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世界初!日立が高電圧水素製造システムを実現する絶縁配管を開発

水電解システム設置面積を大幅削減し、狭小地での水素製造普及を促進

株式会社日立製作所(以下、日立)は、水の電気分解で水素を製造する水電解システム向けに、10kV級の高電圧に対応した絶縁配管技術を世界で初めて開発※1、実証機による耐電圧試験に成功した。水電解における電圧変換に必要な変圧器の数を大幅削減することにより、水電解システムの設置面積を最大50%削減でき、立地条件に応じた柔軟なシステム導入を後押しする本技術について解説する。
※1…世界初:水素製造装置に適用できる耐圧・耐熱・耐食性・ガスバリア性を備えた絶縁配管は前例なし(2025年8月時点の日立調べ、対象は日本で公開・権利化された国内外の発明に関する特許情報)

水電解システム設置を鈍らす課題の解消へ

水素分野では近年、各国の政策支援を背景に多くのプロジェクトが構想段階から実装段階へ移行している。

水素需要は鉄鋼、化学など直接の電化が困難な産業プロセスの脱炭素化に加え、化学原料など産業系フィードストック※2としての利用を中心に拡大。さらに、用途は再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力で製造されるグリーン水素の利用など、環境配慮や付加価値向上を目的とした活用にも広がっている。

一方、従来の水素製造システム(水電解システム)は、高電圧を段階的に低電圧に変換するための変圧器が多数必要とされる。水電解システムでは従来、電力系統から送電された高電圧を変圧器で段階的に1kV未満の低電圧へ変換し、水電解スタック※3を駆動して水素を製造している。そのため、装置全体の面積が大きくなり、都市部や既設プラントでは土地の確保が困難となり導入が進まないケースもある。

※2…製品製造の初期段階で必要となる基礎的な原料や供給材料。化学、石油精製、金属加工などの産業で用いられ、品質や生産効率を左右する
※3…複数の電解セルを積層し、直流電流を供給して水を水素と酸素に分解する装置

従来の水電解システムと開発システムの比較

画像提供:株式会社日立製作所

この課題には、水電解システムの高電圧化による変圧器の数の削減が有効とされる。しかし、従来の絶縁配管技術では耐圧・耐熱・耐食性を十分な水準で同時に満たすことができず、高電圧下での水素ガス、水の取り扱いは困難だった。

こうした中、日立は同社が培ってきた高電圧インバーターの知見や配管の材料構成を含む絶縁技術を生かし、高電圧水電解システムの実現に必要となる絶縁配管を開発した。

絶縁性能と機械的強度の両立を実現

絶縁配管開発の大きな課題は、絶縁性に加えて耐圧・耐熱・耐食性や水素ガスのバリア性(気体が材料を通り抜けるのを防ぐ性質)など、多くの性能を同時に満たす複合材料の選定だった。

日立は、各素材の絶縁抵抗、ガス透過度などの特性を個別に測定・評価し、結果を積み上げながら最適な材料構成の導き出しを実施。絶縁性能と機械的強度の両立を実現し、10kV級の高電圧環境でも安全に使用できる絶縁配管を完成させた。

開発された絶縁配管

画像提供:株式会社日立製作所

開発された絶縁配管の詳細イメージ

画像提供:株式会社日立製作所

実証試験では配管部分に10kVの電圧を加え、水素ガスや水が混在する実際の運用環境を模擬し、絶縁破壊や漏えいなどの異常が発生しないことを確認。今後は耐久性や長期信頼性の評価を重ね、安全性と信頼性を両立し、長期的に安定した水素製造の実現を目指す。

今回の技術が実装されることで、今後、特に都市部では狭小地の有効活用、また鉄鋼・石油・化学産業などの既設プラントの空きスペースを生かした段階的な水素導入への寄与が期待される。

実証結果を基に日立は高電圧運転のシステム実証を段階的に進め、MW級以上の水電解システムの社会実装に向けた取り組みを加速させ、グリーン水素の普及とカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

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