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駅の業務もロボットとAIで対応!人手不足など深刻な社会問題を解決に導く対応策とは

ロボットが巡回し、駅構内の監視と利用者を案内

近年、労働力不足に対して、ロボットやAIを有効活用して補おうとする動きが急速に加速中。人に頼らずに労働に対するエネルギーが確保できる半面、まだまだ課題も多い。そんな中、間もなく(12月中旬)駅業務におけるロボットの有効性とAIの課題を検証する実証実験が行われる予定だ。喫緊の課題を解消し、新たな労働力を模索する実験の詳細とは。

労働力不足に対する切り札はロボット&AI

少子高齢化に伴い、労働人口が減少している日本。外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法の改正案が12月8日に成立するなど、深刻な労働者不足に対する対策は待ったなしの状況だ。

鉄道業界においても、各社、人手不足の課題は顕在化している。一方で、外国人観光客の増加など駅利用者のニーズは多様化しており、より安心・安全に、かつ快適に利用できる駅環境が求められている。

こうした背景の中、ヘルスケア製品など多くの事業を手掛けるオムロングループの中で社会事業システムを担うオムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)が、駅業務のオートメーション化に向けた実証実験をこの冬に実施する。

今回発表された実証実験内容は2つ。

12月17日(月)~19日(水)にかけて、都営大江戸線大門駅地下3階の改札外コンコースで行われる「自律走行の警備ロボット」と、12月13日から相模鉄道にて開始された対話型AIエンジンを活用した「チャットボット」の試験運用だ。

実証実験に用いられる警備ロボットの全容。周囲の状況を感知するセンサーを前後左右に、緊急停止用のボタンを背面に備える

警備ロボットは、人混みの中でもスムーズかつ安全な走行の実現を念頭に開発された。

搭載する複数のセンサーから得られた情報を基に、周辺環境や人の位置を判断。障害物を感知した場合は、回避や緊急停止などの行動をとることで通行人と接触することなく、自律的に走行する。

また、駅構内を巡回しながら、内蔵カメラで撮影した映像を施設内のモニターに転送して構内の遠隔監視を担うほか、搭載するモニターを使って駅利用者への案内を駅員に代わって行うなど、職員の負担軽減や駅利用者の安全を確保する狙いがあるという。

セーフティスキャニングレーザーセンサーはロボットの位置特定と前方にある人や物を検出。底面はローフロントレーザーセンサー、横方向は左右に設置されたサイドレーザーセンサーがカバー

背面のバックソナー(4つの黒穴)は後方の障害物を感知する。また、緊急停止ボタンで万一の時は手動で止めることも可能

実証実験では、警備ロボットの実用性を利用客からのアンケート調査と合わせて分析。

多くの人が行き交う駅や商業施設など社会生活のさまざまな場面におけるロボット活用の課題を検証する予定だ。

駅業務に特化したAIが的確にユーザーをサポート

一方、相模鉄道が提供するスマートフォン向けアプリ「相鉄線アプリ」に導入されるのが「チャットボット」だ。

AIの進化が著しい昨今だが、「チャットボット」には駅業務に特化した対話型AIエンジンが組み込まれ、スマートフォン上で一般客から寄せられる駅利用に関する問い合わせに対して、自動で回答を行うという。

スマートフォン向けアプリで利用できる「チャットボット」の画面一例。質問に対してAIが補正して回答する様子が確認できる

その中でポイントになるのが、利用客の言葉から必要な要素の過不足をAI自ら判断し、不足事項を確認すること。

例えば、切符の値段を尋ねられた場合は、出発駅と到着駅、大人もしくは小人などの情報が必要であると認識し、蓄積されたデータベースを活用して情報を収集、回答を導き出すまでの会話の流れを構築する。

また、人間の脳神経回路を模した多層のニューラルネットワークを利用した機械学習・ディープラーニングや自然言語処理によって、利用者ごとに異なる表現の違いを認識できる。

これらにより、ロボットが適切な回答を利用者に提供できるようになるほか、表現が違うことによって質問の意図を理解できないといったこれまでのAIの課題を解決し、自然な会話を実現している。

OSSでは今回の実証実験を皮切りに、さまざまな駅業務のオートメーション化を構想。駅業務の省力化を進めながら多様な利用客のニーズに応えることができる「未来の駅」の実現を目指す考えだ。

もしかすると近い将来、人に代わってロボットが駅や街を巡回し、警備・案内をするアニメのような光景が全国各地で見られるかもしれない。

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