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介護業界も注目! りらいぶが切り開く機能性ウエアの未来

株式会社りらいぶ 代表取締役 佐々木貴史【後編】

着るだけで体のコンディションをサポートする「リライブウェア」。2017年のシリーズ第1弾「リライブシャツ」発表以来、“機能性ウエアの先駆者”は市場をいかに切り開いてきたか。株式会社りらいぶ 代表取締役、佐々木貴史氏に引き続き話を聞いた。

技術と市場の間の距離を埋める苦労

特殊加工した鉱石を塗料に混ぜて身体のポイントに沿ってプリントする「リライブ加工」を施し、着用者の身体をサポートするリライブシャツ。開発者である佐々木氏は試行錯誤の末に完成させた際、「これで世界を変えようと思いました」と振り返る。

※【前編の記事】身体をサポートする! 話題の“リライブウェア”開発秘話

「50代で仕事は引退かなと思っていたのですが、シャツが完成した57歳のときに引退を撤回して『これからが人生の本番だ』と一気に世界が広がりました。ですが、ここからの3年間が本当に苦しかったです。

まずはリライブシャツに類似の特許の有無を調べたところ、国内にも海外にも全くありませんでした。そこで、売れるか否かも見通せぬまま『事業を世界に広げる』という志から日本の他にアメリカやEU、アジアなどでも特許を申請しました。これが弁理士の先生に技術を理解いただくことに始まり、さらに各国ごとに申請する必要があり、思わぬ時間と費用を要しました」

加えて佐々木氏を苦しめたのが「どうしても効果を疑われてしまう」ことだった。

シャツの発売当初は『着るだけで実感できるなんてあり得ない』『騙されているのでは』など、怪しまれることが常でした。ですので、いろいろな第三者機関に実証実験をお願いして、確かなデータ、エビデンスも集めました。エビデンスに良い数値が結果として提示されると、やはりうれしかったですね」

りらいぶでは、体を動かす重労働の職場への導入を念頭に、リライブシャツ着用者の血流などの変化を検証する実証試験を行い、幅広いデータを蓄積した

画像提供:株式会社りらいぶ(株式会社TFC ラボ「リライブシャツ・パンツ着用による身体への影響の効果検証試験 実施結果報告書」より)

当時の売り上げは伸び悩み、「年商は700万円ほどでした」と佐々木氏は言う。

「苦境を打開した契機は2021年、YouTube配信の番組『令和の虎』に59歳の挑戦として出演したことでした。5人の社長に志願者が事業をプレゼンする番組で、社長の皆さんがリライブシャツの効果に驚かれ好評をいただけました」

ケアテックとしての機能性ウエア

「令和の虎」出演後、リライブウェアの評判はSNSを通じて幅広い層へ波及。会社の年商はわずか4年ほどで150億円を突破した。

佐々木氏は当時、番組で「介護士の負担を減らしたい」とプレゼンし、リライブシャツを普及させたいターゲットを明確に絞っていた。

「妹が親を介護する際、リライブウェアのおかげでいろいろな場面で楽になったと話し、介護士の方々も同様に喜ばれました。この結果をもって、リライブウェアを介護の現場に広めたいと強く思った背景があります」

「ケアテック(介護テック)の展示会ではよく介護事業者の方が効果を実感しても『会社でウエアを採用するための説明ができない』と困惑され、このシャツを売る難しさを感じました」(佐々木氏)

介護の現場でのリライブシャツの利用イメージ。2024年11月、リライブウェアの商品(4点)が衣類として初めて日本介護協会認定マークを取得。同マークは介護業界の発展を目的に開発された商品やサービスに付与される

画像および認定マーク提供:株式会社りらいぶ

昨今、要介護者の増加と働き手不足による介護士不足の反比例が問題視される介護業界では、これまで要介護者を起こし、抱き抱え、移動や入浴をサポートする重労働の軽減を目的に、さまざまなケアテック(介護ロボット)が開発・試用されてきた。

【参考】来る超高齢社会に向けて。介護テック最前線

「介護の重労働に負担を感じている方々だけでなく、高齢の方々にも日常使いしてもらいたいと思っています。高齢の方々はパンツやスパッツをはくことで歩行がサポートされ、歩くことが再び楽しくなり体への負荷の軽減にも結び付き、健康維持や生活の質の向上につながります。

またリライブシャツなら介護事業者も大掛かりなケアテックより気軽に利用でき、メンテナンスの必要もありません。ただ、介護ロボットには導入の際に国の補助制度がありますが、リライブシャツにはそういった制度は現状なく、大量導入となると逆に二の足を踏まれてしまう点が目下の悩みです」

2026年の目標の一つに「介護士の負担を減らすこと」を掲げる佐々木氏は、年始早々にSNSを通じて歯がゆい想いと共に「どうやったら(リライブウェアが)介護関係者に届くのでしょう? 介護関係の方、アドバイスいただけないでしょうか」と投稿。このメッセージは瞬く間に拡散、多くの介護従事者の元へ届き、佐々木氏へ賛同の意見やアドバイスが寄せられた。

明るい介護の未来へ向けて、新たな可能性が見いだされたと言えるだろう。

“リライブエンジン”で切り開く機能性ウエアの未来

近年は介護業界との連携から、介護の現場でリライブウェアの実証や導入の機会も見受けられる。他にも製造、建築、物流などの重労働環境、さらにはアスリートの身体のサポート、負荷の軽減にも利用されるケースも報じられだした。

そうした動きを加速させるべく、佐々木氏は「さらに機能性ウエアの性能を気軽に体感してもらうための新発想の技術」として、これまで培った技術を凝縮した「リライブエンジン」を開発した。

リライブエンジンは、鉱石を含むプリント加工を施したテープ状の素材を2×5(cm)の小さなプレートに凝縮した先進技術。画像はリライブエンジンを搭載したリライブパワーリストバンド

「例えばリライブエンジンを搭載したリストバンドなら、より気軽に着けられます。2025年より企業、団体からモニターを募集し、リライブパワーリストバンドの提供を進めています。この取り組みが普及を広げる足掛かりになればと願っています」

りらいぶは国内プロバスケットボールリーグの「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26シーズン」のオフィシャルスポンサーに就任。リライブエンジンをB.LEAGUEワッペンとして全選手のユニフォームに搭載。画像は島田慎二B.LEAGUE チェアマンと佐々木氏

画像提供:株式会社りらいぶ

普及とともにリライブウェアの世界展開も加速。苦しい時期の特許申請が功を奏し、欧米、アジア、さらには中東でもリライブウェアの引き合いは強い。

「『健康を届ける事業を世界で広めていく』という志が着実に進んでいることを感じています。これからはペット向けの機能性衣料やメンタル面にも働き掛けのできる機能性ウエアの開発などを計画しています。

ブランド名の『RELIVE』には、生き直す、再出発する意味を込めています。未知の領域に挑戦して生活の質を高める──。そんな意志が根底にあります。私は『生き直す』という概念を通じ世界観を広げ、世界中の困っている方々を健康面から支えていけたらと思っています」

体に自信がなかった経営者が“志”を持ち、一つの発明から世界を変えていく。

64歳の佐々木氏の挑戦は、今日も誰かに着る元気を届けている。

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