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欧米で人気!電動キックボードのシェアリング化は日本で普及なるか?

世界で話題の新しいシェアの形! 日本での導入には法の規制も

無理をすれば歩けるけれど、できれば歩きたくない距離──。人によって差はあるだろうが、徒歩15~30分といったところだろうか? そんな微妙な距離を移動するのに最適だと世界で注目されているのが、電動キックボードのシェアサービスだ。すでに欧米やオーストラリアなどで当たり前になっている中、日本でも東京のスタートアップ企業・Luup(ループ)が導入に向けて動きだしている。日本ならではの問題も含め、ちょい乗り需要に応えてくれる新サービスの今をお伝えする。

車や自転車のシェアリング化は成功!電動キックボードも続くことができるか

停滞気味な日本経済の中、シェアリングエコノミーが好況だ。総務省のデータによると、2016年度の市場規模が約503億円だったのに対し、2021年には約1071億円と2倍に推移すると予測されている。

シェアリングエコノミー協会によると、シェアリングエコノミーとは「インターネットを介して個人と個人の間で使っていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービス」と定義されている。

モノを個人で保有・消費する時代から、多くの人でレンタル・シェアする時代へ──。この潮流には、移動手段も含まれている。

例えば、カーシェアリング。事前に登録した人であれば、煩わしい作業なしですぐ車を使えるこのサービス。営業車の代わりに利用する企業やマンション駐車場に設置された車を住民でシェアするといったケースなど、近年、そのニーズが高まっている。

また、自転車のシェアサービスも普及しつつある。シェア自転車大手のドコモ・バイクシェアによると、東京都目黒区や千代田区、港区などの自治体と連携し、都内だけでも7000台以上のシェア自転車が稼働しているという。奥日光や尾道などの観光地にも設置されており、観光客の重要な「足」となっているケースも少なくない。

さらに、ことし3月には、日本政府が相乗り型タクシーの全国解禁に向けて議論を開始。目的地が同じ方向の人をアプリ上でマッチングさせる仕組みで、2019年度中の実現を目指すという。1台のタクシーを見知らぬ人とシェアする形にはなるが、料金が高過ぎるといわれる日本のタクシーサービスに風穴を開けることが期待されている。

ドコモ・バイクシェアが運営するシェア自転車。事前に登録し、交通系ICカードを使って開錠する仕組み

(C)show999 / PIXTA(ピクスタ)

これらの移動系シェアサービスに共通しているのは、エネルギーをセーブして環境への負荷を軽減していること。もう一つが「短い距離を安く簡単に移動したい」という利用者のニーズに応えている点だ。

さらに世界に目を向けてみると、新しいシェアリングの形が次々と生まれてきているのを知ることができる。

その一つが、欧米やシンガポール、ブラジルなどで人気の高い電動キックボードのシェアサービスだ。

シンガポールのマリーナエリアに設置されたシェア型電動キックボード。ひとつの場所に2社のキックボードが並ぶことからも、普及していることがうかがえる

日本でもことし4月、東京のスタートアップ企業・Luupと5つの自治体が連携協定を締結。電動キックボードを用いた実証実験や各市町内における公共交通のあり方に関する協議検討、交通政策への相互協力をしていくことを発表した。

電動キックボードのシェアサービスを通じて、移動効率の向上や駅から遠いエリアの価値向上、観光客の利便性向上を目指すLuup社。「公共交通の不足分を補いたい」「駅から遠い場所にも観光客を取り込みたい」など、地域交通に悩みを持つ自治体が同社の取り組みに賛同した形だ。

左から東京都多摩市、埼玉県横瀬町、静岡県浜松市、Luup社、三重県四日市市、奈良県奈良市の代表が並んだ記者会見の様子

使用が想定されている電動キックボードは、およそ3時間の充電で約40kmを走行できる設計。専用アプリで街なかに設置された電動キックボードを探すことができ、アプリ上で支払いまでを済ませる仕組みだ。

電動キックボードの走行イメージ。女性でも簡単に操作できるのが分かる

シェア自転車と似ている部分もあるが、電動キックボードならではのメリットもある。サドルにまたがってペダルをこぐ必要がないため、スーツやスカートでも気軽に乗れる点だ。また、自転車よりも小型なため、設置スペースが限られた場面でも運用可能なことが挙げられる。

気になる安全面は、Luup社独自の安全制御システムを2つ備えている。

まず一つは、GPSを使った速度制限。Luupの電動キックボードの最高時速は19.5kmだが、人が多いエリアに近づくとスマートフォンのアラームで知らせたり、自動で徐々に速度を落としたりすることができるという。

もう一つは、ユーザーの走行ログを管理すること。必要以上の蛇行運転や急発進・急停止を繰り返すユーザーにペナルティーを科し、一定期間の使用(開錠)を制限する仕組みだ。

しかし、運用に向けては法律の壁もある。

公道を走るには道路運送車両法の保安基準を満たさなくてはいけないため、一般的な電動キックボードに装備されていない方向指示器や前照灯を備える必要がある点だ。また、法律上は原動機付自転車(50ccバイク)に該当するので、車道しか走ることができない点も挙げられる。

電動キックボードのルールについては、世界各地で現在進行形の議論が行われている段階であり、ドイツでは先ごろ5月17日に公道での走行が解禁されたばかりだ。

世界各国の電動キックボードの取り扱い制度の比較。国によってばらつきがあるのが分かる

現在、関係各省庁や法律の専門家と共に、電動キックボードのあり方について協議を重ねているLuup社。まずは、実証実験の実現に向けて活動していく予定だという。

電動キックボード市場には自動車大手のBMWやFordも参戦し、ますます注目度が高まっている。

日本では法律問題など解決すべき課題は多いが、今回の取り組みから新たな移動シェアサービスの早期実現を期待したい。

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