2018.11.5
家庭のごみ出し概念が変わる?“圧縮ごみ箱”がブームの予感
ごみ袋の使用枚数削減が、ひいては回収・収集にかかるコスト削減へとつながる
レバーを押すだけで、ごみをペチャンコにつぶすことが可能に──。近ごろ、そんな圧縮機能を持つごみ箱が日本の家庭に少しずつ浸透している。火付け役となったイギリス生まれの「クラッシュボックス」は1台およそ3万円。決して安くはないものの、そのポテンシャルは絶大。単純にごみを出す手間を減らすというエネルギーの効率化だけでなく、あらゆる面で環境問題に貢献できるプロダクトとしても注目を集めているようだ。
ごみ出し回数を半分以下にできるスグレモノ!
“プラスチック製品を廃棄・乱用することが環境汚染につながる”という問題は、今や世界中の人々にとっての関心事。
例えば最近は、ツイッターやインスタグラムで「#YoElijoPlaneta(私は地球を選ぶ)」というハッシュタグを検索すると、世界中の人々がごみ袋を口にくわえた写真を見ることができる。これはプラ製品の削減を訴えるキャンペーンで、10月14日にサッカー界のスーパースターであるアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)が参加したことで日本でも話題になった。
とはいえ、日々の生活の中でごみはエンドレスに発生するし、ごみ袋を使わない暮らしを実現するのはなかなか難しい。
そんな中、お手軽にごみ袋の使用枚数を削減できるプロダクトがひそかにヒットしているのをご存じだろうか? その名も「クラッシュボックス」。イギリスのホームウェア用品ブランド「Joseph Joseph(ジョセフジョセフ)」が、2017年10月に日本で発売を開始したごみ箱だ。
-
Joseph Josephの「クラッシュボックス」がこちら。単なるオシャレなごみ箱ではなく、ある特殊な機能を備えている
最大の特徴は、レバーを押し込むだけでごみの体積を約3分の1に“圧縮”することができる機能だ。
その結果、容量30Lのボックスに、なんと約90L分のごみを入れることが可能に! ごみの体積が減るため、面倒なごみ捨てやごみ袋の交換回数も少なくなり、エネルギーの効率化がエコへとつながるプロダクトなのだ。
-
手前にあるレバーを起こし、そのまま下に押し込むだけでごみを圧縮できる。ごみ箱の側面と下部に設けられた小さな穴から空気を逃がす構造。ごみ袋は市販のものや自治体指定の45Lのものが使用可能
-
内側にあるレールに沿ってレバーが動くため、垂直に力が伝わる。簡単にごみを1/3の容量まで圧縮できる
さらに、ごみ袋が破けにくく、圧縮されたごみ袋でも交換しやすい形状設計が採用されており、嫌なにおいを吸収してくれる活性炭フィルターも搭載している。
価格は1台2万9160円(税込/30Lステンレス)。決して安くはないが、斬新な圧縮機能と使い勝手の良さで注目を集め、発売開始から1年で約1万4000台も売れたとか。
また、Joseph Josephによると「クラッシュボックス」は、一般家庭だけでなく飲食店などの事業者からも好評を得ているという。
「1日に何度もごみを運ぶ従業員の手間や、事業者用の有料ごみ袋の費用削減につながることをメリットとして実感していただいているようです。ごみを出す回数が減れば、回収車が走る回数も減るため、結果的にCO2の削減も見込めるかもしれません。微力ながらも、環境問題の解決に貢献できるプロダクトだと自負しております」(同社商品担当者)
狭い日本のキッチンが快適空間に!
昨年発売スタートした容量30Lのタイプに加えて、ことし8月からは一回り小さい容量20Lのサイズも展開。とにかく狭い日本の住宅事情にマッチするのは明白だ。
「クラッシュボックスの開発コンセプトは、限られたキッチンスペースをより美しくぜいたくに活用する『スペース ラグジュアリー』という美学に基づくものでした。そして、家の中をきれいに片付けることが生活をより豊かにすることだと考え、そのための機能を追求した結果、“ごみを圧縮する”という発想にたどり着きました」(同社)
-
キッチンやリビングのわずかなスペースに設置することができる。手を汚さずに、女性の力でも簡単にごみを圧縮できるのも魅力
最終的に外置きの大きなごみ箱に移すにしても、家庭内にごみ箱は必要だ。
日本と同じ島国であるイギリスも、都市化が進んでおり、限られたスペースを生かせるインテリアが重要視されているという。「クラッシュボックス」は、世界中の庶民の生活を快適にしてくれる救世主なのである。
「クラッシュボックス」の大ヒットを追いかけるように、最近はネットショップなどで安価な模倣品も出回るようになっている。“圧縮ごみ箱”を選ぶことが、世の常識となる日も近いかもしれない。
-
この記事が気に入ったら
いいね!しよう -
Twitterでフォローしよう
Follow @emira_edit
text:浅原 聡