理系女子の履歴書

将来は化粧品開発の道へ!女性の心と体のキレイを後押ししたい

上智大学 理工学部 物質生命理工学科 4年 宝田唯以さん【後編】

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る「理系女子の履歴書」。第17回は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科に通う宝田唯以(ほうだゆい)さん。自動車などに普及が期待される燃料電池開発の研究の一端を担う彼女。後編は、その研究の先に描く夢と彼女のエネルギー源に迫った。

高分子の研究ができて何よりうれしい!

高校時代に高分子に引かれたことがきっかけで高分子研究室に入り、燃料電池に用いられる固体高分子膜の研究をしている宝田唯以さん。現在通う上智大学に進学を決めた理由は、高分子研究室があったからだった、というのは前編でお伝えした通りだが、そこから見えてくるのは、高校時代から先を見据えて、準備し、行動する、という彼女の真面目さだ。

「とはいっても、高分子の研究をしたいな、と本当に漠然と思っていただけなんですよ。高校のときの友達は、『私は建築家になりたい!』みたいに明確な夢がある子ばかりでした。私はどちらかといえば、そういう子たちに影響を受けて、自分も進路をしっかり考えないといけないなと反省していたくらいで…」

「石橋はたたいて渡りたいタイプです」

化学の道に進むからには研究職に就きたい。であれば、大学から自分の興味のある分野の研究に携わっておきたい。その考えは、確かに理にかなっているし先見性がある。何せ、大学理系学部の研究室配属は、その多くが高校卒業から丸3年後だ。他の分野には目移りしなかったのだろうか。

「高分子に関わることで、環境に良いこと。そこに焦点を絞っていたので、むしろ他に候補が全然なくて。他にも調べたとは思うのですが、覚えていません。それくらい高分子に魅力を感じていたんです」

「平日しか研究ができないので、土日はお休み。オフの日は、大好きなミュージカルを劇場に見に行ったりしています」

それだけ高分子に強く引かれ、研究に携わることを夢見てきた宝田さん。まさに今、夢の舞台で研究生活を謳歌(おうか)しているわけだ。

「実際に入ってみると、少しだけギャップがありまして。クリーンエネルギーの燃料電池研究に携われば、きっと環境に対して良いことができているって感じられると思っていたんですけど、現実はなかなか難しいです。研究って、想像していたよりもずっと細分化されているので、『遠いなーー』っていうのがリアルに感じた印象ですね」

前編で伝えた通り、彼女が進める研究は、「燃料電池」の中の「電解質膜」の中の「水素の動き」がどうなっているのか。研究をしていても、いまひとつ憧れの燃料電池自体を“作っている感”が抱けないのもうなずける。

「その先にある環境への貢献なんて、実感はほとんどないですね。でも、やりたいことをやっていますし、ネガティブには捉えていません」

バレエが支え!自分の背中を押してくれる

そんな研究に前向きな宝田さんだが、実は研究以外にもう一つ力を入れていることがある。それは、3歳から続けているバレエだ。

「17年間、ずっと同じバレエスタジオに通っています。趣味として続けているだけですが、大学でも学べないことがたくさん学べる場です。特にメンタル面で、とても役に立っています。今もそんなにメンタルが強いわけじゃないですけど(笑)。でもバレエをやっていなかったら、きっともっと弱かったんだろうなと思うんです」

特にそのバレエスタジオの教えでは、お互いのために「先輩後輩に関係なく、ミスに気付いたら指摘し合う」ということが大切にされているのだそう。ある種、職場の理想形ではあるが、そういった教育もまた、宝田さんの性格に良い影響を与えたことは間違いなさそうだ。「だからなのか、先輩に対してもけっこうズバッと言ってしまうことがあるんですけどね…(笑)」と冗談めかして笑う。

「やるとなったら集中スイッチが入ります。自分で言うのもなんですけど、勉強は頑張ってきた方だと思います」

ちなみに、現在はそのバレエスタジオで先生として、幼稚園生から小学生の子どもたちにバレエを教えているそう。体を休める時間を割いてでもバレエに関わるのには、彼女なりの考えがあってのことだった。

「小さいころからバレエを続けてきましたが、進学のタイミングなど、人生の節目を迎えるときにはやめようかと考えたこともありました。でもあるとき、歩む道が変わるからこそ、変わらない軸が自分には必要だ、と思うようになったんです。落ち込むことがあっても、週末にバレエをすることでリフレッシュできる。帰れる場所があるから頑張れる。今は、続けていて本当に良かったと思っています」

「毎週土曜日はバレエのレッスン。子どもの笑顔を見ているだけでも癒やされるんです」

夢は化粧品の研究者!女性のキレイを後押ししたい

軸のぶれない宝田さんの夢、それはもちろん研究者になることだ。具体的に目指している業界を尋ねてみると、何とも彼女らしい答えが返ってきた。

「今は燃料電池を研究していますが、将来ずっとやりたいかというとそうでもなくて。高分子を扱いたいのは変わりませんが、近頃は化粧品の開発をやってみたいと思うようになりました」

「頭の柔らかい文系の人と話したときに、私は理系だな~と思います。自分の頭の固さを実感するんです(笑)」

そこには、大学入学以降、彼女の日常に訪れたちょっとした変化が大きく影響しているという。

「お化粧を毎日するようになったのは大学からなんですが、肌の調子によって化粧ノリが全然違うっていうことを最近実感したんです。肌の調子が良い日は、それだけで一日中明るく過ごせます。お化粧って女性の元気の源になるものなんですよね。だから、常にキレイにいたいっていう気持ちを後押しできるようなものを開発できたらすてきだなって」

「通っていた高校が私立だったこともあって、厳しかったんです。当時、お化粧はバレエのときにするものだと考えていました」

環境保全から女性の元気を守ることへと興味の方向は変わったものの、高校時代の授業中に感じた「高分子は面白い」という気持ちは変わらない。まだ研究者としては歩み始めたばかりだが、宝田さんには、はっきりとこの道の先が見えていることだろう。

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