1. TOP
  2. 大人の未来見学
  3. 業界に革命!ロボットが客対応するエンタメホテル
大人の未来見学

業界に革命!ロボットが客対応するエンタメホテル

3/15オープン「変なホテル」2号棟に最速潜入

未来を創る最先端の現場を訪ねる連載「大人の未来見学」。第2回は、ロボットが働く世界初の宿泊施設「変なホテル」の2号店に潜入した。普段の生活の中に働くロボットを実際に組み込んでいる施設をのぞいてみると、未来のライフスタイルの断片が見えてくる!

アトラクション感が秀逸!

うっそうと茂るジャングル、見上げればたわわに実った謎の果実。森を抜けると目の前に広がる岸壁…。

そして遭遇するのは、まさかの巨大なティラノサウルス!?

大いなる自然の豊かさと奇跡の古代生物に出合えるこの場所、実はホテルの中だ。もちろん普通のホテルではない。その名も「変なホテル」という。

千葉県浦安市にあるJR舞浜駅。言わずと知れたあのテーマパークの最寄り駅に3月15日、「変なホテル」の2号施設「変なホテル舞浜 東京ベイ」がオープンした。

「変なホテル」は、旅行代理店H.I.S(エイチ・アイ・エス)のグループ会社であるHISホテルホールディングスが運営する宿泊施設で、2015年7月に長崎のテーマパーク「ハウステンボス」内で1号棟がオープン。1号棟はロボットがフロント業務やクロークでの荷物預かり業務を対応するなど、「初めてロボットがスタッフとして働いたホテル」として2016年11月にギネス世界記録に認定されたホテルだ。

今回潜入する2号棟は、JR舞浜駅からディズニーリゾートを横目に旧江戸川沿いへと歩みを進めること20分ほどで到着する。“変な”と冠するだけに、出合いがしらから衝撃を受ける想定で訪れたが、ある意味で想像を超えた。

けっこう普通だ。

「変なホテル」とは、「常に変化し、進化し続けるホテル」という意味。つまり、読んで字のごとくの“変さ”をウリにしているわけではない。

期待を高めていったために、わずかなショックを受けながら内部に潜入すると、そこには夢のような世界が広がっていた。

冒頭で述べたジャングルや恐竜は、フロントロビーの一角。エントランスを抜けると、それらの装飾が出迎えてくれるのだ。同ホテルのメインターゲットは、ディズニーリゾートに訪れるファミリー層など。それゆえ、夢の国を目指して来る客、とくに子供たちの夢の時間を壊さないために、ホテル内のいたるところにエンターテインメントを詰め込んでいる。

ロボットにサービスされる時代到来

入場一歩目で心をわしづかみにされたのち、ホテルでまずすべきことはチェックインだ。当然、フロントに行くわけだが、ここで“変な”の最たる特徴を体験することができる。

ロボットによる受付だ。先ほどのティラノサウルスはオブジェだが、こちらの恐竜は動き、話す。心地の良いバリトンボイスで日・英・韓・中の4カ国語を操る彼らが、このホテルのフロントマンで、顔役である。

チェックインは、ロボットの前に置いてあるタッチパネルで対応言語を選び、音声認証かタッチパネルかを選択。情報を登録し終えると、横にある機器からカードキーが出てきて受付が完了する。外国人客であれば、パスポートをフロントに置かれたセンサーにかざすだけでチェックインが可能だ。

ロボットによる受付と聞くと難しそうなイメージだが、一般的なホテルで行う記帳などとほぼ変わらず、タッチパネルで行う分、作業はむしろ簡単かもしれない。

このフロントに立つ2体の恐竜ロボットをはじめ、このホテルでは、9種140体のロボットが働いている。

ロビーを動き回るゴミ箱ロボット

ロビーにある水槽内を泳ぐ魚ロボット

廊下などに設置されている掃除ロボット

一部はエンターテインメント性を提供するためのロボットではあるが、“ホテルで働く”ということを考えれば、客の満足度を高めることも立派な仕事。きっと彼らの存在が施設に付加価値を与えていくことだろう。

フロントでカードキーを受け取ったら、エレベーターに乗り部屋へ。

ロボットホテルが世界に進出

部屋の中に入ると…

室内コンシェルジュロボット「Tapia(タピア)」が名前を呼び、出迎えてくれる。このロボットには、照明やエアコン、テレビのオンオフを音声認証で行ってくれるなど、滞在時のサポート機能が備わっている。入室時に名前を呼ばれるのは、フロントでのチェックイン情報が連動しているため。快適性とエンタメ性を兼ね備えた頼もしい存在だ。

すでに部屋まで来てしまったが、ここまでに一切登場していないのが“人間”だ。もちろんいないわけではない。館内で働く人間のスタッフは全部で7人。ロボットが働くことで人件費の大幅削減が実現しているが、部屋のクリーニングや高齢者や子供へのケアなど、人の目や手による最終確認、緊急事態への対応といった部分は、まだロボットには担えないそうだ。

働くロボットとは別に、「変なホテル」のもう一つの特長、それが再生エネルギーの活用だ。長崎の1号棟では、2016年3月から自立型水素エネルギー供給システム「H2One」(東芝)を導入し、太陽光と水素で電力をつくり、一部の客室に供給している。2号棟には同様のシステムは未採用だが、オープン現在で使われていない屋上にソーラーパネルを設置して客室の電力を供給する計画が持ち上がっているそう。ただ、ディズニーリゾートを見据える好立地の屋上スペースだけに、客の満足度を高めるサービス利用にするか否かで検討中のようだ。

「変なホテル」は今後、ロボットへのAI搭載、VR(バーチャルリアリティ)システムの導入といったハードの進化から、H.I.S.と連携したツアープラン・サービスの構築などソフト開発と、さらなる進化を目指している。今年8月には愛知県蒲郡市に3号棟を開業予定。以降、長崎、千葉、愛知の3館でロボットを採用したホテル運営のデータを蓄積し、ロボットと運営システムをパッケージ化、2021年には世界で100軒のホテルを自社展開する準備を進めている。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterでフォローしよう

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • はてぶ!
  • LINE
  1. TOP
  2. 大人の未来見学
  3. 業界に革命!ロボットが客対応するエンタメホテル