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“電動化”でロータリーエンジンが復活?マツダが見据える車の未来

次代を担うエンジン(内燃機関)の革新技術とは?

ガソリン車から環境に優しい車へ──。私たちにとって身近な乗り物である自動車が、現在、100年に一度ともいわれる変革期を迎えている。果たして車は今後どのような変化を遂げるのか? 日本の自動車メーカー・マツダが10月2日に行った技術説明会からその全貌が見えてきた、同社が描く車の未来に迫る。

世界で進む電動化の波。マツダの出した答えは…

現在、世界中の自動車メーカーが大きな課題として取り組んでいるのが、地球温暖化の抑制に向けたCO2を含む排気ガスの削減だ。

石油が採掘されてから、クルマが走行するまで、どの過程でCO2を排出しているか示した図。マツダでは、電気自動車の導入を促進するだけではなく、ライフサイクル全体でのCO2削減に取り組むことが重要と考えている

マツダは2017年8月、2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を公表。企業平均でのCO2排出量を、2050年までに90%削減(2010年比)することを視野に入れ、2030年時点で50%の削減を目指すとしている。

ここで注目したいのは、車の動力だ。マツダといえば、エンジン(内燃機関)にこだわりを持つ自動車メーカーとして知られている。そのマツダが今回、2030年以降に生産する全ての車を“電動化”する方針を発表したのだ。

自動車メーカー全体を見渡しても、その多くはエンジン(内燃機関)に電動化技術を搭載したものになると予測されている

では、内燃機関は今後、急速にその姿を消していくことになるのだろうか。

2030年時点でマツダが想定しているパワーユニットの構成比は、PHV(プラグインハイブリッド車)やHV(ハイブリッド車)を含めた内燃機関搭載車が95%。電気駆動のみの100%EV(電気自動車)は全体のわずか5%。

つまり、従来の内燃機関の理想を追求する戦略に変更はなく、2030年に全ての車に内燃機関をサポートする電動化技術を搭載したxEV化を目指すというのがマツダの方針だ。

ガソリンとディーゼル、それぞれの特徴を併せ持つ最新エンジン

その核となりそうなのが、理想的燃焼で有害物質の排出量を抑えた画期的ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」に続き、昨年「理想の内燃機関の実現に向けたロードマップ」の2番目のステップとして発表した次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」だ。

ガソリンエンジンの伸びのよさとディーゼルエンジンの優れた燃費やトルク、レスポンスといった双方のメリットを兼ね備える

「SKYACTIV-X」は、長年、車業界で夢の技術と言われてきたガソリンと空気の混合気をピストン圧縮によって自己着火させる燃焼技術CI(圧縮着火)を世界で初めて実用化(2017年8月マツダ調べ)。加えて、独自の燃焼方式SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を開発し、CIの成立範囲を拡大し、火花点火とCIのシームレスな切り替えを実現した。

また、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのいいとこ取りともいえるこの「SKYACTIV-X」は、現行の「SKYACTIV-G」(ガソリンエンジン)と比較しても、最大30%の大幅なトルク(馬力)向上を実現。燃費率も最大で20~30%程度改善されるなど、「SKYACTIV-D」(ディーゼルエンジン)と同等以上にまで引き上げられているのも特徴だ。

すでに各国でメディア関係者向けにプロトタイプによる試乗も行われている「SKYACTIV-X」搭載車。ことし11月には市販モデルの発表がうわさされている

今後、3番目のステップとして、2030年までにエンジンの断熱効果を理想に近づけるため、さらなる技術開発を進めていく予定だという。

ロータリーエンジンの復活が迫る?

一方で、EVなどの普及には、航続距離の更なる向上や各地域に即した最適なソリューションの提供は欠かすことができない。

そこで浮上してきたのが、マツダの代名詞ともいえるRE(ロータリーエンジン)を活用して発電する“REレンジエクステンダー”であり、同社では解決策の一つになると考えている。

REレンジエクステンダーの特徴は大きく2つ。一つは軽量かつコンパクトでスペースの効率化が可能なこと(図上)と、もう一つが高い静粛性(図下)

さらにマツダが狙うのが、同ユニットをベースに、ジェネレーターやバッテリー、燃料タンクの組み合わせを変更し、PHVや自家発電できるEV“シリーズハイブリッド”などを共通の車両パッケージで提供する「Multi-xEV」化だ。

このメリットについて、同社の代表取締役副社長・藤原清志氏は「CO2削減への貢献度合いや充電設備の普及度は地域によって異なるため、1台の車でxEVをマルチに対応できる技術を持つことは大きな強みになる」と説明している。

REの復活とさらなる発展の可能性を示唆した技術開発ビジョンのキーパーソン、藤原氏

また、多様化が予想される燃料についても、気体燃料との親和性の高いREであれば、CNG(圧縮天然ガス)やLPG(液化石油ガス)、水素といったクリーンエネルギーへの適応も可能という見解を示した。

復活に向かって期待が高まるRE。今後、災害時であっても入手・運搬が容易なLPGボンベを利用した“緊急給電モビリティ”としての可能性も想定して開発を進めていくという。

10月2日の技術説明発表会に登壇した丸本 明代表取締役社長の口からは、最後にとっておきのサプライズが飛び出した

代表取締役社長の丸本 明氏は「今回説明のあった技術を織り込んだ次世代商品の第1弾を、9月末から生産開始している」と明かし、「11月下旬のロサンゼルスオートショーにてお披露目する予定」と発表した。

マツダオフィシャルサイトで公開された動画。やはりうわさされているアクセラが発表されるのか?

マツダの系譜を引き継ぐ 次世代車の登場──。

その時を今から心待ちにしたい。

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