理系女子の履歴書

美容から環境問題を考える理系女子!PM2.5の研究で人の役に立ちたい

慶應義塾大学 理工学部 応用化学科 3年 清水彩花【前編】

美しき理系女子学生の現在と、夢を実現するためのエネルギーに迫る「理系女子の履歴書」。第12回は、慶應義塾大学 理工学部 応用化学科 3年の清水彩花さん。「人の役に立つ」ことが喜びだと考える彼女は、大気汚染物質が引き起こす健康被害を研究することで、環境問題を解決したいという。壮大な目標の動機とパワフルな意気込みとは。

化学の力で課題解決!理系女子流の人の役に立つ方法

「これまで学んできた“応用化学”の分野を掘り下げて、4年次からは環境化学研究室に所属し、PM2.5(2.5マイクロメートル以下の粒子状物質:微小粒子状物質)など大気中の汚染物質が人間に与える影響について研究します」と、今回話を聞いた慶應義塾大学の清水彩花さんは、冒頭からワクワクした様子で語ってくれた。

「応用化学」とは、人間の生活を豊かにする新しい物質の実用化を目指し、研究する学問。2019年1月現在、大学3年生である彼女は、これまでに学んできたことを振り返る中で、自分の今やりたいことがはっきりと見えてきたという。

「この研究室を選んだ理由は大きく2つあって、1つ目は環境による健康への影響を研究することで環境問題を解決したいから。私には以前から人の役に立つことをしたいという思いが強くあるのですが、誰に向けて何を解決するかが明確なこの研究室なら、人の役に立つ研究ができるんじゃないかと思ったんです」

現在は3年生の清水さん。実験で基本的な実験操作を学んだり、他領域の化学も勉強したり忙しい日々を過ごす

この「人の役に立ちたい」という思いは、彼女を語る上でとても重要な言葉だ。役に立つとはつまり、人々の課題を解決したいということ。それを実現するためのスキルとして応用化学を選んだのは、大気汚染が問題になるとき実際に人体に影響を与える原因は化学物質であり、多くの問題が顕在している分野だからだそうだ。

「昔から化学が好きだったこともあって、私の中ではなぜか、“課題解決”と“化学”が結び付いているんです。大学で応用化学科を選んだのも、化学の力を使って何かを生み出す、ということができるから。実験もレポートも多く忙しい学科なので、何で応用化学科にしたんだろうって後悔している大学の友人もいますけど、私は選び直すとしても応用化学を専攻すると思います」

「応用化学科は理工学部の中では一番忙しい学科。クリスマスイブも徹夜でレポート制作に追われていました」

「そして2つ目は、研究室の理念です。『世界の人々のより健康的な生活に貢献する』という理念は、どんなに優れた技術でも、誰かの役に立たなければ意味がないと思っている私にとって、とても共感できました。それともう一つ。『今日の自分が昨日より成長しているために、日々前向きに努力する』というもの。こんなポジティブな理念は他の研究室にはなかったので。なんだか、楽しそうじゃないですか」

PM2.5は肌荒れの原因にも!環境問題と化粧品の関係性

そんな清水さんが4月から研究室でやりたいと熱望しているテーマは、志望動機からも分かるように“健康被害”だ。

「私が所属する環境化学研究室では、PM2.5による人体と環境への影響を扱いますが、私が特に興味があるのは人の健康への影響について。私と私の父が結構ひどい花粉症なので身近な問題であるというのと、私が将来関わりたいと思っている化粧品の分野にも通じるものがあるからです」

最近楽しかった実験は、マスクに大気中にあるさまざまな粒子を通すことで、どれだけ粒子の数が減るか、というもの。「マスクの優秀さに驚いて、その日からマスクを持ち歩くようになりました(笑)」

PM2.5の問題と化粧品。共通項はないように思えるが、実は肌荒れの原因が大気汚染物質であることは少なくないという。化粧品会社のポーラと日本気象協会の共同研究によれば、大気汚染物質は紫外線、乾燥に次ぐ「第3の肌荒れ要因」とされているほど。確かに、PM2.5はアレルギー症状を悪化させるものであるため、目・喉・鼻からだけでなく、肌に直接接触・侵入することで肌荒れを引き起こすというのも納得できる。

好きなことは、ポイント集め。「LINEに楽天、あと、よく行く飲食店とか。デジタル、アナログを問わずためています。お得になるのが好きなんです」

「PM2.5や花粉をブロックするための化粧品も売られているくらい。大気汚染はやっぱり人間にとって深刻な問題で、肌荒れの他にもさまざまな健康被害をもたらしています。誰にとっても他人事じゃないんですよね」

やりたいことは絞らない!パワフルに駆け抜ける大学生活

研究開始まで、もう間もなく。研究室を開く奥田知明准教授への期待値はそうとう高いようだ。

「奥田准教授に、ある学生が『やりたいことが多過ぎて時間が足りない』というような質問をしたんです。それに対して、『やりたいことは全部頑張りなさい。そうやって時間の使い方を覚えていけばいい』とコメントをしていて、はっとしました」

「環境化学研究室は倍率の高い研究室だったのですが、何とか配属が決まって、ほっとしています」

清水さんが育ってきたこれまでの環境では、「やりたいことは一つに絞らないと、全てが中途半端に終わってしまう」というようなことを言う大人がほとんどだったそうだ。一つの目標に向かって邁進している姿は分かりやすく、確かに人々の目に美しく映るだろう。だが、それでは自らの可能性を狭めてしまうことにもなりかねない。「全部に一生懸命挑むことの何がいけないのか」そんな葛藤を抱えていたという。

「だから、ようやく自分と同じような考え方の大人に出会えて、背中を押してもらったような感覚です。やりたいことを全部やるために、日々成長していく努力をする。研究室の理念とも通じているところです」

「身近にある、あれもこれも化学物質でできている。化学でいろいろな謎が解けるのが面白いです」

現在、学業以外にも3つのアルバイトや長期インターンなど多くの“やりたいこと”を抱えている清水さんにとって、奥田准教授との出会いは、モチベーションの上がる出来事となったことは間違いない。彼女はやりたいことを全部かなえるために、これからも100%の全力で過ごす日々が続きそうだ。

<2019年1月23日(水)配信の【後編】に続く>
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