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世界初の技術を搭載!傾いた道でも真っすぐ走行可能な電動アシスト車いす

車いす使用者の気軽な外出を可能にするための技術革新

車いす利用者の暮らしをより快適にサポートし、介護者の負担軽減にもつながる車いす用電動アシスト機能。超高齢者社会を迎えるこれからの日本において、ますます需要の高まりが予想されるアイテムの最新情報をお届けする。

車いす用電動アシストユニットが改良して登場

ヤマハ発動機株式会社は9月21日、「片流れ制御」を電動アシスト車いすとして世界で初めて搭載(同社調べ)した車いす用電動アシストユニット「JWX-2」と、電動アシスト車いす「JWスウィング」を発表。

9月29日から販売を開始した。

電動アシストユニット「JWX-2」を装着することにより、手動の車いすを電動化することが可能に

出典:ヤマハ発動機

ヤマハは、健康・福祉分野や高齢化社会対応の一環として、1995年に車いす用電動ユニット「JW-I」の発売を開始。

以来、独自の制御技術や駆動技術を応用し、使用者の快適性・利便性に加え、介助者の負担軽減、エネルギー効率などを追求した電動車いす製品を手掛けてきた。

2013年8月には、電動アシスト自転車「PAS」の技術“パワー・アシスト・システム”を応用し、車いすのハンドリム操作の負荷に応じて電動の補助力が働く「JWX-2」を、2014年6月には同ユニットを搭載した「JWスウィング」をラインアップ。

これらの先代モデルに対して、ユーザーから寄せられた要望のもと改良を施したのが今回のアイテムというわけだ。

なお、販売価格は改良後も据え置き、「JWX-2」は35万3160円~(税込)、「JWスウィング」は36万3000円~(非課税)となっている。

先代モデルと比べると、福祉技術研究所株式会社 代表取締役である市川洌氏との共同開発により、ハンドリムから手を離した後に進む、ひとこぎあたりのアシスト走行距離に対する制御機能“アシスト距離制御”が進化している。

アシスト走行距離と設定のイメージ図。選んだ設定により、アシスト走行距離が短くあるいは長く変化する

出典:ヤマハ発動機

ひとこぎあたりのアシスト走行距離を、使用者の身体の状態や使用環境に合わせて細かな調整が可能になった。

従来モデル比で最小0.1倍、最大2倍を実現した9つのアシスト走行距離の中から「JW Smart Tune」を使って使用者にとって最適な2つを選択できるというわけだ。

走行モードは手元のモード切り替えスイッチで簡単に変更可能

使用時にはモード切り替えスイッチを押して、走行に適したモードに切り替えることが可能となる。

さらに、独立行政法人 国立病院機構八雲病院とアクティブバランスシーティング研究会代表の西村重男氏との共同開発により、ハンドリムをこぐ力が弱くてもアシストが反応するように制御も改良。この結果、より多くの人が利用できるようになった。

また、筋ジストロフィーなど神経筋疾患のユーザーにとっては、電動アシスト車いすによる適度な運動量が、日常的なリハビリテーションや身体機能を維持する効果が期待できるという。

電動アシスト車いす初の技術を採用し横に傾斜した道でも真っすぐ走行可能に

そして今回新たに加わった機能が、東京大学先端エネルギー工学専攻 堀洋一研究室と共同で開発された「片流れ制御」。

「片流れ制御」の概念図

出典:ヤマハ発動機

車いすは通常、道が横方向に傾斜している場合、傾斜により回転軸に働く力(トルク)が発生してしまうため、そのままでは傾斜方向に曲がっていってしまう。

しかし「片流れ制御」は、両輪に入力されたこぐ力の強さと走行している車いすの車輪の回転数などから計算して、打消しトルクを発生させることでこの問題を解消。

この抑止機能を電動アシスト車いすとして初めて搭載した「JWX-2」「JWスウィング」は、傾斜方向に曲がることなく直進させることを可能にしたという。

誰しもに訪れる老いや突然の事故や病気によって、自力歩行が困難になってしまうのは決して他人事ではない。超高齢化社会が進む日本ではなおさらだ。

その時、暮らしをサポートしてくれる電動アシスト車いすは、“外出する”という意欲・エネルギーを私たちに与えてくれるはずだ。

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