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大阪大学が開発! 自ら“光る植物”を大阪・関西万博で一般初公開

環境・エネルギー問題解決に向け、屋内外照明や街路樹への展開に期待

大阪大学産業科学研究所の永井健治(たけはる)栄誉教授は、2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)にて、自身の研究グループが研究開発した「光る植物」を出展する。この「光る植物」がいかに開発され、どのように発光するのか──。永井教授が「自発光植物」の開発で目指す未来を解説する。
(メーン画像およびカルーセル画像提供:大阪大学産業科学研究所 永井研究室)

夜道を照らしてCO2も吸収!「光る植物」の可能性

再生可能エネルギー(以下、再エネ)利用、環境問題への意識がより日常的になりつつある。

温室効果ガス排出量のネットゼロによる2050年のカーボンニュートラル実現まで、あと25年。しかし、再エネ利用促進、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出削減といった取り組みに対する効果の実感はまだまだ難しく、達成に向けたより革新的な技術開発が求められる。

こうした背景の下、生物物理学とバイオテクノロジーを専門領域とする永井教授は、生活に根差した電力利用の見直しを目指し、自発的に「光る植物」を照明として代替できないかと着想した。

大阪大学産業科学研究所 永井健治栄誉教授。生物物理学者であり、2025年6月より日本生物物理学会会長に就任予定

例えば、ホタルのような発光生物やキノコなどの菌類が自ら発光するメカニズムは、バイオテクノロジー、遺伝子工学の発展により解明、研究が進んでいるが、CO2吸収機能を持ち、照明の代替を担える発光植物はいまだ研究・開発途上にあった。

そこで永井教授と研究グループは、オワンクラゲなど発光生物のメカニズムを研究し、蛍光タンパク質と発光タンパク質(ルシフェラーゼ)の融合により高効率な発光を可能にする高光度発光タンパク質「ナノランタン」を開発。

3色に光るゼニコケ(自発光ではなく基質の外部供給が必要)や花(ペチュニア、シクラメン)を世界で初めて誕生させている。

蛍光タンパク質と発光タンパク質の融合技術による高光度化・多色化した「ナノランタン」

資料提供:大阪大学産業科学研究所 永井研究室

永井教授の研究グループは2023年までに、ゼニゴケやペチュニア、シクラメン、タバコ、ポプラなどの植物の発光を成功させている

資料提供:大阪大学産業科学研究所 永井研究室

大阪・関西万博で、光る植物が「未来の侘(わ)び寂(さ)び」の空間を演出

「ナノランタン」を開発後も、発光キノコや発光バクテリアが有する発光システムの改変・導入による自発光植物の作製にも成功。

屋内外照明としての実用化に向けた研究・開発を継続して、将来的には自発光植物が吸収したCO2をバイオ燃料など有用資源へ転換する代謝システムの構築を目指している。

発光植物を利用した未来社会のイメージ

画像提供:大阪大学産業科学研究所 永井研究室

その最新の研究成果が、この春、大阪・関西万博で世界へ向けて初お披露目される。

「光る植物」は大阪・関西万博内の「大阪ヘルスケアパビリオン」にて出展。

同パビリオンの「リボーンチャレンジ」ブースにて、4月21日(月)~28日(月)の8日間、「未来の侘び寂び」をコンセプトに自発光植物でほのかに照らし出された和室空間が披露される予定だ。

目指すのは、より明るく光り、よりCO2を吸収し、さらには有用資源を生産する多機能植物の実現──。

未来の夜道を美しく照らす、持続可能かつ高循環なバイオテクノロジーの可能性を、ぜひ自身の目でチェックしてみてほしい。

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