2017.8.3
AI最前線!“恋煩い”に効くアドバイスをわずか1分で提供
「教えて!goo」恋愛相談カテゴリーでの進化が止まらない!
晩婚化が進む昨今、仕事よりも恋愛に苦戦する大人は少なくない。しかし、今後悩みを相談する相手に困ることはなさそうだ。ポータルサイト「goo」では、恋愛相談コーナーでなんと既にAIが活躍中。質問者の悩みに寄り添った回答で、“ベストアンサー”を量産しているという。
親友よりも素早く親身に対応してくれる?
スマホやパソコンで赤裸々なまでに恋愛の悩みをつづり、わらにもすがる思いで投稿すると……わずか1分ほどで回答が──!
しかも、「あなたのお気持ちがとてもよく伝わってきました。大変でしたね」など、こちらの心情を察したかのような書き出しで的確なアドバイスをくれる。
こんな優れたパフォーマンスを発揮するAIが、ポータルサイト「goo」のQ&Aサービス「教えて!goo」の恋愛相談カテゴリーで導入されている。同サイトを運用するNTTレゾナントは、6月28~30日に行われた日本初のAI専門展「第1回 AI・人工知能EXPO」にてその技術を出展。AI回答サービスのデモなどを行った。
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「教えて!goo」恋愛相談カテゴリーで、2016年9月から「オシエル」と名付けられたAIが導入されている。AIによる回答は、一般ユーザーからの回答と並列で表示される
元々「教えて!goo」は、基本的にユーザー同士で質問&回答のやりとりを行うサービスだが、運用元のNTTレゾナント株式会社によると、「膨大な質問量に対して回答が追いついていない」という課題があったという。
そこで、AIを活用して質問と回答の内容を学習できる技術の開発に着手。質問者の本来の意図をくみ取った質の高い回答を、ハイスピードで提供できるサービスを目指すことに。
手始めに、「教えて!goo」の中でも最も相談数が多い恋愛カテゴリーからトライアルを実施しているのだ。
他社のサービスでも、画一的な答えがあるものに対してのAI回答は行っているが、恋愛相談という答えが一つではない問いにAIを導入するのは画期的な取り組み。技術的には、まず恋愛相談に特化した単語の意味をAIに学習させ、質問と回答の一文ごとの関係性や時系列的順序も分析させる。さらに質問や回答の文章を分解し、質問と結論、質問と理由、結論と理由などそれぞれの組み合わせの最適な回答を学習させているという。
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過去3000万件のQ&Aデータを利用して最適な答えを導き出す
これにより、既存のQ&Aデータから、質問に対して最適なものを“文章単位”で選び出して、人間のような自然な回答生成が可能になる。このようなAIによる長文回答生成技術は、世界的にも新しい取り組みだという。
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何回利用しても相談料は無料。質問は匿名(ニックネーム)での投稿なので安心だ
7月25日時点における実績は、AIの回答数が9706で、そのうちユーザーからベストアンサーに選ばれた回答は595!
AIのクオリティーを示す例として、実際に公開されているQ&Aの例を一つ紹介しよう。
まず、ユーザーからの質問はこちら。
「好きな人に一度だけ話しかけたことがあるんですけど逃げられたんです。どうすればいいですか?ちなみにその人とはよく目が合います」
そして、この質問が投稿された1分後に提示されたAIの回答は以下の通り。
「いつも明るい雰囲気でいることを心掛けてはいかがでしょうか。自分を知ってもらわないことには、何も始まりませんから、友達など周りの人の協力を得て、少しの接点も逃さないようにしていきましょう。良い関係になれればいいですね。『自分に何ができるかは、自分以外の者には分からない。時に、自分でもやってみるまでは分からないものだ。─エマーソン─』」
哲学者の名言まで持ち出した、端的かつ的確なアドバイス。これを1分で導き出すなんて、もはや人智を超えているような気も……。
ちなみに、AIはすべての質問に自動で回答するわけではない。質問と生成した回答が適切にマッチしているかをスコアリングしており、一定の基準に達しなかった回答は投稿しない仕組みになっているという。
KYな回答で質問者の神経を逆なでする心配がないわけだ。
今後は旅行プランを考えてくれるサービスも!
NTTレゾナントによると、今後はさらに質問に対する回答のクオリティを上げることを目指している。これまでは「教えて!goo」の約3000万件のQ&Aデータを学習してAIが回答を生成していたが、AI単体が文を自然に生成できるように高めていくという。
これが完成すれば、24時間いつでも、待たされることなく、ほぼ確実にベストな回答を得られるようになる。そして、無駄な時間やエネルギーを省いて良質な選択肢を見つけることができれば、ユーザーはより深いレベルに思考を巡らせることもできる。人間の成長スピードを速めてくれるようなサービスかもしれない。
一方で、NTTレゾナントは「goo」のAI活用第2弾として、対話を通じた行動支援サービスの開発にも着手している。
例えば、まずAIは旅先や旅行目的がはっきりしていないユーザーの気分に寄り添い、対話を通じて「のんびりしたい」「癒やされたい」などのユーザーの気持ちを推察する。
次に、「教えて!goo」の旅行に関するQ&Aデータや「gooブログ」の旅行体験記事といった旬なソーシャル情報、「goo旅行」の観光地情報、「goo地図」の地域情報をディープラーニングにより学習し、ユーザー理解を深める。
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ユーザーの気分から最適なプランを導き出す対話エンジンを開発中。ことし9月を目標にサービス提供を開始する予定
これにより、ユーザーの気分に寄り添った旅行先の提案を行い、旅に出るきっかけ作りの手伝いをするというものだ。恋愛相談カテゴリーで導入されているAIは一問一答形式で回答を生成するが、こちらはユーザーとのリアルタイムの対話を繰り返し、ユーザーの曖昧な気分から関心事を理解する。
もちろん、素直に従うかどうかは自分次第だが、なにしろ相手はAIである。親身に答えてくれた内容を無視したって、気まずくなるようなことはない。AIが相談を担うことによって、人間同士の無駄な衝突を減らす可能性も。
ビジネスマンとしては、部下の人間関係や業務の意思決定も相談できるようになってほしいところ。今後のさらなる進化に期待したい。
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text:浅原 聡