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「NDC」を3分解説!

パリ協定に参加した各国が定める温室効果ガスの排出削減目標

エネルギーの注目キーワードを3分で理解! 第28回のテーマは「NDC(削減目標)」。途上国を含む国々が参加するパリ協定では、各国が温室効果ガスの排出削減目標を策定しています。最低限知っておきたい「NDC」のポイントを解説します。

NDCは、パリ協定批准国が提出する「温室効果ガスの排出削減目標」

2015年のCOP21で採択された「パリ協定」。2020年以降の気候変動対策への国際枠組みとして、歴史上はじめて、先進国と途上国が参加する公平な合意です。

これに参加する各国は、5年ごとに「温室効果ガスの排出削減目標」を提出・更新する義務があります。その目標を示すのがNDCです。

NDCとは、Nationally Determined Contributionの略で、「国が決定する貢献」と訳されます。

一部の国のNDCでは、気候変動の影響にどのように適応していくか、また、他の国からどのような支援を必要とし、あるいはどんな支援を提供するのかについても言及しています。

ちなみに、ワルシャワで開催されたCOP19では、「全ての国に対して、2020年以降の削減目標について、国が決定する貢献案をCOP21に十分先立ち作成することが招請」されました。

この貢献案をINDC(intended nationally determined contribution)と呼びます。日本を含む多くの国が2015年にINDCを提出しています。

日本のNDCの中身は?

日本のINDCは2015年7月に決定され、「国内の(温室効果ガスの)排出削減・吸収量の確保により、2030年度に2013年度比-26.0%(2005年度比-25.4%)の水準にすること」という目標を掲げました。

その後、2020年3月に決定されたNDCでは、同じように「2030年度に2013年度比-26%(2005年度比-25.4%)の水準にすること」、さらに「この水準にとどまることなく、中期・長期の両面で温室効果ガスの更なる削減努力を追求していくこと」が付け加えられました。

そして、日本は2050年カーボンニュートラル宣言(2020年10月)を踏まえ、目標を更新。

削減目標を2013年度比46%削減にまで引き上げ、加えて「50%の高みに向け、挑戦を続けていく」という決意を表明しています。この内容は2021年10月に新たな削減目標を盛り込んだNDCとして決定され、国連へ提出されています。

パリ協定に基づいて策定された長期戦略にも注目

パリ協定では、「全ての締約国は長期的な温室効果ガスの低排出型の発展のための戦略(長期低排出発展戦略)を作成し、通報するよう努力すべきである」と規定されていますが、これは、NDCとは別のものです。

「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」と呼ばれ、2019年6月に閣議決定、国連に提出されました。

その後、NDCと同じく、「2050年カーボンニュートラル宣言」を踏まえた見直しが行われ、2021年10月に新たな長期戦略を閣議決定、国連へ提出しています。

新しい長期戦略は、地球温暖化対策を経済成長につなげるという考え方の下、各部門での対策や横断的な施策の方向性を示しています。

例えばエネルギー部門では、再エネ最優先の原則や、徹底した省エネ、電源の脱炭素化、水素やアンモニア、原子力のようなあらゆる選択肢の追求といった方向性が提示されました。

NDCと共に、今後長期戦略をどのように実現していくか、具体的なプランに注目が集まります。

参考:
・環境省プレスリリース『「地球温暖化対策計画」及び「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の閣議決定並びに「日本のNDC(国が決定する貢献)」の地球温暖化対策推進本部決定について』(2021年10月22日)
https://www.env.go.jp/press/110060.html
・外務省『日本の排出削減目標』(2022年1月11日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000121.html

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