1. TOP
  2. 空想未来研究所2.0
  3. 火事場のクソ力は14万kW!「1パワー=2W」超人強度の等式見つかる
空想未来研究所2.0

火事場のクソ力は14万kW!「1パワー=2W」超人強度の等式見つかる

「キン肉マン」の超人強度を考察してみた

マンガやアニメの世界を研究する空想未来研究所が、今回取り上げるテーマは「超人強度」。ことし連載40周年を迎えた『キン肉マン』(1979年~)に登場する“超人”たちには、「100万パワー」「1000万パワー」といった強さを示す数値があった。はたして、そのエネルギーはどれほどのものなのか、考えてみました。

キン肉マンが図鑑に!?超人を網羅した感動の一冊

素晴らしい本が出た。『学研の図鑑 キン肉マン「超人」』である。

学研が多くの人に知識を提供してきた『動物』『昆虫』『宇宙』などのラインアップに『超人』が加わったのだ。新たな歴史の幕開けである。

およそ700人の超人たちについて、名前、属性(正義・悪魔・完璧)、出自、身長、体重、超人強度、出身地が紹介され、説明文がついている。

例えば、主人公のキン肉マンなら、身長185cm、体重90kg、超人強度95~7000万、出身キン肉星といったデータと、キン肉星の第58代大王で正義超人のリーダー、牛丼が好物、おしっこをもらしやすい、といった特徴が書かれていた。

第58代大王がおしっこをもらしやすくてどうする!?…なども気になるが、本稿で注目すべきは「超人強度」。

その単位は「パワー」で、「95~7000万」というのは、「普段は95パワーだが、友のために限界を超える力を出す『火事場のクソ力』時には7000万パワーになる」ということだ。

超人強度に関して強烈な印象を残したのは、バッファローマンだ。彼が現れるまで、最高の超人強度はウォーズマンの100万パワーだった。ところが、バッファローマンは1000万パワーだという!

その後、キン肉マンも火事場のクソ力で7000万パワーが出せるようになり、バッファローマンも瞬間最大超人強度は8000万パワーになった。キン肉星王位争奪編に登場するキン肉マン スーパーフェニックスとキン肉マン マリポーサは、邪悪な神が憑依すると1億パワーに!

こうした驚異的な超人強度を誇る“超人”は、一体どれほどのエネルギーを秘めているのだろうか。

新説!超人強度は【1[パワー]=2[W]】である

そもそも超人強度とは、何を表す数値なのだろうか。

前述したように、超人強度の単位は「パワー」である。現実世界では、パワーとは「1秒間に発揮するエネルギー」のこと。科学では「仕事率」、工学では「出力」、電気では「電力」で、「W」や「kW」が単位になる。

パワーの定義は、前述のように「パワー=エネルギー÷時間」。また、エネルギーの定義は「エネルギー=力×距離」なので、次のように書くことができる。

【パワー=力×距離÷時間】

ここで、「距離÷時間=速度」であることに注意すると、上の式はこうなる。

【パワー=力×速度】

つまり、パワーとは、力とスピードを掛け合わせたものなのだ。まさに、超人たちの強さを表すのにふさわしい。よってここでは、「超人強度=現実世界のパワー」と考えよう。

その場合、超人たちは、どれほどのパワーを持つことになるのだろうか。

ヒントになるのは、作中の第2回超人オリンピックの決勝戦。カードはキン肉マンVSウォーズマンである。

ウォーズマンは、地面の下からリングを持ち上げて現れ、そのままリングを20mほど投げる!それをキン肉マンが元の位置まで投げ返す!こうして両者は、戦いを前に、そのパワーを存分に見せつけた。

リングの重さに規格はないが、およそ1.5tと言われる。また、物体を20m飛ばすには、最低でも秒速14m=時速50kmで投げる必要がある。

そして、パワーが同じでも、手を動かす距離が長いほど、投げるのにかかる時間も長くなるので、それだけ大きなエネルギーを与えられる。手を動かす距離は身長に比例するはずで、筆者の場合は、身長の4分の1である。

以上から、物体を投げる動作に関しては、次の「投擲(とうてき)パワーの公式」が成り立つ。

【(投擲に必要な)パワー=物体の質量×投擲速度3÷身長】

身長210cm(=2.1m)のウォーズマンが、1.5t(=1500kg)のリングを秒速14mで投げるとき、パワーはこうなる。

【パワー=1,500[kg]×(14[m/秒])3÷2.1[m]=1,960,000[W]=1,960[kW]】

体重150kgのウォーズマンは、44tもある自衛隊の10式戦車(1,200kW)より強い!290分の1の重さしかないのに!

いずれにしても、これが100万パワーなのだから、次が明らかになる。

【超人強度1,000,000[パワー]=1,960,000[W] ⇔ 超人強度1[パワー]=1.96[W]】

特段の精度が要求されないケースでは、超人強度1[パワー]=2[W]としてもよいことにしよう。人類の大いなる一歩である!

