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ウェアラブル界で注目「エネルギーハーベスティング」とは?

人間の汗で発電する“電池不要”の「アセパッチ」

最先端のウェアラブル端末を展示する「第3回ウェアラブルEXPO」(1月18日~20日、東京ビッグサイト)で注目を集めていたのが「エネルギーハーベスティング」と呼ばれる技術だ。今回は、中でも人間の“汗”を利用し、電池の要らないウェアラブル端末を生み出そうとするユニークなソリューションを紹介しよう。

電池不要!汗による発電で健康管理

腕や頭などに装着し、通信などのコンピューター操作ができるウェアラブル端末。Apple Watchに代表される腕時計型やメガネ型の端末が一般的で、国内コンサルティング会社の調査では、2020年までに市場規模が世界で約4兆4600億円に伸びるとの報告もある成長分野だ。
 
そんなウェアラブル端末の未来を変えると言われ、注目されている技術が「エネルギーハーべスティング」。
 
「この端末の発電源は汗です。例えば、ランニングなどをして汗をかくと、腕に貼ったパッチの中の“酵素電極”が汗の乳酸を分解するんです」
 
そう語るのはエスアイアイ・セミコンダクタ株式会社の営業本部グローバルプロモーション部部長の森雅一さん。ウェアラブルEXPOで展示されていたソリューション「CLEANアセパッチ」などのプロモーション担当者だ。

展示されていた「CLEANアセパッチ」。青い部分を体に装着して使用する

そもそも「エネルギーハーべスティング」とは、周囲の環境からごく微量なエネルギーを集め(収穫・ハーべスト)て、電力に変換する「電池を使わない発電技術」のこと。
 
太陽光や、体温などの熱、振動や電波など一般的な環境に存在するエネルギーを利用して微量の電力に変換する。充電や燃料の補給をせず長期間エネルギーを利用できる電源として、ヨーロッパを中心に2000年ごろから注目され、ウェアラブル端末への搭載が盛んに研究されている分野だ。
 
「これまで捨ててしまっていた“かすかな電力の素”を活用するソリューションなんです」
 
汗や体温、土中には発電源があるが、微量だったこともあり、これまでその存在が着目されてこなかったという。同社ではその発電源を3万倍にまで昇圧する独自のソリューションを提案。それを生かしたのが、このCLEANアセパッチだ。
 
特徴は82円切手のサイズほどしかないパッチ。
 
ここで汗を吸収し、乳酸を分解した酵素電極が電荷を発生させて発電。体に着用した測定器が充電なしで、十分作動する程度の発電量を得られる可能性もあるという。発電のサインはパッチからBluetoothでスマホなどに無線送信することも可能だ。
 
「また、このパッチは分解した酵素の性質を分析して、汗に含まれる糖分やアルコールの摂取量も分かる可能性があります」
 
充電することなく、自らの健康状態を継続的に知ることができる――。そんな医療機器などでの活用を見込んでいるという。

「第3回ウェアラブルEXPO」での、エスアイアイ・セミコンダクタ社のブース

同社はこの他にも、エネルギーハーベスティングのソリューションを3つ展示。
 
ソーラーパネルから太陽光で発電し、紫外線モニタと脳波モニタから健康状態を知らせるサンバイザーや、マウスを動かす際の振動と手のひらの体温によるハイブリッド発電で、電池要らずの操作を実現するPC用のエコマウス。また、土中にいる微小な電気を発する発電菌からエネルギーを得て、発電量や土壌の環境をモニタリングできる“農業用手袋”がそれだ。
 
中でも農業用手袋「CLEANアグローブ」は、電力インフラが整っていない場所でもハードウェアに頼らず、発電・蓄電が可能になる画期的なソリューションだ。

開発途上国の未来を変えうる「CLEANアグローブ」。これを手に装着して土をいじっているだけで発電できるという

実は同社の「充電不要ウェアラブル」には「原点」が存在している。同社の親会社にあたるセイコーの腕時計「SEIKO THERMIC」がそれだ。1998年に開発された「体温を電気に変換する腕時計」なのだが、当時は早すぎた技術で市場にいまひとつ受け入れられなかったという。
 
20年前からエネルギーハーベスティングに注目し、磨いてきた技術が、ウェアラブル端末で花開こうとしているわけだ。

展示されていた「SEIKO THERMIC」

エネルギーハーベスティングの発展はウェアラブル端末の発展だけにとどまらない。今後数年の間に、インターネットにつながるモノの数が爆発的に増加し、高度「IoT(モノのインターネット)」社会を迎えるとの見方が強まっているが、このIoT社会の実現には充電や燃料補給なしに電力を生み出せるエネルギーハーベスティングの技術が不可欠なのだ。
 
“身の回りの微量な発電源”が、エネルギーハーベスティングの技術により脚光を浴びる日が近づいている。

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