SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲット1を3分解説！

「SDG7.1」は電気とクリーンな調理燃料・技術へのアクセスにフォーカスした目標

SDGs（Sustainable Development Goals）の目標7（SDG7）は、ゴールに設定した「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」となる世界を実現するため、具体的な3つの達成基準（ターゲット）を掲げています。

その1つ目がSDG7.1である「2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する」です。

SDGsはそれぞれ、2017年7月の国連総会で承認された枠組みである「グローバル指標」を基に達成率や進捗を測っており、SDG7.1は「電気を受電可能な人口比率」と「家屋の空気を汚さない燃料や技術に依存している人口比率」の2つで評価しています。

つまりSDG7.1が目指すのは、「電気へのアクセス」と「クリーンな調理燃料・技術へのアクセス」を推進させること。

後者を言い換えると、薪（まき）や灯油、石炭といった燃料が調理などに利用されて発生する「家庭内の空気汚染」に焦点が当てられているといえます。

電気とクリーンな調理燃料・技術にアクセスできない人口

2019年において、電気へのアクセスがない人口は世界で7.59億人、クリーンな調理システムへのアクセスがない人口は世界で26億人とされています（※1）。

まだ多くの人々のアクセスが確保されていませんが、世界的な割合では拡大傾向が見られ、電気にアクセスができている人口は2010年の83%から2019年に90%へ（※1）、クリーンな調理システムにアクセスができている人口は2010年の58%から2018年に65％へと広がりました（※2）。

しかし、サブサハラ・アフリカ地域（アフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域）だけの割合に限ると、電気が48%（2019年）、クリーンな調理システムが17％（2018年）。また、アジアの開発途上国（中国、インド、東南アジア諸国を除く）では、電気は79%（2019年）と広がっているものの、クリーンな調理システムへは35%（2018年）と低い値を示しています（※2）。

指標となる各アクセスの割合は世界全体で見れば改善傾向にありますが、地域によって大きく差が表れており、SDG7.1においては低・中所得国の底上げが喫緊の課題となっています。

※1：United Nations「Goals7,Ensure access to affordable, reliable, sustainable and modern energy for all」より
※2：IEA「SDG7: Data and Projections, Access to clean cooking」より

2030年に向けて掲げられたSDG7.1のマイルストーン

2021年9月、国連総会主催で「エネルギー・ハイレベル対話」が開催され、政府や国連組織、国際組織、民間企業などから130を超える代表者が参加しました。

40年ぶりのエネルギーに関する首脳レベルの会合となり、成果としてSDG7達成に向けた世界的なロードマップが公表されました。

SDG7.1に関しては、次のマイルストーンが表明されています。

◆2025年のマイルストーン
・5億人以上が電気へのアクセスを得る
・10億人以上がクリーンな調理へのアクセスを得る
・電気へのアクセスへの年間投資額を350億米ドルに、クリーンな調理へのアクセスへの年間投資額を250億米ドルに増加させる
（2021年11月3日、国連事務総長発表より抜粋）

Covid-19（新型コロナウイルス感染症）による経済への影響やサプライチェーンの途絶など、ターゲット達成の進捗を遅らせる懸念も指摘されたため、マイルストーンの実現には国際社会の協力が一層求められています。

参考：
・United Nations, SDGs,
・United Nations, High-level Dialogue on Energy New York, September 2021,
・IEA (2020), SDG7: Data and Projections, IEA, Paris