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CO2排出量削減へ! DHLジャパンがEVトラック「eCanter」を集配業務に導入

三菱ふそうトラック・バス株式会社製のEVトラックを今年中に10台導入予定

私たちの生活に密接に関係している物流業界では、コロナ禍で配送の需要がさらに高まり、環境対応車の開発・普及促進が進んでいる。二酸化炭素(以下、CO2)を排出しないEV(電気自動車)トラックの使用はCO2削減を目指す社会において重要な意味を持つ。乗用車を含め、EV充電ステーションの設置拡充などクリアすべき課題がある中で、国際宅配便や運輸、ロジスティクスサービスを扱うDHLジャパン株式会社が3月23日、新しいEVトラックの導入を発表した。その詳細を紹介する。

EVトラック「eCanter」導入で配送車両のEV化を加速!

日本におけるCO2総排出量11億800万トン(2019年度)のうち、自動車・船舶・航空・鉄道など運輸部門から出るCO2の排出量は2億600万トンで全体の約18.6%。その中でトラックなどの貨物自動車から排出されるものが約36.8%で、日本全体の約6.8%となっている。

この割合は決して少なくない。

近年は乗用車においてEV化の大きな流れができつつあるが、今後さらなるCO2排出量削減を目指すならば、トラックなどの貨物自動車の環境性能向上は必須となる。

※参考資料:国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」

DHLジャパンがこれまでに導入したEV車両。中央がEVトラック「eCanter」

そんな中、DHLジャパン株式会社が日本におけるCO2排出削減の一環として導入したのは、CO2や汚染物質を排出しない、三菱ふそうトラック・バス株式会社製造のEVトラック「eCanter」。今年中に10台の導入を予定しており、3月23日に第1弾となる2台を、京都市や工場・倉庫が集積する東京都品川区八潮周辺での集配業務に活用すると発表した。

DHLでは、2050年までにロジスティクス関連のCO2排出量を削減し実質ゼロにする「ミッション2050」を掲げ、世界各地で電気車両の導入や新規施設のカーボンニュートラル化(再生可能エネルギーの使用などCO2の排出を抑えた仕組み)など気候変動対策の取り組みを積極的に推進している。「ミッション2050」実現に向けた脱炭素化のロードマップとして、グループは2030年までにラストマイル配送車両の60%を電動化するなど、よりクリーンなオペレーションのために70億ユーロ(日本円にして約9540億5450万円、5月30日現在、1ユーロ136円で計算)の投資を発表。既にグループとして導入したEV車両は全世界で2万1400台に上る。

日本においても2014年に軽貨物用EV(e-NV200)を導入後、2021年4月には電動三輪車(T-Trike)を3台、8月には電動軽車両を4台(MiEV)、9月には電動バイク(AA Cargo α)を10台導入し、東京都や神奈川県、大阪府などの集配エリアで、近年、配送車両のEV化を加速させてきた。

DHLの集配で使用している電気車両一覧(2014年~)

今回導入したEVトラック「eCanter」は、370V/13.5kWhの高性能リチウムイオンバッテリーを6個搭載し、1回の充電で約100kmとエネルギー効率の高い走行が可能。

「eCanter」の最大積載量は2600kgで安全性能にはAEBS(衝突被害軽減ブレーキ認定制度)やESC(車両安定性制御装置)、LDWS(車線逸脱警報装置)を備えており、また、走り始めた瞬間から強いトルクが発生するため、積載状態で発進・停止を繰り返す市街地での配送業務に適している。面倒なギアシフトやクラッチ操作もなく、とても静かであることも特徴だという。排出ガスが出ないことに加え、市街地での早朝・深夜稼働のニーズにもマッチしている。

「DHL GoGreen」を世界中で展開!日本での顧客数は倍増

「気候変動への取り組みは企業の持続的発展にとって不可欠であり、ロジスティクス業界に課された大きなミッション」と語るのは、DHLジャパン株式会社 代表取締役社長のトニー・カーン氏。

代表取締役社長のトニー・カーン氏(中央右)と取締役業務本部長の栁澤 剛氏(中央左)

脱炭素化のロードマップとしてDHLは2030年までに、
#1.配送車両(ラストマイル)の60%を電動化
#2.航空燃料の30%を持続可能な航空燃料(SAF)へ転換する
#3.ファシリティーのカーボンニュートラル化を図る
#4.グリーンプロダクト(環境に配慮した輸送サービス)を強化する
の4項目を掲げている。

日本で2009年から販売を開始したクライメート・ニュートラル(気候中立)な輸送サービス「DHL GoGreen」は、良質な環境保護・排出削減プロジェクトへDHLが投資し、輸送時に発生する温室効果ガスを相殺するもので、現在世界中で展開されている。

日本においても、過去2年間で顧客数が約2倍になるなど、近年、利用実績を急速に伸ばしていることからも、ユーザーが企業のCO2排出削減への取り組みに注目していることは明らか。CO2の排出削減は環境への配慮だけでなく、ユーザーの意識や世界情勢、さらには投資家たちの判断基準にもつながっていく。

脱炭素化に向けて掲げた4つのクリーンオペレーションを実施するDHL。年内に10台導入予定の高エネルギー効率なEVトラックがもたらす効果にも注目が集まるだろう。

ロジスティクス業界のリーディングカンパニーとも言える企業の今後の取り組みに期待したい。

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