
2022.10.28
「COP」を3分解説!
気候変動問題に関する条約の締約国会議
エネルギーの注目キーワードを3分で理解! 第27回のテーマは「COP」。毎年開催される気候変動に関する国際会議はどのようなものなのか。最低限知っておきたい「COP」のポイントを解説します。
気候変動問題に関する具体策を議論する場
COPとは「Conference of the Parties」の略で、日本語では締約国会議。簡単に言えば、条約を結んだ国々による会議という意味です。
エネルギー・環境分野において「COP」というと、「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」の締約国会議を指します。
UNFCCCは、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目的として1992年5月に採択。1995年から毎年COPが開催され、現在では197の国と地域が締約、参加しています。
数多くの国・地域が参加するCOPでは、「共通だが差異ある責任(※)」という原則に基づいて、先進国と途上国の扱いを区別し、3つに分類しています。
(1)附属書I国:温室効果ガス削減や報告の義務がある国。主として先進国、OECD加盟国および経済移行国(旧ソ連、東欧諸国)が含まれる。
(2)非附属書I国:温室効果ガス削減や報告の義務が免除されている途上国。
(3)附属書II国:温室効果ガス削減や報告の義務の他に、途上国への資金協力を行う義務を負う先進国(OECD加盟国。ただしメキシコ、韓国を除く)。
※地球温暖化への責任は世界各国に共通するが、今日の大気中の温室効果ガスの大部分は先進国が過去に発生したものであることから、先進国と開発途上国の責任に差異を付けることを謳った概念。
京都議定書とパリ協定
UNFCCCの目的を達成するための具体的な枠組みが「京都議定書」と「パリ協定」です。
京都議定書は“2020年までの枠組み”を定めたもので、1997年12月のCOP3(京都)で採択され、2005年2月に発効されました。
ここでは、附属書I国に対して、一定期間における温室効果ガス排出量の削減義務(1990年を基準)を、法的拘束力のある形で国ごとに設定。一方で、この時には途上国には削減義務がありませんでした。
パリ協定は、“2020年以降の枠組み”を定めたもので、2015年12月のCOP21(パリ)で採択され、2016年11月に発効されました。
京都議定書との決定的な違いは、先進国・途上国関係なく、全ての国が参加する 初めての国際的な枠組みとして合意されたことです。
具体的には、「世界的な平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」ことや「今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成する」ことを目標に掲げました。
また、パリ協定では5年ごとに削減目標(NDC)を提出・更新する仕組みを取り入れています。
COP27最大のテーマはロス&ダメージ
2021年に開催されたCOP26では、「グラスゴー気候合意」が採択されました。
この合意は、世界的な平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力の継続に向けた決意を確認しつつ、今世紀半ばのカーボンニュートラルおよび2030年に向けた野心的な気候変動対策を締約国に求めたものです。
また、気候変動の影響による損失と損害(ロス&ダメージ)の議論も注目を集めました。
グラスゴー気候合意でも大きな脅威となる問題であることが認識され、先進国やさまざまな機関に対して、ロス&ダメージに対処する活動への支援強化が求められています。
COP27は、2022年11月にエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されます。
エジプトのスィースィー大統領は、アフリカ諸国は温室効果ガスの排出量が少ないにもかかわらず、気候変動の影響を大きく受けていると主張しており、エジプトでCOP27を開催する主な目的の一つに、「気候変動問題に関してアフリカ諸国との協力の下、同大陸の利益を代弁すること」を挙げています。
先進国と途上国の対立が長年続いているロス&ダメージの議論。具体的な支援の在り方など、COP26の成果を踏まえ建設的に前進することが期待されます。
参考:
・UNFCCC
https://unfccc.int/
・外務省『気候変動に関する国際枠組み』
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page22_003283.html
・環境省『気候変動の国際交渉 関連資料』
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/cop/shiryo.html
・IGES『気候変動交渉における損失と損害(ロス&ダメージ):これまでの議論とCOP26の成果』
https://www.iges.or.jp/jp/pub/loss-damage-cop26/ja
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イラスト:Studio4Rt - Freepik.com