2017.5.18
1000mの崖登りが可能!? 最新アルカリ乾電池の恐るべき実力
パナソニックの「EVOLTA」が9年ぶりに技術革新!
“長期保存”“長持ち”“高性能”で知られるパナソニック製の乾電池「EVOLTA」が、2008年の発売から9年を経て「EVOLTA NEO」としてリニューアル! 同ブランドの恒例イベントである性能の実証実験として、7月にノルウェーで断崖絶壁の“登頂”を目指すとか…。進化した乾電池の“今”に刮目(かつもく)せよ!
10年保存後の長持ち性能も約20%アップ!
スマートフォンやパソコンに使われるリチウムイオン充電池をはじめ、繰り返して使うことができる“二次電池(充電池)”がわれわれの生活に必要不可欠なのは明白だ。
しかし、まだまだ従来の使い切りタイプの乾電池(一次電池)も需要は堅調。先進国ではマンガン乾電池からアルカリ乾電池へのシフトがひと段落したが、新興国ではアルカリマンガン乾電池へのシフトが継続しており、今後も需要は増加するとみられている。また、自然災害が多い日本でも必ずコンビニに乾電池が置いてあるし、緊急時など何かと頼りになる存在だ。
マーケティングリサーチの富士経済が昨年発表した電池関連市場の調査によると、一次電池の世界市場は新興国向けを中心に需要が拡大し、2015年の1兆922億円から、2020年には1兆1323億円に伸長すると予測されている。
そんな中、パナソニックから「EVOLTA NEO」が4月26日に発売された。もともと“10年保存が可能”がウリの「EVOLTA」は、2008年の発売以降、2016年12月末に世界約80か国で累計生産個数22億本を突破した大ヒット商品。それが今回のリニューアルで同社史上ナンバーワンの長持ちを実現したという。
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価格はオープンプライス。実勢価格は、単1形が2本500円前後、単2形が2本450円前後、単3形と単4形が各4本600円前後
パナソニックによると、電池の性能を左右する三大要素である材料、工法、構造の全てを技術革新。これにより、長持ち性能が約10%アップしたという。
長期保存性能については、推奨期限である10年後のエネルギー保有率が約20%アップ。さらに、液漏れに繋がる過放電後のガス発生量を約30%削減している。
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小電流から中電流・大電流までの幅広い電流域で、従来の「EVOLTA」を上回る性能を発揮(パナソニックサイトより)
主材料として、高密度・高純度二酸化マンガンを新開発。さらにバインダ(材料同士の密着性を高める潤滑剤)を採用したことで充填量が増加し長持ち性能がアップ…と、技術的な革新ポイントは枚挙に暇(いとま)がない。
だが、われわれが知りたいのは「…で、実際にどれだけパワーがあるの?」ということではないだろうか。
実は、そんな疑問を逆手にとるような驚愕(きょうがく)の実証実験が行われようとしているのである。
乾電池2本で約1000mの断崖に挑む!
パナソニックは「EVOLTA NEO」の発売に合わせて、同電池を動力とするロボットで、ノルウェーの高さ約1000mのリーセフィヨルド シェーラグ山に登頂するチャレンジを7月上旬に実施すると発表した。
2008年に全モデルが発売された際にも同様の企画でアメリカのグランドキャニオン(約530m)を登頂したが、今回はその2倍の高さの絶壁に挑もうというわけだ。
“挑戦者”のロボットは、単3形「EVOLTA NEO」2本を搭載した「エボルタNEOくん」。彼がフィヨルドの断崖絶壁に張られたロープを登ることで、乾電池の長時間駆動とパワーをアピールする。
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世界的ロボットクリエーターの高橋智隆氏が手掛けた「エボルタNEOくん」
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身長17cm、体重169g(電池あり)、120g(電池なし)
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実証実験の舞台となるのはノルウェーのリーセフィヨルド。水面からほぼ垂直に約1000m以上延びる絶壁シェーラグ山の登頂を目指す
この「エボルタ NEOくん」、1分当たりにおよそ1.26mのペースでロープを登ることから、パナソニックは1000mを約13時間以上かけて登頂することになると試算している。
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生まれ変わる前の「エボルタくん」は、2008年にグランドキャニオンの断崖絶壁を6時間46分31秒で登頂。フィヨルドは前回をはるかに凌ぐ高さだが…果たして成功なるか!?
チャレンジ当日は生放送を予定しているという。「エボルタ NEOくん」と同じスピードでロープを登る追跡撮影システムによる360度のライブ映像を確認できるとか。
合計距離230kmのトライアスロン、14日間ノンストップのバーベル挙げなど、これまで定期的に過酷すぎるチャレンジを行い、乾電池の底力を証明してきた前任の「エボルタくん」。
弟の「エボルタ NEOくん」は、進化を見せつけるためにも一層ハイレベルな任務を背負っているわけで…ロボットファンならずとも応援したいではないか!
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実証実験の発表会では、デモとして約20mのロープを登った
サイズは違えど、人型のロボットだからこそ感情移入もしやすい。乾電池に限らず、現代人は湯水のようにエネルギー(電気)を使ったり、身の回りの電子機器を酷使しがち。
今回のイベントはその“ありがたみ”を再確認するきっかけにもなりそうだ。
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text:浅原 聡