とまでは言えないが、これが明らかになったいま、いろんなことが分かりますぞ。

リング超遠投&超音速疾走ができる1億パワー超人

例えば、他の超人たちがリングを投げると、どれほど飛ぶのか。

ここで、超人たちのスペックを確認しておこう。(※以下、「邪悪な神が憑依したキン肉マン スーパーフェニックス」を、「フェニックス」と略称)

(1)キン肉マン:身長185cm、体重90kg、超人強度95万パワー
(2)ウォーズマン:身長210cm、体重150kg、超人強度100万パワー
(3)バッファローマン:身長250cm、体重220kg、超人強度1000万パワー
(4)フェニックス:身長190cm、体重114kg、超人強度1億パワー

1[パワー]=2[W]として、投擲パワーの公式で計算すると、彼らが1.5tのリングを投げられる距離はこうなる。

キン肉マンは、17.7m。ウォーズマンと比べると、超人強度がやや小さいのと、身長が低いことが響いてこうなった。バッファローマンは105.6m。野球場のホームベースから投げて、両翼のスタンド(東京ドームは91m)に入るのだからスゴイ。フェニックスは408.3m。ドーム球場で投げると、屋根を突き破る!

皆さん、恐るべきパワーですなあ。

前述したように、パワーは力と速度を掛け合わせたもの。では、走る速度はどうだろう。

人間(成人男性)が全力疾走するときのパワーは2200Wと言われる。超人強度なら“1100パワー”ということだから、人間も侮れない。これが、身長180cm、体重70kg、100mを10秒で走る陸上選手の値だとすると、次の「走行パワーの公式」が成り立つ。

【走行速度3=17.68(定数※)×パワー×身長÷体重】
※走行速度を求めるための定められた数値

パワーがあり、身長が高く、体重が軽いほど、走る速度は速いということだ。ここから、各人の走る速度と100m走のタイムを計算すると、次の通り。

(1)キン肉マン:180cm、90kg、95万パワー ⇒ 時速315km、1秒14
(2)ウォーズマン:210cm、150kg、100万パワー ⇒ 時速285km、1秒26
(3)バッファローマン:250cm、220kg、1000万パワー ⇒ 時速572km、0秒63
(4)フェニックス:190cm、114kg、1億パワー ⇒ 時速1401km、0秒26

おお、キン肉マンがウォーズマンに勝った!ここでは体重の軽さが幸いしたわけだ。しかし、皆さんすごい。フェニックスなんて音速(時速1224km)を超えている。マッハ1.14だ!

全超人を圧倒!ステカセキングは宇宙を生み出せる

だが、超人たちの中には、不思議なキャラもいる。

初登場時にバッファローマンが連れて来た悪魔超人「ステカセキング」だ。ステカセキングの超人強度は250万。7人の悪魔超人の一人であり、「レッグパワーヘッドフォン」から100万ホーンの音が出せるという。

なんと、100万ホーンの音が出る!

音の大きさを表す指標に「ホーン」と「デシベル」がある。デシベルは「音源の音響パワー」と「観測点での騒音レベル」の両方に使われ、「ホーン」とは「人間が感じる音の大きさ」を表す。人間の耳には、デシベルが同じでも、周波数によって違う大きさに聞こえ、周波数が1000Hz(ヘルツ)のとき、デシベルとホーンの値は一致する……と、説明するといろいろ複雑なことになるが、ここでは、ステカセキングのレッグパワーヘッドフォンが100万デシベルの音響パワーを持つと仮定しよう。

デシベルという指標は、次のようなシステムになっている。

音響パワーが1Wのとき、120デシベル。デシベルが10上がると、音響パワーは10倍になる。

つまり、130デシベルは10W、140デシベルは100W、150デシベルは1000W、160デシベルは1万W……と、デシベルが上がるにつれて音響パワーはウナギ上りに上昇していく。

すると、100万デシベルとは、どのような音か?

100万デシベルは、120デシベルより99万9880デシベル大きい。「プラス99万9880」とは「プラス10」が9万9988回ということなので、音響パワーは「×10」が9万9988回。

すなわち、100万デシベル=1099988W。「1の後に0が9万9988個付いた数」W!

具体的に書くと……などと恒例のことをやると、単行本1冊分のスペースが全て0で埋まるという事態になるので、やめておきます。

とにかくこんなに強いヤツが、超人強度250万パワーに留まるとは不思議だ。超人強度1パワー=2Wで換算すれば、1099988Wのステカセキングの超人強度は5×1099987パワーのはずである!

1W×1秒=1J(ジュール)なので、ステカセキングが100万デシベルの音を1秒出すと、1099988Jのエネルギーが放たれる。この宇宙が始まったビッグバンのエネルギーでさえ1072Jなのに。もう、数限りない宇宙が誕生する!

この強いステカセキングも、キン肉マンに敗れてしまった。敗因はマンガを読んでいただくとして、その結果に関してバッファローマンはこんなことを言っていた。「ステカセキングは7人の中じゃ実力的には最低…」。ええ~っ、ホントですか、それ!

強さを表す数値がエスカレートする一方で、実力最低のキャラが無数の宇宙を生み出す。超人の強さは、数値を超越するということか。人間の想像力は、本当に素晴らしい!

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterでフォローしよう

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • はてぶ!
  • LINE
  1. TOP
  2. 空想未来研究所2.0
  3. 火事場のクソ力は14万kW!「1パワー=2W」超人強度の等式見つかる