2017.7.20
最新自動運転技術をVR体験!銀座で体感型イベント開催中
コンセプトカー「EMIRAI3 xDAS」でレベル4をVR体感
日産「セレナ」のTVCMなどによって、言葉としては一般的になってきた自動車の“自動運転”。今や国内外の自動車メーカーは、次世代自動車の目玉の一つとして、この“自動運転”に関する知識の集積と開発に躍起だ。しかしこの技術、それほどたやすく実現できるものではない。まだまだ実験段階のものが多いが、その最先端を垣間見ることができるイベントが、東京・銀座で開催中だ。
何ができると“自動運転”と言えるのか?
日産が人気のミニバン「セレナ」に採用したことで、大きな話題を集めた「プロパイロット」と呼ばれるシステム。TVCMなどでは“自動運転技術”と呼ばれているが、実際には“運転支援システム”と呼ぶのが正しい。
日産も公式HPでは、プロパイロットの機能について「インテリジェントクルーズコントロール」と「ハンドル支援」の機能のことを呼ぶとしている。
そもそも“自動運転”とはどのように定義付けされるものなのか。
現在では、SAE(米国自動車技術会)が定義するレベル0~5までの6段階によって説明されている。
【レベル0】…ドライバーが運転に関する全ての操作を行う
【レベル1】…加減速・操舵・制動のいずれかを車両側が行う
【レベル2】…加減速・操舵・制動のうち、複数を車両が行う
【レベル3】…加減速・操舵・制動を全て車両が行う。ただし、緊急時やシステムの限界時にはドライバーが操作する
【レベル4】…完全自動運転を車両が行い、ドライバーは運転に関与しない。またはドライバーが存在しない
【レベル5】…レベル4に加え、走行に関する限定条件がない
これが国際基準だが、日本ではトヨタやホンダ、そして日産が2020年までにレベル3を目指すとしている。
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体感型イベント「Feel the Communication in Ginza – 心までつたえる、先進コミュニケーション技術」では、自動運転をVR体験することができる
レベル3の、その先へ行くために必要なものは何か?
日本のメーカーが2020年という比較的に近い未来を見据え、レベル3の達成を目標に置いているのは、「先進運転支援システム(ADAS)」の延長線上でそれが実現できる見通しがあるからだ。つまり、現在の車載システムによる運転支援から徐々にドライバーの関与を減らし、“運転支援機能を複合的にプログラムすることで、自動運転を可能にしよう”というわけだ。
しかし、完全にドライバーが運転に関与しないレベル4や5となると、車両側の技術だけでは対応できなくなってくるのは想像に難くない。そこで必要となる技術といわれているのが、特定地域の上空に長時間とどまる軌道をとる人工衛星“準天頂衛星”(*)による高精度なGPS情報と、道路の高精細3Dマップだ。
*通常の静止衛星は赤道上に位置するが、その軌道を傾け、日本の真上を通る軌道にしたものが「準天頂衛星」。一つの人工衛星が日本の真上に滞在できる時間は7~9時間のため、複数の人工衛星でフォローする
完全なる自動運転には、この2つの確立が不可欠な技術といわれて久しい。
そのために必要な準天頂衛星は、今のところ年内に2機が打ち上げられる予定。これにより来年4月には、4機体制でのサービスが開始される見込みだ。この準天頂衛星により、これまで“メートル”単位であったGPSの精度が、“センチメートル”単位になるといわれている。
一方の高精細3Dマップも、レベル4を実現するためには不可欠な技術だ。
具体的には、路面の凸凹や高低差、形状、車線や中央分離帯の有無などを3Dスキャナーによって、点群データ(コンピューターで扱う点の集合)として取得するもの。これらのデータを持っていれば、例えば霧で車載カメラが使えなかったり、雪で路面が埋まっているようなコンディションでも、情報を補足することができるわけだ。
準天頂衛星から送られてくるGPSデータと高精細な3Dマップ。そんな自動運転の必須アイテムを体験できる最新イベントが、東京・銀座で10月13日(金)まで開催中だ。
自動運転の最先端技術が凝縮したコンセプトカー「EMIRAI3 xDAS」
そのイベントとは、三菱電機が主催する「Feel the Communication in Ginza – 心までつたえる、先進コミュニケーション技術」という、体感型イベント。会場は、東急プラザ銀座内のコミュニケーションスペース「METoA Ginza(メトア ギンザ)」だ。
会場内には三菱電機が展開するさまざまな技術が展示されているが、その中でも特に注目なのが、コンセプトカーの「EMIRAI3 xDAS(イーミライスリー エックスダス)」。高精度の実験画像により自動運転をVR体験できたり、パイロンによってほぼ車幅分しかないコースを自動運転でクリアする実験画像が見られたりと、最先端技術の面白体験ができる。
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コンセプトカー「EMIRAI3 xDAS」で自動運転を体感
さらに「EMIRAI3 xDAS」は、各種センサー技術を組み合わせることで、ドライバーの体調管理を行ったり、歩行者にメッセージを送ったりすることもできる。
三菱電機は、今秋に開催される東京モーターショーで、さらに進化した「EMIRAI3 xDAS」の技術を公開する予定とのこと。この夏は、ひと足先に銀座で体験してみてはいかがだろうか。
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text:長嶋浩巳