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大成建設が独自技術で耕作放棄地の水田を畑地化! 農地再生を推進

地域の資源リサイクルを推進、持続可能な社会づくりに貢献

大成建設株式会社は、耕作放棄地となっている水田を「畑地化」する農地再生技術に着手。微生物による土壌浄化で用いる微生物評価技術や植物栽培等の緑化技術を活用して造成した畑地でリサイクル肥料を用いて農作物の栽培試験を行い、造成直後から枝豆などが標準的な収穫量を確保できることを確認した。同社は本技術を自治体や農業法人などの私企業に提供することで、地域のさまざまな資源を循環利用できる持続可能な社会の実現への貢献を目指す。

水田の畑地化は簡単じゃない? 農地再生が抱える課題

農業は、私たちの食生活を支える上で重要な産業である。しかし昨今、農業従事者の減少に伴い耕作放棄地が急増しているのが実情だ。

荒れた水田。地方では耕作放棄地の有効活用も社会課題となっている

(C)くろうさぎ / PIXTA(ピクスタ)

こうした社会問題を打開するべく、自治体の主導による「農業団地」構想が各地で計画・実施されている。この構想は、耕作放棄地を含む農地を大規模に集約・整備、新たに農業法人や企業を誘致して農業経営の事業化を図るものだ。

農業団地の候補地は大規模農地として集約しやすい低平地に広がる水田が多い。水田を畑地へ変換するには、降雨時に畑地が冠水しないようかさ上げが必要だが、かさ上げに必要な土壌の調達を含めて大規模なかさ上げ技術は体系化されておらず、これまで造成直後の農地で農作物を安定的に収穫することは困難だった。

そこで、大成建設は水田を生産性の高い畑地に再生する技術開発に着手。水田作土を畑作土として有効活用できることを確認するため、埼玉県羽生市が計画した農業団地「羽生チャレンジファーム」内にて株式会社アグリメディアが立ち上げた研究開発農地「イノベーションラボ」の一部をかさ上げする農地造成を行った。

2024年、同社は羽生チャレンジファーム内にて耕作放棄地となっていた水田を、地域の建設現場から発生する土砂を用いてかさ上げ。造成中に食品廃棄物を堆肥化したリサイクル肥料をすき込んで 野菜の栽培実証試験を実施した。その結果、造成初年度から生産性の高い畑地に再生できることが確認された。

資源循環リサイクルを推進 し、農地再生から始まる地域活性化

大成建設による今回の農地再生技術には、2つの特徴がある。

一つ目は、生産性の高い畑地へ再生させるための最適な土壌改質に注力した点だ。

低平地の既存水田を畑地に転換する場合、収穫量の安定化には数年を要してしまう場合が多い。同社は微生物を用いる土壌浄化技術、緑化植物の栽培に適した土壌を提供する技術など豊富な知見を活用し、水田土壌を畑作土として使用するために適した排水性の高い地盤の嵩上げ方法や水田土壌の改質に適したリサイクル肥料を選定。

羽生チャレンジファームにて水田をかさ上げした農地へのリサイクル肥料のすき込み状況

画像提供:大成建設株式会社

収穫前の枝豆の生育状況。同等の面積での畑地と比較し標準的な収穫量を確保した

画像提供:大成建設株式会社

イノベーションラボの一部で排水性を高めるかさ上げを実施し、リサイクル肥料を供給後、野菜栽培試験を実施。その結果、枝豆は初年度から標準的な収穫量を確保し、他の野菜も収穫量を高めるための土壌モニタリング方法や施肥方法に関するデータを収集できた。

もう一つは、農地再生技術を活用した地域の資源循環サイクルの構築と提案だ。

大成建設は地域で資源を循環利用する持続可能な社会づくりの実現を目指し、取り組みの一環としての農地の再生技術を開発。この技術を地域の資源循環サイクルに組み込み、再生農地に地域で生じる有機性廃棄物、建設発生土、下水汚泥などを資源として有効活用する仕組みを整える技術の構築を進めている。

大成建設が目指す農地における資源循環の概念図。再生農地を核に地域由来の資源を循環利用。地方創生の実現にもつながる構想として同社は自治体などへ提案を推進していく

資料提供:大成建設株式会社

同社では今後、本技術の提供をはじめ地域の農作物を扱う食品工場や農業関連の観光施設の整備を行う「農業の6次産業化」の推進方法を自治体とともに検討。

さまざまな技術を総合的に活用し地域の持続可能な社会づくりに貢献していく。

※…農林(1次産業)だけでなく、製造(2次産業)や販売(3次産業)などにも取り組むことで、農産物の付加価値を高め、農業所得の向上を目指す取り組み

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