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ロボット犬が農作業支援! 岡山大×高知工科大が実証実験を実施

中山間地域活性化プロジェクトで連携、働き手不足解消と効率化を目指す

岡山大学の研究グループは高知工科大学情報学群の栗原 徹教授を招き、最新技術を用いた四足歩行(犬型)ロボットによる農作業支援の実証実験を実施。働き手不足に悩む農家の支援を目指した研究のデモンストレーションで、農業関係者に本格実用の可能性を示した。

学域を超えてテクノロジーによる農作業支援を模索

農家における就労者の高齢化、人手不足が深刻な問題となっている昨今。特に傾斜地での果樹栽培は、作業による段差や階段の往復など高齢者の体に重い負荷がのしかかる。

こうした問題を、傾斜地でも自由自在に動き回ることが可能な四足歩行ロボットの活用で解消する研究が本格化している。

今回の実証実験は、内閣府「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」の一環で、岡山大学学術研究院 環境生命自然科学学域の林 靖彦教授がリーダーを務める中山間地域活性化プロジェクトが実施。2025年2月27日に岡山大学内の農場で体験会と講演会、翌28日に岡山県久米郡久米南町のブドウ農場で実証実験と地元就農者との意見交換を行い、それぞれの大学が研究を進める犬型ロボットを用いた農作業支援の可能性の検証が行われた。

高知工科大学では2023年より栗原教授が、米国でロボットの研究開発を行うボストン・ダイナミクス社が開発した四足歩行ロボット「Spot」に収穫物を運ばせるシステムを学生たちと研究・開発。これまでも地元のユズ農場で収穫したユズを指定した場所まで運び、元の場所へ戻ってくる実証実験を行ってきた。

岡山大学農場でデモンストレーションを行う「Spot」。タブレットでリモート操作できる

画像提供:岡山大学・高知工科大学

犬型ロボット「Spot」の可能性を解説する栗原教授

画像提供:岡山大学・高知工科大学

Spotは2日間の実証実験で、各農場の地形のマッピングデータを記憶し、音声認識の指示に従いトラックの待機場所まで作物を運搬、元の地点間を往復するデモンストレーションを披露。

初日には栗原教授から高知工科大学がこれまで行った実証実験の詳細を説明、犬型ロボットの実践的な活用方法について参加者と活発な議論も交わされた。

自治体、農業従事者から寄せられた未来の農業への期待

一方、学生たちのアイデアからイノベーションを創出するプロジェクト「おかやまテックガレージプロジェクト」を推進する岡山大学は、同プロジェクト所属の学生チームがUnitree社の四足歩行ロボット「Unitree Go2」の動作プログラムを研究。

2日間の実証実験では、Spotとは異なる農作業支援も視野に入れた動作のデモンストレーションを行った。

「Unitree Go2」(左)のデモンストレーションでは、ジャンプして障害物を乗り越える様子も就農者に披露された

画像提供:岡山大学・高知工科大学

「Unitree Go2」を囲み、就農者との意見交換を行う久米南町の片山篤町長(右端)と林教授(左端)

画像提供:岡山大学・高知工科大学

小柄なUnitree Go2は高い機動性と制御技術を有し、ジャンプさせるなどダイナミックな操作も可能で、農作業支援の他、作物を狙う動物を威嚇し追い払う鳥獣害対策への応用も期待されている。

今回の実証実験では、犬型ロボットが傾斜地や不整地でも安定して移動できる様子も紹介。参加者から「ロボット技術が農業の未来を切り開く可能性を感じた」「実際に間近で見て、性能の高さに驚いた」などの声が寄せられたという。

今後、両大学は自治体や企業・他大学との産学官連携をさらに進め、中山間地域の活性化に取り組む。

人にも親しまれやすいフォルムの犬型ロボットが、農業を支えるイノベーション、そして地域と学域を超えて広がっていく未来は、すぐそこまで来ている。

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