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東海道新幹線の防音壁にペロブスカイト太陽電池設置に向けた実証実験を開始!

再エネ活用促進へ、JR東海と積水化学が実用化に向けて共同開発

東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)と積水化学工業株式会社(以下、積水化学)は、次世代太陽電池として注目されるペロブスカイト太陽電池を搭載した防音壁の試作品を共同開発。JR東海の小牧研究施設(愛知県小牧市)などで実証実験を実施し、実用化に向けて動き出した。
(メーン画像およびカルーセル画像提供:東海旅客鉄道株式会社)

再エネ由来の電気生成に適した環境

2050年のカーボンニュートラル実現まであと25年──。

昨今は多種多様な企業がそれぞれのアプローチで二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロの実現に向けた施策を推進している。

地球環境の保全を経営上の重要テーマと位置付けるJR東海では、省エネ型の車両や設備を積極的に導入し、鉄道の環境優位性を高めてきた。

そうした中、同社は東海道新幹線沿線に設置されている防音壁に着目した。防音壁は、のり面(土を削る、または盛り土で作られた人工的な斜面)や高架によりある程度の高さも確保できることから日当たりがよく、太陽電池などを活用した再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電気の生成に適している。ただし設置する太陽電池は、その荷重を支える防音壁の基礎部が大規模な構造とならないよう、軽量かつ列車の通過による振動や風圧への耐久性の高さが求められていた。

一方、積水化学は独自技術を生かし、ペロブスカイト太陽電池においてネックとされていた低寿命を打破し、屋外耐久性を10年相当に向上。30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築するなど次世代太陽電池の技術革新を進めてきた。

※積水化学のペロブスカイト太陽電池に関する取り組み:世界初! フィルム型ペロブスカイト太陽電池を鉄道駅に導入

ペロブスカイト太陽電池のイメージ。ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用い、従来のシリコン系太陽電池と比較して薄くて軽く、柔らかい特性を有し汎用性に優れている

画像提供:積水化学工業株式会社

ロール・ツー・ロール製造プロセスは印刷などで用いられる技術。ロール状に巻かれた材料を送り出しながら必要な加工を行い、再びロール状に巻き取る

画像提供:積水化学工業株式会社

そうした両社の背景が合致し、ペロブスカイト太陽電池搭載の防音壁の共同開発を実施。これまで設置が難しかった箇所へ、薄くて軽量、柔軟なフィルム型ペロブスカイト太陽電池を導入することで、より広範囲での電力の生成が可能になった。

列車通過の振動・風圧に耐える構造を検討

今回の試作品は、防音壁の長い寿命を考慮し、メンテナンス時に太陽電池のみ取り替えることを想定、ペロブスカイト太陽電池が容易に着脱できるよう設計・開発した。実用化に向けた課題の抽出を目的に、JR東海の小牧研究施設に設置し、今後、屋外環境のさまざまな条件下で実証し発電性能を評価する。

防音壁への適用イメージ。ペロブスカイト太陽電池は防音壁に設置されたガイドレールに沿って、下から取り付ける。軽く、柔軟な性質を活用しスマートな取り換え作業が可能になる

資料提供:東海旅客鉄道株式会社

2025年1月より始まる実証実験では小牧研究施設の試験装置を用い、試作品に列車の通過を想定した振動や風圧を加え、鉄道環境に耐え得る構造の検討、同時に発電性能への影響を検証。加えて施工性を確認する。

ペロブスカイト太陽電池の取り換え作業(左)と、設置が完了した試作品

画像提供:東海旅客鉄道株式会社

実証実験の結果を踏まえ実用化の検討が進められ、ペロブスカイト太陽電池で発電した電力は駅などでの活用が想定されている。

鉄道環境の中で再エネ由来の電気供給から利用が行われる未来の実現へ。

JR東海と積水化学が、その一歩を踏み出す。

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