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空想未来研究所2.0

25回転で確実に金メダル!?フィギュアスケートをやるべきヒーロー

アニメ&特撮で描かれた回転&ジャンプについて考察してみた

マンガやアニメの世界を研究する空想未来研究所が、今回取り上げるテーマは「回転とジャンプ力」。もしあのヒーローやヒロインがフィギュアスケート選手になったら、いったい何回転ジャンプが可能なのか考えてみました。

羽生選手5回転の可能性

冬期スポーツが盛り上がっておりますなあ。この時期、よく話題になるのがフィギュアスケートのジャンプの回転数である。

いまや、女子は3回転、男子は4回転が当たり前。このまま進歩すれば、いずれ5回転とか6回転とか可能になる日が来るのだろうか。

科学的には、ポイントになるのは「回転の速さ」と「ジャンプの高さ」。この両方が向上すれば、多回転ジャンプの可能性が見えてくる。

羽生結弦選手の4回転の映像を元に考えてみよう。測定すると、踏み切ってから着氷するまでの時間は0.72秒。この間に4回転だから、わずか0.18秒で1回転していることになる。

そして、滞空時間が0.72秒と分かれば、ジャンプの高度も求められる。使うのは、次の式だ。

  ジャンプ高度[m]=1/2×9.8×上昇時間[秒]の2乗

滞空時間0.72秒のうち、上昇した時間は0.36秒だから、ジャンプ高度は、1/2×9.8×0.36×0.36=0.63504m≒63.5㎝。

つまり羽生選手は、高度63.5㎝まで跳び上がり、空中にいる0.72秒間に4回転して、着氷したわけだ。

ここから、5回転の可能性を探ると、どうなるだろうか。

回転速度を変えないで5回転しようと思ったら、滞空時間を増やすしかない。単純計算すれば、0.18×5=0.90秒。

だが、滞空時間を伸ばすには、いまより高く跳ぶ必要がある。具体的には、99.2㎝まで!

いくら羽生選手とはいえ、1mも跳び上がるのは困難だろう。よって、回転数を増やすには、ジャンプ高度を上げるのと同時に、回転速度も上げる必要がある。

例えば、1回転の時間を0.17秒に縮められれば、0.85秒で5回転できる。その滞空時間を稼ぐのに必要なジャンプ高度とは、88.6㎝だ。

同じように考えると、回転速度を上げたとき、必要なジャンプ高度は次のようになる。

  0.16秒で1回転 → ジャンプ高度78.5㎝ 
  0.15秒で1回転 → ジャンプ高度69.0㎝ 
  0.14秒で1回転 → ジャンプ高度60.0㎝ 

なんと、0.14秒で1回転できれば、今よりジャンプ高度が低くても、羽生選手は5回転ジャンプが跳べるようになるはずだ!

――などと書くのはカンタンだが、実現するためには血のにじむような練習が必要だろう。フィギュアスケートはジャンプが全てではないので、あまり無理をしてケガなどしないことを心から祈ります。

仮面ライダーが出場したら?

珍しく、現実の話を延々書いてしまったけど、さて本稿はここからが本番だ。

マンガやアニメや特撮番組の中には、ぜひともフィギュアのジャンプに挑んでほしい人々がいる。恐るべきジャンプ力を誇るヒーローたちだ。

彼らは鋼の肉体を持っていて、ケガとはほぼ無縁。彼らがスケート靴を履き、リンクに立ってなお、普段のジャンプや回転ができるとしたら、いったい何回転できるだろうか?

ジャンプ力といえば、仮面ライダーである。

仮面ライダー1号のジャンプ力は25m。ビルの8階まで一気に跳べるすごいジャンプ力だ。ジャンプ高度を求めた前掲の式から逆算すると、仮面ライダーの滞空時間は4.52秒。そしてこの長い時間、羽生選手と同じく0.18秒に1回のペースで回転した場合、この人はなんと25回転もできることになる!

出ろ。今からでも遅くない、冬季スポーツの祭典!

待てよ、仮面ライダーの中には、もっと高く飛べる者もいる。数字が示されている中で、最大のジャンプ力を誇るのは『仮面ライダーオーズ』(2010~2011年)の「スーパー・タトバ・コンボ」という技で、ジャンプ力はなんと300m!

その滞空時間は実に15.65秒で、これだけの時間があれば87回転できる。うっひょ~っ。このヒトにも、ぜひとも平昌(ピョンチャン)に急行していただきたい。

ここまで書いて、いま気がつきました。

フィギュアスケートは室内競技。試合会場には必ずや屋根があるから、スーパー・タトバ・コンボはもちろん、仮面ライダー1号だって、自慢のジャンプを披露したら天井に頭をぶつけてしまう。

うーむ、残念……。

ぶっちぎりで優勝しそうな女子選手

しかし、それであきらめてしまったのでは面白くないので、ここはオリンピック委員会に手を回して、モーレツに屋根の高い競技場を作ったと仮定して考えよう。

すると、女子選手の中に、ものすごい有望株がいる。

70年代のロボットアニメ『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』(1977~1978年)に登場した岡めぐみだ。

彼女はボルテスVの足の部分になる「ボルトランダー」のパイロットなのだが、甲賀流十八代目の忍者でもある。初登場のときは忍者装束に身を包み、森を飛び回って修行していた。その訓練のさなか、着地した足元で爆薬が爆発。しかし、爆風より速く飛び退いたのだ。

筆者が注目したいのはここである。爆風の速度は、至近距離では秒速1500mにもなるが、これより速く飛び上がるとはモノスゴイ。秒速1500mだったとしても、そんな運動ができるということは、彼女が普通にジャンプしたら、高度115㎞まで跳んでいけるはずだ。

高度100㎞以上を「宇宙」というから、彼女はジャンプ一発で宇宙まで行けるんですな。その滞空時間は6分6秒。あり余るその時間、回転し続ければ、回りに回って1700回転!もはやスケートをやっているのかなんだかよく分からないが、どんな大会であろうが間違いなく優勝だー。

……あ。ダメかも。

6分6秒という滞空時間は、ショートプログラムの演技時間2分40秒±10秒はもちろん、フリースケーティングの4分(男子は4分30秒)もオーバーしてしまう。回っているうちに失格!

うーん、実力があり過ぎて負けるとは、あまりに無念である。

とは言え、彼ら彼女らは、フィギュアスケートの限界が、まだまだ先にあることを見せてくれた。人間の想像力は、本当に素晴らしい!

※原稿では数字を四捨五入して表示しています。このため、示している数値を示された通りの方法で計算しても、答えが一致しないことがあります。

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