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救急用ドローンでAEDを運搬!迅速な人命救助へ実証実験がスタート

実用化されればAEDの運搬時間が約1/5に効率化される

規制緩和の動きもあり、現在、さまざまな分野への導入が検討されているドローン。中でも、何より迅速な対応が求められる医療の分野において、その有効性を確認する実証実験が先ごろ行われた。人命救助の在り方を変えるかもしれないドローンによる効率化の新たな取り組みをご紹介する。

人命に関わる喫緊の課題にチャレンジ

ドローン市場をけん引する企業の一つであるテラドローン株式会社は8月10日、東急不動産ホールディングス株式会社、オムロン ヘルスケア株式会社と共に、迅速な人命救助を目的に、AED(自動体外式除細動器)を搭載した救急用ドローンの飛行実験を行ったことを明らかにした。

今回の実証実験は、テラドローンの自動航行システム「Terra UTM」による完全自動飛行で実施されている点が一つのポイント。また、一般住宅地とゴルフ場の複合開発地「季美の森」(きみのもり/千葉県大網白里市)で行われ、個人住宅へ向けたドローンによるAED運搬実験は日本で初めての取り組みになるという。
※テラドローンが配信を開始したドローン操縦者向けiPadアプリ「Terra UTM」はこちら

実験に使用された「MATRICE 600 Pro」

ドローンやラジコン機など無人航空機の飛行は、2015年の航空法改定によって、人口密集地での飛行や目視外飛行の禁止など厳しく制限されているのが現状だ。

しかし現在、第6回 官民協議会(2017年5月19日開催)にて取りまとめられた「空の産業革命に向けたロードマップ」に沿って、目視外飛行におけるルールの一部緩和が検討されている。ことし中の離島や山間部への荷物配送の実現に向けて、官民一体となって取り組んでいる最中だ。

無人航空機の目視外飛行に関する要件

出典:国土交通省

一方、海外ではすでに医療分野においてドローンの活用が目覚ましい成果を上げている。そうした状況を受け、国内でもドローンの導入開始が嘱望される中で今回の検証は行われた。

飛行実験は、ゴルフ場のプレーヤーや季美の森の住宅地内の住民が倒れた場合を想定し、クラブハウスからそれぞれ離れた場所にあるゴルフコース(約450m)と個人住宅(約350m)に向けてドローンによるAED運搬を実施。通常の対応策であるゴルフカートでのAED運搬や救急車を呼んだときと比較し、その有効性を検証した。

季美の森ゴルフ倶楽部での飛行実験の様子

まず行われたゴルフコースでの運搬実験では、ゴルフカートが2分22秒を要したのに対して、ドローンはグリーン上空に1分44秒で到達し、2分11秒でAEDを届けることができた。上空への到達から着陸・送り届けるまでに約27秒を要しているのは、安全面に配慮しドローンの降下を慎重に行ったため。降下作業を効率化することでさらに早く届けられると見込まれている。

次に、個人住宅に向けて行われた運搬実験では、2分22秒でAEDを届けることに成功。実験にあたり、事前に近隣消防署から対象となる住宅までの救急車での移動時間を計測(信号待ち時は計測を停止)したところ、所要時間は10分10秒。つまり、ドローンによるAED運搬なら、救急車が到着するまでの間にAEDによる応急処置を実施できる可能性を示唆している。

日本AED財団によれば、心停止の救命率は電気ショックが1分遅れるごとに10%ずつ低下すると規定しているため、今回の飛行実験結果によるドローンでのAED運搬は、救命率向上につながると考えられる。それがAEDの適正配置が難しい郊外の団地やスポーツ施設などであれば、なおのことだ。

テラドローンでは、距離が延びるほどドローンによる運搬の優位性が際立つことが確認できたとし、今後も他の用途での活用を含めて、ドローンのさらなる技術向上と共に運搬実験を検討。今回の医療品配送の実績をもとに国内・外の物流事業に参入していきたい意向だ。

ドローンの医療分野における活用は、海外では1日に4名の人命救助に貢献したという実績があるように、実現できるだけの技術はすでに確立されている。国内での導入のためには、現在進められている安全面に配慮をした上で、規制緩和がポイントになる。加えて、その有効性をさらに高めるために連続航続距離の延長などドローン自体の性能強化も期待したい。

これらの課題が解消されれば、ドローンは私たちの暮らしを支え、助けとなるエネルギーそのものとなり得るのかもしれない。





※日本におけるドローンビジネスの今について、テラドローンの最高執行責任者・関鉄平氏にインタビューした記事はこちら

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