理系女子の履歴書

理系女子を目指した原点はアイボ!将来は身近なロボットを開発したい

慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 4年 葉山優花【後編】

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る「理系女子の履歴書」。第11回は、慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科4年の葉山優花さん。後編では「生活を豊かにする身近なロボットを作りたい」という夢を語る彼女の過去と将来の話を聞いた。

帰国直後に英語以外の授業についていけず驚愕

現在、慶應義塾大学の柿沼研究室に所属し、光学結晶の超精密加工について研究の日々を送っている葉山優花さん。実は彼女、幼少期から中学3年までの間に計9年間をアメリカのシカゴで過ごした帰国子女でもある。中学・高校は一貫校に通っていたが、その後の大学受験ではそうとう苦労したという。
※【前編】の記事はこちら

「日本の数学や理科の授業はアメリカよりも進んでいて、英語以外、全然勉強についていけなかったんです。親にも『文系に進んだら?』と言われていたくらいでした」

しかし彼女には、それでも理系に進みたい理由があった。そのきっかけとなったのが、当時世間をにぎわせていた家庭用エンターテインメントロボット「aibo(アイボ)」だ。

大学から始めたダンスサークルに所属する葉山さん。学園祭シーズンになると、練習に熱が入るそう

「値段が高かったので買ってほしいとは言い出せなかったのですが、すごく興味をひかれたんです。テレビで紹介されていたり、『あの店に展示してある』というのを聞きつけると、必ず見に行っていたくらい。そこから、普段の生活をちょっと豊かにしてくれる身近なロボットや機械に興味を持つようになりました」

家電量販店に訪れたときは両親とは別行動。電子レンジや冷蔵庫などの家電を見て回るような女の子だったそうだ。そのような性格からも、「いつか⾃分も開発に携わりたい」と思うようになるのは、至極当然のことなのかもしれない。

直近では「ミス慶應理工コンテスト2018」に友人の推薦で参加し、見事準グランプリに

自習ノート100冊超!受験期に偏差値を20も上昇させる

しかし、どうしても学校の成績はついてこなかった。

「英語の成績に対して理系科目のギャップはひどかったです。英語の偏差値は75~80ある中、数学や理科は40台。国語は下手したら30台後半でした。それで、焦って中学3年から高校1年にかけての春休みから、本格的に大学受験に向けた勉強を始めたんです」

アメリカと日本のギャップという帰国子女ならではの洗礼。しかしそこで道を踏み外さなかったのは、彼女の強さでもあるのだろう。慶應義塾大学に入学するために相当な努力が必要だったことは想像に難くないが、“人が変わるほど”勉強に打ち込むことで乗り越えてきたという。

「高校3年間は、休み時間まで勉強していました。授業のノートとは別に自習用の“何でもノート”というのを作っていて、例題を解いたり、分からないことを書き留めておいたり、一日のやることリストなど何でもそこに書き込んでいましたね。何でも書くから、大体1〜2週間に1冊のペースでノートを使い切っていたんですけど、今思えば、ノートを消費することで達成感を得ていたのかもしれません」

「予定がないと不安になってしまうタイプなので、休日は何かしらの予定を作って外に出るようにしています。それでも空いた時間があれば、家電店に行きます(笑)」

高校3年間で積み上げたノートは優に100冊を超える。それだけでも、尋常じゃない勉強量は伝わるだろう。当然、結果もついてきた。偏差値は20以上上がり、見事、希望の大学に合格することができた。

「合格をもらったときは、毎日歩いていたはずの道が違って見えました。『こんなに空気が澄んでいたっけ?』『こんなに空は青かったっけ?』って(笑)。後から祖父母に『あのときの優花は怖かった』なんて言われるくらい、受験期はちょっと病んでいたというか、余裕がなかったみたいですね」

勉強についていけなかった悔しさと、身近なロボットの開発をしたいという夢。彼女がそこまでやり通せたのは、この2つの要素以外に、もう一つあった。

「理系に進んだきっかけはロボットでしたが、受験時に一番モチベーションとなっていたのは、高校時代の部活動『模擬国連部』で出会った友人たちにもう一度会いたいという気持ちだったんです」

理想の上司像は「フランクに話せる人」。意見を言いやすく、堅苦しくない関係性がいいのだそう

模擬国連部とは、2人で1国の大使を任され、国際問題をはじめとするさまざまな議題について、実際の国際連合と同じ討議方法で議論を戦わせるという部活動で、世界中の学生によって行われている。葉山さんはこの模擬国連部で全国大会に出場したこともあるそうだ。

「周りは有名進学校の人ばかりでした。早⼤・慶⼤はもとより、東⼤医学部(理科三類)にも受かって当たり前みたいな⼈たちと切磋琢磨してきたこともあって、私にとっては、それがとてもプラスに働いて、モチベーションになりました」

模擬国連部の活動は月に1度ほど。「勉強時間はしっかり取れる部活でしたが、その分、事前準備は大変でした」

夢は不変!身近なロボットを作りたい

目まぐるしく変わる環境によって立ちはだかった壁を、自力で打破してきた葉山さん。やっとの思いでつかんだ大学生活は、不断の努力の上に成り立っているようだ。

前編で語ってくれたとおり、現在は次世代技術として期待される「光共振器(ひかりきょうしんき)」の研究に携わっている。最先端の現場に身を置く彼女が今、思い描いている夢とは。

「将来は、やはり“身近なロボット”の設計や開発に関わりたいと思っています。まだ、どんなジャンルのロボットなのかとか具体的なことは考えられていませんが、そういうことができる職に就きたいですね。理系に進むきっかけとなったこの思いは、今も変わっていません」

「研究にダンスサークル、アルバイトと、日々の生活は充実しています」

「そのためにも、今は目の前の研究に集中したい」と、葉山さんは言う。ゴールまでの道のりが険しいのは分かっている。それでも頑張れるのは、数十年後に、かつて心動かされた“身近なロボットや機械”のキーパーツとして使われることになるかもしれないからだ。

「私の研究テーマである単結晶蛍石(ほたるいし)の超精密加工によって、高精度な光共振器が実現できれば、人の生活はもっと豊かに、便利になっていくはずです。今はまだ直接的にロボットや機械の開発に関わることはないですが、将来、自分が関わった研究が、身近な何かの役に立つ日が来ることを考えると、すごくワクワクしています」

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterでフォローしよう

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • はてぶ!
  • LINE