密度を有することから“究極の二次電池”といわれ、現在主流のリチウムイオン電池を超える次世代電池として注目が集まっている。

この研究開発に関して、ソフトバンクはNIMSに2年間で10億円を超える研究費を出資。両者から研究員約50名が参加する研究拠点「NIMS-SoftBank先端技術開発センター」を新たに設立し、2025年ごろの実用化を目指すという。

今後、蓄電容量の向上と大幅なコストダウンにつながることが期待されているのだ。

リチウムイオン電池(左)とリチウム空気電池(右)の構造の比較

空気中の酸素(正極活性物)とリチウム金属(負極活性物)が化学反応することで電力を生成するこの「リチウム空気電池」。構造は、正極(空気極)、セパレーター、負極(リチウム金属)を重ね、電解液を入れただけのいたってシンプルなもの。

放電反応では、負極から溶け出したリチウムイオンが正極で酸素および電子と反応して過酸化リチウム(Li2O2)に変化し、充電反応では正極の過酸化リチウムが酸素とリチウムイオンに分解され、負極にリチウム金属が析出する仕組みだ。

また、正極活性物である酸素は常に大気中から取り込まれるというのが最大の特徴。これまでのリチウムイオン電池は電池内に正極活性物と負極活性物を備える必要があったが、「リチウム空気電池」では電池内をほぼ負極活性物が占めることができる。

これによりコスト削減のほか、発生するエネルギー密度の大幅増につながり、その重量あたりのエネルギー密度はリチウムイオン電池と比べて5倍以上になるという。

記者会見では、コインタイプの「リチウム空気電池」のデモ稼働(上)とスタックタイプの「リチウム空気電池」カットモデルの展示(下)が行われた

まさに夢の二次電池である「リチウム空気電池」だが、放電電圧に比べ充電電圧が高いためエネルギー効率が低く、繰り返し使用時の寿命が短い(サイクル寿命)という課題も指摘されていた。しかし、電解液の改善(2017年7月31日、NIMS発表)でいずれも解決の方向性を見出している。

両者は、今後2025年ごろの実用化を目指して、さらなる研究開発を重ねていく予定だ。

企業と連携する研究開発の新しいカタチ

これまで企業がこうした研究に投資を行うことは決して多くなかった。

というのも、企業活動を継続するために会社は当然利益を出す必要があるため、企業の開発研究では、車のモデルチェンジなど短期間で成果の見える“既存技術改良型研究”の割合が大きかったのだ。将来的な市場を見据えているが、技術の飛躍が必須となる“市場開拓型研究”や、技術開発が困難かつ現状では市場が不透明な“非連続型研究”については、全体で見ればおよそ1割ほど。

「リチウム空気電池」はこの場合“非連続型研究”にあたり、従来であれば利益が不透明なため、大学や国立研究機関に期待する部分が大きくなるはずだった。

スタックタイプのリチウム空気電池を用いたラジコンヘリコプターの動作実証実験

“2025年度までに大学・国立研究開発法人への企業投資を3倍にする”という政府が打ち出したビジョン「日本再興戦略2016」もあり、今後は企業と大学・国立研究開発法人による共同研究の増加が見込まれている。今回の取り組みがよいケーススタディーになることも期待される。

さまざまなセンシングデバイスやウエアラブルデバイスへの活用、さらに大容量という特性を生かして、ドローンやロボティクス分野などあらゆる産業で性能を向上させる可能性を秘めた「リチウム空気電池」。来るべきIoT時代の主役として、その開発の加速が楽しみだ。





※ひと足先に実用化されるといわれる「全固体リチウムイオン電池」に関する記事はこちら

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