理系女子の履歴書

【東工大・中塚星来】夢は日本の健康寿命を延ばすこと! 未病対策に興味を抱いた理系女子

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系 3年 中塚星来さん【前編】

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る「理系女子の履歴書」。第18回は、東京工業大学で生命理工学を学ぶ中塚星来さん。医学、農業、マスコミ業界など、多方面に興味があるという彼女。「日本の健康寿命を延ばしたい」という夢を抱いたきっかけとは?

やっぱり理系は楽しい! 二足のわらじを決意した高2の夏

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系で、薬の作用基準や人工関節といった医療分野に関わるさまざまな基礎を学んでいる中塚星来さん。3年後期に迎える研究室への配属を目前に控え、これからの人生を考える時期に差しかかっている。

しかし、「優柔不断なんです」と言うほど、さまざまなことに興味を抱いてしまうという。その性格の根底にあるのは、幼いころの両親の影響だった。

「教育熱心な両親で、小さいころからいろいろなことを体験させてくれました。ピアノに体操、水泳、そろばん、絵の教室、それに英語も。母はいつも一緒に勉強や練習をしてくれて、ちょっと得意かもって思えるようになるくらいまでずっと付き合ってくれるんです。だから、どんなことでも、やってみたい、行ってみたいって興味が湧くようになったのかもしれません」

「特に医学に興味があって、夏休みには、学校のプログラムを使って他大学の医学の授業を受けに行きました」

両親共に理系脳で、父親も虫捕りや科学館によく連れて行ってくれた。思い返してみれば、理系分野の学問に興味を持つのも納得な育てられ方だったと振り返る。ただ、順調に理系の道を歩んできたのかと思いきや、「高校2年生の夏まで文系コースだった」と言う。

「当時はメディアの仕事に興味があったんです。テレビや新聞といった仕事に就くのであれば、文系の方が有利だと思ったんですが、やっぱり親の教育もあってか、成績的には理系科目の方が得意で。将来、理系の大学に進む可能性も残しておきたいと思い、学校に無理を言って理系コースに変更してもらったんです」

専攻するコースは変えられたものの、クラス替えまではできず、通常の授業は文系のまま。学校の授業では日本史を学び、家に帰ってから化学の勉強をする、という忙しい毎日を送ったそうだ。

「オフの日は大好きな鎌倉に行っています。散歩をしながら写真を撮るのが何より楽しい!」

「大変なこともありましたけど、理系の勉強はやっぱり楽しい。その楽しさっていうのが、受験勉強を頑張れた理由かもしれないですね」

沖縄への修学旅行で寿命と健康の問題を知る

そんな中塚さんの夢はずばり、「日本の健康寿命を延ばしたい」ということ。

健康寿命とは医療や介護に頼らず自立した日常生活を送れる期間のことで、厚生労働省の発表によると、男性72.14歳、女性74.79歳(※2016年調べ、2018年発表)と過去最高を記録した。

しかし、平均寿命も同じく延びており、その差(病気や介護などにより日常生活に制限がある状態で生活する期間)も過去最高となっているため、決して手放しでは喜べない。そんな日本の現状を、中塚さんは変えたいのだという。

「だって、健康的に長生きしたいじゃないですか。というのも、私、生命線が長いんですよ。だから小さいころから長生きに興味があって、『120歳まで生きるんだ!』なんてよく言っていたんです。爪でシワをなぞって延ばしていたくらい(笑)」

「アルバイトで学校の近くにある学生限定のカフェで働いています」

そう言って明るく笑う中塚さん。とはいえ、まだ若い彼女がなぜ「健康寿命」というキーワードを意識するようになったのか。そのきっかけは高校の修学旅行でのレポート作成にあった。

「高校の修学旅行先が沖縄で、沖縄といえば長寿というイメージがあるじゃないですか。それで、そのときに沖縄と寿命について調べたんです。そうしたら、意外と長寿じゃないっていうことが分かったんですよ。かつては日本一の長寿県だったのに、アメリカの食文化や車移動の頻度などが影響して、平均寿命が後退してしまったそうなんです」

目の付け所がなんとも理系らしい。当時のクラスメイトたちは全員、文系。首里城やひめゆりの塔など、歴史や文化についてのレポートを作る中、中塚さんは沖縄の食事や市場で売られている食材などを写真に収め、寿命に関係しそうなデータを集めたのだという。中塚さんのリサーチは続いた。

「自分が長生きしたいからこそ、医学に興味があるのかもしれません」

「では、どこが長寿なの?というと当時は長野県が1位でした。県を挙げて食事管理や運動を推進したことで全国1位になったそうです。それって、全国的に行うべきなんじゃないか、と思ったんですよ。私の両親の出身は、全国ワースト1位の青森県なので、他人事じゃない気がして(※厚生労働省が5年ごとに調査。2015年調べまでで、男性9回、女性4回と青森県は連続で最下位)。病気と健康の間にある状態、つまり未病の対策が重要だと感じたのは、このレポートを作ったことが、大きなきっかけになりましたね」

現代人に必要なのは、食事や運動の管理によって健康リスクの少ない生活を送ること。その方法論こそが、中塚さんが今、最も興味のあることであり、日本の健康寿命を延ばしたい、という思いの源になっている。

未病に関わること、全部興味があるんです!

大学3年生の中塚さんは、これから所属する研究室も決めなければならないし、就職するのか大学院に進むのかもそろそろ考えなければならない。

それに、夏休みにはテレビ局でのインターンシップにも参加したそうで、まだ完全には諦めていないというメディアへの道も頭によぎる。

「テレビ局のインターンは文系学部部の学生ばかりで、ちょっと浮いていましたけど(笑)」

「がんの研究や時計遺伝子の研究など、いろいろな研究室があるんです。どれも興味があって、まだ悩んでいます。でも、最終的に目指すところは変わりません。どんな形であれ、日本の健康寿命に貢献できると思うんです」

そう語る彼女の目は、希望の光であふれていた。

「あと、将来は農業もやりたいんです。仕事をしっかりやって、いつか子育てもして、老後は農作物をつくるおばあちゃんになれたら理想。死ぬまで何かをし続けていたいです。あ、でも年をとってからの農業は肉体的に大変ですよね。でも、私がやるころには、きっと作業用の機械も発達しているから大丈夫かな(笑)」

「白衣を着て遺伝子を培養したりするような、いかにも理系な感じの研究にも憧れています」

右に左にと定まらないようでいて、真ん中には一本の太い線が通っている。そんな中塚さんなら、この先にどんな道を選ぼうとも、持ち前の明るい笑顔で歩んでいけるはずだ。

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